「最近なんか元気がないけど、様子を見ていれば大丈夫かな……」そう思いながら、どこかで不安を感じていませんか。
不登校は、ある日突然始まるわけではありません。多くの場合、その前に子どもが小さなサインを出しています。でも、そのサインは日常のなかに埋もれやすく、「疲れているだけ」「思春期だから」と見過ごされてしまうことがよくあります。
この記事では、見逃しやすい早期サインの特徴と、「様子見でいい状態」と「動いたほうがいい状態」を見分けるための判断基準をお伝えします。公認心理師として、子どもたちのサインと長く向き合ってきた私の視点から、できるだけ具体的に解説します。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 子どもの様子がいつもと違う気がして、不安を感じている方
- 「行きたくない」と言い始めたが、様子見でいいのか判断に迷っている方
- 朝の体調不良や気分の落ち込みが続いていて、どこまで見守ればいいか悩んでいる方
- 不登校になる前に、できることを知っておきたい方
不登校の前に、子どもはサインを出している

文部科学省の委託調査(子どもの発達科学研究所、2024年)では、不登校の子どもたちとその保護者の約7〜8割が、不登校の状態になる前後に「体の不調」「気持ちの落ち込み・いらいら」「夜眠れない・朝起きられない」を経験していたと回答しています。
これは、不登校が「突然起きた出来事」ではなく、心身が長い時間をかけてSOSを発していたことを示しています。
📌 不登校の約7〜8割が経験していた早期サイン(文科省委託調査・2024年)
・体の不調(頭痛・腹痛・倦怠感)
・気持ちの落ち込み・いらいら
・夜眠れない・朝起きられない
これらは不登校になって「から」ではなく、なる「前」から現れていることが多いサインです。
もちろん、これらの症状があれば必ず不登校になるわけではありません。でも、「いつもと違う」という感覚を大切にして、少し立ち止まって子どもの様子を見てほしいのです。
ゆう「なんか最近おかしいな」という親の直感は、案外正確なことが多いです。その感覚を信じてほしいと思います。
見逃しやすい早期サイン——6つのポイント
「行きたくない」と言葉にしてくれる子どもは、まだわかりやすいほうです。多くの子どもは、言葉ではなく行動や身体でサインを出します。次の6つのポイントを参考にしてみてください。
① 月曜日・学期の節目に体調不良が出る
「月曜日だけお腹が痛い」「新学期が始まると頭痛が続く」——これは非常によく見られるパターンです。子どもは「つらい」「不安だ」という感情を言葉にする力がまだ十分ではないため、その感情が身体症状として出てきます。
特定の曜日や時期に体調不良が集中するときは、「学校に関連したストレスが身体に出ている」と考えることが大切です。仮病ではなく、身体が本当に反応しています。
② 帰宅後に急に元気になる
朝は頭痛・腹痛を訴えていたのに、学校から帰ってくると元気になる。または「休む」と言っていたのに、日中は普通に過ごしている。
こういった場合、「学校という場」に対して強いストレスや不安が生じていることが多いです。「仮病だ」と感じてしまうかもしれませんが、「学校に行くと体に症状が出る」という状態は、本人の意志とは別のところで起きています。
③ 学校の話をしなくなった・嫌な顔をする
以前は「今日こんなことがあった」と話していたのに、最近は学校の話をまったくしなくなった。「学校どうだった?」と聞くと不機嫌になる。
これは、学校での体験を話したくない・話すのがつらいというサインであることがあります。無理に話させようとせず、「何かあったら聞くよ」という姿勢を保ちながら、様子を観察してみてください。
④ 睡眠のリズムが乱れてきた
夜なかなか眠れない、朝起きることが以前より明らかに難しくなった——これも重要なサインのひとつです。不安やストレスが続くと、自律神経の乱れから睡眠に影響が出やすくなります。
単純に「夜更かし」が原因のこともありますが、就寝時刻を早くしても眠れない、眠れてもすぐ目が覚めるという場合は、心身の疲れが深いサインかもしれません。
⑤ 以前好きだったことへの興味が薄れた
ゲーム、スポーツ、音楽、友達との遊び——それまで楽しんでいたことへの関心が突然薄れてきたとき、心のエネルギーが底をついてきているサインである可能性があります。
「ただの飽き」との区別が難しいですが、複数の好きなことへの関心が同時に薄れてきた場合は、より注意が必要です。
⑥ 「死にたい」「消えたい」という言葉が出た
⚠️ これは「様子見」ではなく、すぐに動く必要があるサインです
「死にたい」「消えたい」「いなければよかった」という言葉が出たとき、「大げさだろう」と受け流さないでください。
たとえ「冗談っぽく」言っていたとしても、子どもが口にするには相当なエネルギーが必要です。まずその言葉を真剣に受け取り、「そんなふうに感じているんだね」と寄り添ってください。そのうえで、スクールカウンセラーや医療機関への相談を検討してください。
「このサイン、うちの子に当てはまるかも」と感じたら
一人で判断しようとしなくて大丈夫です。
オンラインカウンセリングなら、まず親だけで、今の子どもの様子を専門家に話すことができます。
「様子見でいい」と「動いたほうがいい」の判断基準
「すぐに病院や支援機関に連れていくべきなのか」「もう少し様子を見ていいのか」——これが一番迷うところだと思います。絶対的な基準はありませんが、私が目安にしている考え方をお伝えします。
「様子見」が適切なケース
🔹 次のすべてに当てはまる場合は、少し様子を見ながら親が寄り添う段階かもしれません
・行事の前後など、理由がある程度見当がつく
・休日は比較的元気で、笑顔が見られる
・食事はとれている
・「消えたい」などの言葉は出ていない
・自分から話しかけてくることがある
ただし「様子を見る」=「何もしない」ではありません。普段より少し丁寧に関わりながら、変化を観察してください。
「動いたほうがいい」サイン
⚠️ 次のいずれかが当てはまるときは、早めに専門家への相談を
・体調不良が2週間以上続いている
・食欲が明らかに低下している、または体重が急に変わった
・「消えたい」「死にたい」という言葉が出た
・自傷行為が見られる(爪を深く噛む、肌を引っ掻くなども含む)
・親との会話がまったくなくなった
・夜中に泣いている声がする
・「どうせ私なんか」「生まれてこなければよかった」という発言が続く
これらは「少し様子を見る」段階を超えています。スクールカウンセラー・かかりつけ医・子ども家庭支援センターのいずれかに、まず相談してみてください。
迷ったら「相談する」が正解
「相談するほどでもないかな」と思ったとき、でも何か引っかかるときは、相談してください。専門家への相談は「大げさなこと」ではありません。早めに話すことで「やっぱり様子見でよさそう」という安心感が得られることもありますし、「早めに動いてよかった」につながることもあります。



「相談しすぎた」と後悔する親御さんはいません。「もっと早く相談すればよかった」という声はとても多いです。
早期サインに気づいたとき、親にできること


サインに気づいたとき、すぐに「学校に行くの?行かないの?」という話をする必要はありません。むしろ、まず子どもが「この家は安心だ」と感じられる関わりを増やすことが大切です。
「否定しない・問い詰めない」を最初の一歩に
「なんで行きたくないの?」「何があったの?」と原因を探ろうとする気持ちはよくわかります。でも、子ども自身がまだ自分の気持ちをうまく言葉にできていないことも多いです。問い詰めることで、「また聞かれた、うまく答えられない」という苦しさが重なっていきます。
⭕ まず試してほしい関わり方
・「最近しんどそうだね、ゆっくり休んでいいよ」と短く伝える
・原因を探る質問より「何かあったら話してね」と添える
・子どもが話しかけてきたときは、手を止めて向き合う
・スキンシップ(肩をそっと触れる、隣に座るなど)を増やしてみる
子どもにとって「この親には話せる」と感じる瞬間の積み重ねが、回復の土台になります。
「休む」と言い出したとき
「学校、休みたい」と言い出したとき、最初の反応がとても大切です。頭ごなしに「ダメ」と言うことも、すぐに「じゃあ休んでいいよ」と流すことも、どちらが正解というわけではありません。
ただ、最初の一言として「そっか、それほどしんどいんだね」と受け取ることが、その後の対話の扉を開けます。子どもが「わかってもらえた」と感じると、次の言葉が出てきやすくなります。
まとめ
📝 この記事のまとめ
- 不登校の約7〜8割が「体の不調・気持ちの落ち込み・眠れない・朝起きられない」を不登校前後に経験している(文科省委託調査・2024年)
- 早期サインは言葉より「身体・行動・表情」に出ることが多い
- 月曜・学期節目の体調不良、帰宅後に元気になる、睡眠の乱れ、好きなことへの無関心は見逃しやすいサイン
- 「死にたい」「消えたい」という言葉が出たときは「様子見」ではなく速やかに専門家へ
- 体調不良が2週間以上続く・食欲が落ちる・自傷が見られるときも早めの相談を
- サインに気づいたとき、まず「否定しない・問い詰めない」から始める
- 迷ったら相談することが正解。早すぎる相談はない
「なんか最近おかしいな」という親の感覚は、とても大切です。その感覚を信じて、少しだけ子どもに近づいてみてください。早く気づけた分だけ、対応の選択肢が広がります。あなたが今、こうして情報を調べていること自体が、子どもへの大切な関わりのひとつです。
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「このサイン、当てはまるかも」と感じたら、一人で抱え込まないでください
子どもを連れていかなくても大丈夫。まず親だけで、今の子どもの様子を話してみてください。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター

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