仕事に子育てに、毎日フル回転の共働き家庭の方。
自分のことは後回しになりがちですが、心の疲れに気づいたとき、頼れる場所があると安心です。
最近はスマホやパソコンから気軽に心のケアが受けられる「オンラインメンタルヘルスケア」が注目されています。
サービスはいくつかありますが、国立精神・神経医療研究センターが開発したオンラインメンタルヘルスケアシステム「KOKOROBO」というものがあります。

基本的にはどなたでも無料で受けられるサービスです。
そこで、本記事では、オンラインメンタルヘルスケアシステム「KOKOROBO」についてその仕組みや活用法についてご紹介します。
- 子育てと仕事の両立でストレスを抱える共働きの方
- 対面のカウンセリングにはハードルを感じているけど、心のケアに関心がある人
- 育児や夫婦関係に悩み、自宅で気軽にメンタルヘルスケアをしたい人
なぜ今「オンラインメンタルヘルスケア」が注目されているのか


まずは、近年オンラインメンタタルヘルスケアが注目されつつある理由について解説します。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行がきっかけの一つですが、それ以外にも現代社会に生きる人が抱える問題が影響しています。
子育てと仕事の両立が生む、見えにくいストレス
共働きで子育てをしていると、自分のことは後回しにしがちです。
仕事のプレッシャーに加えて、育児や家事もこなす毎日です。
頑張りすぎていることに気づかず、知らず知らずのうちにストレスが蓄積してしまいます。
ちょっとしたイライラや無力感、不眠や体の不調が続いているなら、それは心のサインかもしれません。
こうした考え方が一般的に広まってきたことで、メンタルヘルスケアの大切さが注目されるようになりました。
通院のハードルが高い、現代の忙しい生活
「相談したいけれど、カウンセリングに通う時間がない」「子どもを預けられない」といった理由で、心のケアを後回しにしている方も多いのが現実です。
予約や移動、待ち時間などを考えると、心理相談はハードルが高いと感じられるかもしれません。
特に日々の生活に追われていると、体調不良以外では「わざわざ時間を作る」ことが難しいものです。
そうした中で、オンラインでのメンタルサポートが注目され始めました。
オンラインサービスの普及が生んだ新たな選択肢
コロナ禍をきっかけに、医療や教育などさまざまな分野で「オンライン化」が進みました。
心理支援の分野でも、オンラインカウンセリングやメンタルヘルスケアが急速に広がっています。
スマホ一つで相談ができる手軽さ、誰にも会わずに自宅で受けられる安心感が、多くの人に受け入れられてきています。
今やオンラインは「特別な手段」ではなく、心のケアを身近にするための有効な選択肢となっています。
オンラインメンタルヘルスケアシステム「KOKOROBO」ってどんなもの?


これまで説明したように現代社会でオンラインメンタルヘルスケアが広がる中で、国立精神・神経医療研究センターが「KOKOROBO」を開発しました。
このシステムの目標は、メンタルヘルスケアを多くの人たちにとって当たり前にすることです。
この「KOKOROBO」は、基本的には誰でも無料で利用できることも大きな特徴です。



それでは詳しく説明していきます。
「KOKOROBO成人版」の開発の経緯
2020年5月、新型コロナウイルス感染症パンデミックにおいて、国連は、オンラインメンタルヘルスケアシステムを早く整備するように提言しました。
日本では、これまで心理的応急処置を用いた災害現場や避難先での支援を行ってきましたが、オンラインによるメンタルヘルスケア不調への初期対応は準備されていませんでした。
そこで、2020年11月より、日本医療研究開発機構の支援を受けて、国立精神・神経医療研究センターが代表機関となり、6つの大学と連携してオンラインメンタルヘルスケアシステム「KOKOROBO」を開発しました。
「KOKOROBO」は無料公開され、現在も無料で利用できます。
「KOKOROBO」について
KOKOROBOでは、スマホやパソコンからいつでもホームページにアクセス可能です。
まずはユーザー登録をした上で、住まいや仕事などの基本情報と、気分・不安・睡眠に関する質問によるセルフチェックを行います。
その結果から、メンタル不調の重度分類が行われます。
その分類と対応は次のとおりです。
分類 | 対応 |
---|---|
軽度未満 | 1か月後に再評価 |
軽度 | AIチャットボットによる心理支援 |
中等度以上 | LINEやWebチャットを用いたSNS相談 心理士や医師による無料オンライン相談の推奨と受診支援 |
KOKOROBOは誰でも利用が可能ですが、2025年4月現在において以下の対象地域が設定されています。
対象地域は、自治体と広報で協力し、オンライン相談後に、紹介できる連携医療機関が確保できている地域です。
対象地域に在住、在勤、在学されている方が利用可能です。
なお、セルフチェックでは、次の質問が使われています。
質問 | 内容 |
---|---|
基本情報 | 家族や他者とのコミュニケーション、悩みの内容など |
気分 | PHQ-9※ |
不安 | GAD-7※ |
睡眠 | ISI※ |
KOKOROBO結果による対応
KOKOROBOの結果は、軽度未満、軽度、中等度以上の3段階に分かれます。
そのうち、軽度では「AIチャットボット」、中等度以上では「SNS相談」「オンライン相談」で対応してくれます。
ストレスケアを目的に、認知行動療法の専門家である大野裕先生が企業と共同開発した「こころコンディショナー」を改良したバージョンを利用
NPO法人東京メンタルヘルス・スクエアのSNS相談「こころのほっとチャット」を利用
研修を修了した心理士や医師が、無料でZoomを用いた40分間のオンライン相談を実施(カメラのオン・オフは任意で選択可)。相談内容によって、医療の必要性がある場合は、本人の同意のもと、連携医療機関を紹介。
「KOKOEOBO」の有用性
2021年4月末に運用開始し、2024年12月で、40万件をこえるHPアクセスがあったようです。
約9,000人のユーザー登録があり、約4,000人の方から、研究同意を得て、データの分析をしているとのことです。



利用者は、20代から50代まで幅広いです。
その70%の方に、中等度以上のメンタル不調が認められたようです。
その方々においても、1か月後との比較では、気分、不安、睡眠の改善、生活の質の向上が認められたとのことです。
子育て世代にとっての「オンラインメンタルヘルスケア」のメリット


子育て中の共働き夫婦にとって、自分のメンタルヘルスケアはつい後回しになりがちです。
ですが、親のメンタルが整うことは、家庭全体の安定にもつながります。
ここでは、オンラインだからこそ実現できる、子育て世代にとっての具体的なメリットをご紹介します。
スキマ時間に相談できる手軽さ
オンラインメンタルヘルスケアは、通勤時間や昼休みなどのスキマ時間にも利用できます。
子どもが寝た後や在宅ワークの合間など、日常の中で「今なら少し話せる」というタイミングを選べるのが魅力です。
移動や待ち時間がないため、時間に追われる子育て世代にとっては非常に現実的な選択肢です。
自宅からアクセスできることで、心のケアが「特別なこと」ではなく、日常の一部になります。
夫婦や育児の悩みも相談しやすい
家族に関する悩みはデリケートで、対面では話しづらいと感じることもあるでしょう。
オンラインなら、誰にも知られずに相談できる安心感があります。
育児のストレスや夫婦間のすれ違いなど、身近すぎる問題ほど一人で抱え込みがちですが、第三者に話すことで冷静な視点が得られ、気持ちが整理されていきます。
こころの専門家が受容的に接してくれるので、「こんなことで相談していいのかな?」と思うようなことでも、気軽に打ち明けることができます。
心の余裕が家族の笑顔を生む
自分の気持ちに余裕が生まれると、家族にも自然と優しくなれるものです。
心のモヤモヤを溜め込まず、定期的にアウトプットすることで、イライラや不安を小さなうちにリセットできます。
特に子育て中は思いどおりにならないことが多く、ストレスがたまりがちです。
オンラインメンタルヘルスを活用することで、心のバランスを保ち、家庭にあたたかい空気を取り戻す手助けになります。
結果として、家族の関係もより良い方向に変わっていきます。
まとめ
今回は、オンラインメンタルヘルスケアシステム「KOKOROBO」についてその仕組みや活用法について紹介しました。
オンラインメンタルヘルスケアは、忙しい中でも自分の心と向き合うきっかけをくれるツールです。
「通う余裕はないけれど、誰かに話を聞いてほしい」・・・
そんなときこそ、無理なく始められる方法を選ぶことが大切です。
心の健康は、家族の笑顔にもつながります。
今回紹介した「KOKOROBO」を活用しながら、あなたに合ったケアのかたちを、ぜひ見つけてみてください。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。


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