JRが発表した「精神障害者割引制度の導入」はどんな人が受けられる?

JR精神障害者割引制度

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2024年4月11日、JRグループが「精神障害者割引制度」を2025年4月1日より導入すると発表しました。

一部の人たちの中では、「精神障害者手帳を取得して、運賃の割引の恩恵を受けよう」といった話題で盛り上がっているようです。

果たして、そんなに簡単に精神障害者手帳を取得して、この割引制度を利用できるものなのでしょうか。

本記事では、精神障害者割引制度の概要とどのような人が精神障害者手帳を取得できるのかを詳しく解説します。

ゆう

結論から言うと、精神障害者手帳の取得はそれほど簡単なものではありません。

目次

JRグループの障害者割引制度とは

ポイント

JRグループでは、従来から障害のある利用者向けに「障害者割引制度」を導入していました。

具体的には次の2種類です。

  • 身体障害者割引制度
  • 知的障害者割引制度

今回の発表は、この2種類に加えて、精神障害者のための割引制度を導入したというものです。

各障害を1級と2級に分けて、次の表のとおりの割引を実施しています。

対象割引対象乗車券類割引率
第1種障害者とその介護者普通乗車券
回数乗車券
普通急行券
50%
第1種障害者とその介護者又は
12歳未満の障害者とその介護者
定期乗車券
(小児定期乗車券を除く)
50%
第1種、第2種障害者が
単独で利用する場合
普通乗車券
(片道の営業キロが100キロを超える場合に限る)
50%

身体障害者割引制度

「身体障害者割引」を利用して割引の申し出をできるのは、「身体障害者手帳」を取得している人やその介助者です。

身体障害者手帳は、各自治体が発行する障害者手帳の一つです。

身体障害者手帳は、1級から7級に分かれています

ゆう

障害の程度が重い方が1級です。

身体障害者1級であれば、その人だけでなくその方の介助者も割引対象となります。

一方、身体障害者手帳2級だと、その人は割引対象になりますが、その方に介助者が付いていても割引にはなりません。

ゆう

3級から7級は対象外となります。

なお、身体障害者手帳1級または2級を持っている人全てが対象というわけではありません。

JRの公式サイトには対象の障害について詳しく説明しているページがあります(身体障害者旅客運賃割引規則)。

知的障害者割引制度

「知的障害者割引」を利用して割引の申し出をできるのは、「療育手帳」を取得している人やその介助者です。

療育手帳は、各自治体が発行する障害者手帳の一つです。

療育手帳は、自治体によって等級の表現が異なります。

ゆう

東京都なら、1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)。埼玉県なら、Ⓐ(最重度)、A(重度)、B(中度)、C(軽度)といった感じです。

JRでは、「第1級知的障害者」と「第2級知的障害者」に分けています。

具体的には、次のとおりです。

  • 第1級知的障害者:「知能指数がおおむね35以下の者であつて、日常生活において常時介護を要する程度のもの」または「肢体不自由、盲、ろうあ等の障害を有し、知能指数がおおむね50以下の者であつて、日常生活において常時介護を要する程度のもの」
  • 第2種知的障害者:上記以外の者

療育手帳の1級はかなり限定的ですが、その一方療育手帳を持っていれば少なくとも2級になれるという点では、身体障害者手帳と異なります。

JRの公式サイトには対象の障害について詳しく説明しているページがあります(知的障害者旅客運賃割引規則)。

精神障害者割引制度

後ほど詳しく説明するため、ここでは簡単な説明にとどめます。

2025年4月1日から、精神障害者割引制度が始まります。

精神障害者手帳は、各自治体が発行する障害者手帳の一つです。

ゆう

正確には「精神障害者保健福祉手帳」と呼びますが、この記事では「精神障害者手帳」と略しています。

精神障害者手帳は、1級から3級に分かれています。

対象や割引対象乗車券類や割引率については、身体障害者手帳や療育手帳と似ているようです。

ただし、2024年4月現在の時点では、JRが精神障害者1級と精神障害者2級にどのように差を設けるのかはわかっていません。

ゆう

精神障害者手帳1級は、JR割引対象の「1級相当」、精神障害者手帳2級はJR割引対象の「2級相当」になると思われますが、精神障害者手帳3級が「2級相当」になるのか、または対象外となるのかは不明です。

精神障害者割引制度の概要

理解力

JRグループの精神障害者割引制度の概要について説明していきます。

導入日

精神障害者に対する割引制度が開始となる日は、

2025年4月1日

とされています。

ゆう

この日から割引の乗車券を買うことができるようになるようです。

対象者

割引運賃の対象となるのは、各自治体が発行する「精神障害者保健福祉手帳」を所持する方です。

精神障害者手帳の等級は第1種又は第2種の方が対象になる予定です。

ゆう

ただし、2024年4月現在では、その区分について具体的な内容の発表はないので、実際に対象になるかどうかについてはJRの発表を待つ必要があります。

精神障害者割引制度の詳細

精神障害者割引制度の詳細としては、次の表のとおりです。

対象割引対象乗車券類割引率
第1種精神障害者とその介護者普通乗車券
回数乗車券
普通急行券
定期乗車券
(小児定期乗車券を除く)
50%
12歳未満の第2種精神障害者とその介護者定期乗車券
(小児定期乗車券を除く)
50%
第1種、第2種障害者が
単独で利用する場合
普通乗車券
(片道の営業キロが100キロを超える場合に限る)
50%

その他

各自違いで発行する精神障害者手帳を持っていない場合は、割引の乗車券類を買うことはできません。

また、列車を利用する際にも必ず精神障害者手帳を持つ必要があり、係員から提示を求められた場合には提示しなければなりません。

精神障害者手帳が取得できる人

注意する

精神障害者手帳の取得には、医師に診断書を作成してもらい、自治体に申請するといった流れになります。

当然ですが、「”自称”うつ病」や「”自称”適応障害」のように、医師の診察を受けていない人は精神障害者手帳を申請することも、取得することもできません。

では、どのような人が精神障害者手帳を取得できるのでしょうか。

ゆう

具体的に説明していきます。

医師の最初の診察から6か月が経過している人

精神障害者手帳の申請では、医師の診断書が必要です。

ただ、医師の診断書については、最初に診察を受けたときから6か月以上経過した後に作成されたものであることが条件です。

ゆう

もちろん診断書の内容は「精神障害」であることが必須です。

精神科に診てもらってその日に診断書を出してもらっても、精神障害者手帳の申請をすることはできません。

医師によっては、診察に行ったその日に何らかの精神障害の診断をしてくれて診断書を出してくれるところもあります。

しかし、精神障害の正確な診断は難しく、一定の期間診察して経過を見ることによって正確に診断できるようになるものです。

つまり、安易な診断で、安易に精神障害者手帳を発行できないように、「6か月」という期間を設けているものと考えられます。

ゆう

もしも、療育手帳や身体障害者手帳よりも精神障害者手帳の方が取得しやすいと考えているのであれば、認識を改めましょう。

精神障害者手帳の等級に該当する人

精神障害者手帳は、1級から3級の等級に分かれています。

等級内容
1級精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級精神障害であって、日常生活もしくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活もしくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの
精神障害者保健福祉手帳の等級

これらの等級に該当しなければ、精神障害者手帳を取得することはできません。

その等級の判断については、申請書と診断書の内容を持って自治体が行うことになります。

ゆう

軽微な精神障害では取得はできないということです。

精神障害者手帳の取得を考えている人へ

最後、JRの割引運賃を受けるために精神障害者手帳の取得を考えている人へのメッセージです。

現在、精神障害に苦しんでいて、精神障害者手帳をすでに取得していたり、これから精神障害者手帳の取得を考えていたりする人は、正しい手続きで割引運賃の適応を受けていただきたいと思います。

もしもまだ精神科に受診したことがなく、時間もなくてどうしようか悩んでいる方は、オンラインで精神科医の診察を受けられるサービスの利用を検討すると良いでしょう。

一方で、JRの割引運賃狙いで、実際には精神障害に苦しんでもおらず、安易に精神障害者手帳を取得しようと考えている人がいるのであれば、その取得を諦めてほしいと思います。

前述したように、精神障害者手帳を取得するためには、最初に診察を受けたときから6か月以上経過した後に作成された診断書が必要です。

これは安易に精神障害者手帳を取得するのを制限しているということです。

それでもJR割引運賃を受けたいからといって、精神障害を装って半年以上通院したとしたら、それだけで時間とお金がかかってしまいますので、コスパも悪いですし、本末転倒です。

まとめ

今回は、精神障害者割引制度の概要とどのような人が精神障害者手帳を取得できるのかについて説明しました。

もしも身近に、JRの割引運賃のため、身体障害者手帳や療育手帳よりも、精神障害者手帳の方が取得しやすいだろうと安易に考えている人がいたら、そんなに簡単なものでないことを伝えていただければと思います。

悪意ある利用は絶対にさせてはいけませんし、そうなると制度そのものが中止・変更となってしまう可能性があります。

JRの割引運賃の制度は、真に障害でお困りの人たちが社会生活で安心して暮らすために設けられた制度であることをご理解いただきたいです。

ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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