世の中を生きるのは誰にとっても簡単なことではありません。
特に、発達障害のある人にとっては「生きづらい」と感じることも少なくありません。
発達障害のある人は、多くの人にとって当たり前にできていることがうまくできないのです。
そんな人にとっての「サバイバルガイドブック」があるのはご存知でしょうか?
この記事では、発達障害で生きづらい人に向けたどうにか生きていくコツを説明します。
この記事は、「借金玉」さんの「発達障害サバイバルガイド」を参考に作成しています。
ガイドブックの構成
このガイドブックは、発達障害の人が生きづらさを感じながら、何度同じ失敗を繰り返しても、どうにかもがいて進んでいくための様々なコツが詰まっています。
筆者は、実際にADHDの診断を受けている社会人であり、ASDの傾向もあるようです。
そうした筆者が発達障害の二次障害により精神障害も発病してしまうなど困難を乗り越え、どうにか生き延びているコツをふんだんに盛り込んだのがこのガイドブックです。
「きちんと生活する」とか「快適な生活をする」とかではなく、なんとかうまいこと生きて幸せになることを目的としています。
このガイドブックは、次の8つの項目で構成され、それぞれに生きるためのコツが解説されています。
- 生活環境
- お金
- 習慣
- 在宅ワーク
- 服
- 食事
- 休憩
- うつ
この記事では、このうち「生活環境」「お金」「習慣」「服」「食事」の5つについて、それぞれ少しだけ内容をご紹介します。
生活環境
サバイバルに絶対必須の設備ハック
人生をよくするのは「努力」ではなく、「設備投資」です。
例えば、洗濯機がなければ、毎回コインランドリーまでいって、その都度数百円を支払うなど、時間やお金のコストがかかります。
つまり、洗濯機があれば、それだけで「生きやすく」なります。
設備投資によって生活は簡単に、大きく快適になります。
「自分が頑張ればいい。設備投資はしなくていい」という感覚を見つけ出し、可能な限り取り去っていくことが大切です。
発達障害の人でも誰でも、豊かで快適な生活をしていいのです。
食洗機が「先延ばし人生」を解決する
筆者は、今回紹介する書籍の初めに伝えたいこととして「食洗機を今すぐ買ってください。」というメッセージを出しています。
「ラクをする」というのは思っているよりも難しく、自分が「面倒臭いことをしている」という感覚を持つことができません。
実際、「どうすればラクになるか?」という工夫について思考を向けることができにくいのです。
そのため、「設備投資をして劇的にラクになった」という体験をしてみることが大切です。
その体験に必要なのが「食洗機」ということです。
ADHD傾向の人は、「先延ばし癖」が強く、食器をシンクにため込みがちです。
食器をシンクにため込むと、洗うスペースがなくなってしまいます。
洗おうと思った時、食器をどかし、シンクの詰まりを掃除し、洗った食器を乾かすという大変な作業になります。
こうした難関の連続を「皿を入れる」の一手に圧縮してくれる最高の道具が、食洗機です。
食洗機を買って、「ラクになった!」という喜びを手に入れましょう。
人生をよくするのは「頑張るぞ」という苦しみではなく、「ラクになった」という喜びです。
一人暮らしの人であれば、安くて手軽に使えるものから試してみましょう。
健康のために今すぐ「寝床」に課金する
いい生活をしようとして、一生懸命に仕事をしていると、働きすぎた結果、腰、膝、肩、手首など体を痛めてしまうことがあります。
その治療として、病院、接骨院、マッサージ、解熱鎮痛剤、シップ、コルセットなど、あらゆるものにお金がかかってしまいます。
そうならないようにするために「快適な寝床の確保」が大切です。
自分の体が悪くなる前にケアした方が安上がりです。
健康と快適さに課金する時には「身体接触の多さ×使用時間の長さ」を基準で優先順位を決めると良いでしょう。
そこで寝具選びとして「マットレス」を大切にすると良いでしょう。
発達障害のある人は、肌触りなど感覚に敏感な人が少なくありません。
自分の肌感覚に合った布団と快適な寝心地を得られるマットレスを選ぶことは人生に価値をもたらしてくれます。
最も投資対効果が高いのは、マットレスです。
快適な寝心地を得られるマットレスとして代表的なのは「エアウィーヴ」です。
お金
貧困と借金から学んだマネーハック
お金を稼ぐ力がないと生活に困るのは当然ですが、お金を稼げても生活が破綻してしまう人たちもたくさんいます。
生活を破綻させてしまう人の多くは、「固定費」と「投資」の概念が決定的に欠如してます。
ADHDの人は衝動的にお金を使ってしまうところはありますし、ASDの人で計画的にお金を使おうとする人であっても、固定費を見直して削減しないといけませんし、コスト削減のための投資を積極的に行わなければ、お金はなくなってしまいます。
「自分では贅沢しているつもりはないのに、お金どんどん消えていく」といった恐怖から逃げられるように、上手なお金の付き合い方を学びましょう。
「世界一ラクな家計簿」で浪費が止まる
お金の管理には「家計簿」をつけることが効果的ですが、結論から言うと発達障害のある人にとっては、家計簿をつけ続けることはかなり困難です。
難しいことや無理なことを頑張るのは、この本ではお勧めしていません。
そこでお勧めなのは、クレジットカードを使うことです。
クレジットカードは、キャッシュレスの世の中を目指すものではなく、「無料帳簿作成サービス」です。
日常の決済を1枚のクレジットカードに絞るだけです。
例えば、楽天カードなら、4か月分の明細がアプリからいつでも確認することができます。
クレジットカードを使うことを怖いと思う人もいるかもしれません。
実際に、クレジットカードを使いすぎて、口座の引き落としができなくなったり、キャッシングを気軽にできてしまったりして、生活の困窮につながることもあるでしょう。
しかし、クレジットカードは現金に勝ります。
家計簿がつけられなかった方にとって、クレジットカードを使って家計を管理するのがお勧めです。
クレジットカードによる管理の延長には、家計簿アプリの利用もあります。
家計簿アプリの中でも有名な「マネーフォワード」の利用方法については、次の記事を参考にしてください。
食費を減らしたいならスーパーに行くな
食費がなかなか減らないのは、次の3つの無駄遣いが影響しています。
- 家に食費がないので外食してしまうお金
- スーパーで「お得だから」と衝動買いして、結局腐らせてしまった食材のお金
- スーパーまで行く時間(時間はお金)
これらを解決するためには、すべての食材の買い物をインターネットで行うことです。
Amazonパントリー(食品、日用品などを一つの箱に詰めてくれる)、ネットスーパー(西友、イトーヨーカドー、ライフ)などいろいろなサービスがあります。
発達障害の人は自宅に食材がないと、思わず「ウーバーイーツ」を頼んでしまったり、外食をしてしまったりしがちです。
食材一つ一つの値段は高くなりがちですが、トータルとして確実にお得になります。
習慣
繰り返しが苦手な僕らの365日ハック
普通の人が当たり前に習慣としてできていることでも、発達障害の人にとっては習慣化にする以前に始めることすら難しいことがあります。
習慣化の前に「始めること」を少しでも簡単にするために、次の3つの方法があります。
- 一元化:必要なものが分散せず、手が届くところにある
- 常時一覧化:毎日やらなければいけないことを「目に入るように」セットする
- 省エネ:「やるぞ」という意思決定コストを普段から節約する
少しでも簡単に始められるように、お金を使って設備を整える、できるだけタスクを減らすといった方法が考えられます。
また、「できないことはできない」と割り切って、日々を苦しまずに生きられるようになることも大切です。
努力が足りないとか考えず、できるだけラクをして無理なく上手に生活できるようになることを目指しましょう。
「決断疲れ」には週1カレー
人は、毎日、数多くの決断をして生きています。
毎日、着る服、食べる食事、限られた時間で何をするか、そういったことを逐一決めていかなければなりません。
この決断の連続が、発達障害の人にとっては、大きな負担になります。
特に、ASD傾向の人は、新しいことを決断することに大きな負担を感じるので、できるだけルーティーンを作って決断の負担を減らすことが望ましいです。
まずは、週1回、月1回のルーティーンを決めてみましょう。
そこで、食事について、毎週金曜日は「カレー」にすると決めてしまうのです。
それだけで決断を一つ減らすことができますし、ルーティーンを起点にして生活リズムが生まれてきます。
「パジャマ」でアルコール依存を止める
お酒を呑まないと眠れない人、いらっしゃると思います。
お酒は適度に飲むのは良いかもしれませんが、間違いなく心身に害を及ぼす依存性の高いドラックの一種です。
ADHDの人は、依存に弱いという研究がありますが、発達障害を抱えながら、お酒と上手に付き合っていくということは非常に難しいことです。
家に帰ったら一杯呑む、寝る前には必ず呑む、という人はアルコール依存への最初の一歩を踏み出しています。
そうした人の多くは、「仕事や社会生活」と「プライベートや安らぎの時間」が分けられず、どちらの生活にもアルコールが入り込んでいる可能性があります。
そこで、お酒を呑まないと眠れない人は、お酒を飲み始める前に、最低限「パジャマ」に着替えることをおすすめします。
これは、「仕事や社会生活」の時間と安らぎの時間を切り替える機能を、「お酒以外」のものに分けるための行動です。
パジャマとは、一切社会的な要素のない服です。
仕事と完全に断ち切られた服装に着替えることで、強力に時間を仕事から安らぎの方向へ切り替えることができます。
これにより、「お酒を呑まないと眠れない」から、「寝るための準備をしてお酒を呑む」ことに変換することができ、アルコールが「依存」ではなく「娯楽」や「文化」になっていきます。
服
おしゃれとか以前の身だしなみハック
洋服が好きで、流行っているとか、デザインがいいといった理由で、何着も購入した経験はありませんか?
結果として「服は山ほどあるけど、いつ、どう着ていいかわからない」というパニックが生じてしまいます。
ADHD傾向の人だと、片付けられない傾向も合わさって、着たい服がどこにあるかもわからないこともあるかも知れません。
そこで、毎日を快適かつ社会的に問題のない格好で過ごすにはどうしたらいいかということを考えていきます。
あなただけの「ライナスの毛布」を手に入れよう
スヌーピーが主人公の「ピーナッツ」に出てくる「ライナスの毛布」をご存知でしょうか?
心理学の分野でも使われる用語で、その人にとって手放せない、愛着のあるモノを指す言葉です。
発達障害の人にとっての服は、まずは「ライナスの毛布」であることが大切です。
発達障害の人は、感覚過敏という特徴があります(特にASD傾向の強い人)。
皮膚感覚が非常に敏感であるため、服の肌触りや感触に非常に強い不快感を感じてしまうというものです。
私の息子も皮膚感覚が敏感で、タグがチクチクするのが大の苦手です。
「ライナスの毛布」に出会う3つのポイントは次のとおりです。
- 第一に「肌着」に没頭する。
- 着心地の良い服を見つけたら「20枚」まとめて買う。
- 試着はサイズではなく「着心地」を試す。
アップルウォッチで「時計マウンティング」を回避する
社会人として仕事をしていると、周りの人が来ているスーツや服には関心が向かなくても、「腕時計」には関心が向きがちです。
腕時計の価値は比較的わかりやすく、相手がどのような腕時計をしているかで価値を値踏みされます。
だからといって腕時計に興味のない人にとっては、相手に軽んじされないように腕時計を買うなんてことはできないでしょう。
そこで、おしゃれやセンスと無縁の人たちが選ぶべき時計は、「アップルウォッチ」です。
10万円の腕時計では「安物」と思われてしまうかも知れません。
しかし、アップルウォッチを身につけるだけで「私はそれなりにお金を持っていて、しかも他人から自分がどうみられるかの一定の意識ができる人間です。」と表明することが可能になります。
相手に下に見られたくなければ、スーツではなく「時計」に気を配りましょう。
アップルウォッチの中でも、「Apple Watch SE」はコスパに優れていておすすめの逸品です。
食事
ずぼら完全対応版自炊ハック
発達障害の人に限りませんが、仕事が忙しい上にズボラな人は、自炊をほとんどせず不健康になっている場合が少なくありません。
手っ取り早く食事を済ませるために外食を重ねてる人も多いでしょう。
そんな人には自宅での自炊ができるようになることが何より大切です。
しかし、「1週間分のレシピ」を考えて食材を用意しておくなんて難しいですし、レシピを丸暗記することもできません。
そこで、ここでは「料理というものを抽象化して、メタ化して覚える」方法をお伝えします。
料理の原則さえつかめれば、どんなジャンルでもそこそこ美味しい料理を作ることができるようになります。
冷蔵庫にある食材でオリジナル料理を作れるようになれると一人前です。
「味の素+塩」で9割の料理はおいしくなる
料理が不味くなる要因は様々ありますが、一番の要因は「味付け」です。
上手な味付けさえできれば、他が多少いい加減でも、それなりに美味しく料理を作ることができます。
おいしい料理の味付けのポイントは次のとおりです。
あなたの料理が美味しくないとすると、おおよその場合うまみが足りないのです。
「ほうれん草のおひたしの味が薄い」、「味噌汁が水っぽい」、「卵焼きが物足りない」、こういった場合にはかつお節と味の素を入れてみましょう。
うまみは入れすぎて、いくら濃くなっても大丈夫です。
塩は入れすぎるとしょっぱくなってしまうので、加減しながら加えていき、味見をしてちょうど良い味を探していきましょう。
皮は一切むかなくていい
先ほどは味付けの話をしましたが、ここでは「食材を切ること」と「加熱」について説明していきます。
どんな料理にも共通するのは次のポイントです。
また、間違った料理の知識を持っていることが少なくないため、次のような「信仰」は捨て去りましょう。
- 皮むき信仰
- 強火信仰
- 面取り信仰
特に、「皮むき信仰」は、最も簡単に手放せるものです。
じゃがいも、にんじん、かぼちゃ、大根、カブなど、野菜の皮をむく必要はどこにもありません。
皮付き料理もなかなかおいしいですよ!
まとめ
今回は、発達障害で生きづらい人に向けたどうにか生きていくコツを説明しました。
この記事では、次の5つについてのコツを紹介しました。
- 生活環境
- お金
- 習慣
- 服
- 食事
今よりもラクに生活できるようになるために、あんまり頑張らないでもできる生活のコツから始めてみましょう。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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