今回の記事では、
ムダに怒らない人になる方法
について詳しく説明していきます。
怒りの感情は誰にでも生じるものですが、ちょっとしたことで怒りやすい人とそうでない人がいますよね?
その人たちの違いは何かというと、物事の受け止め方や意味づけの仕方にあります。
言い換えると、出来事の「解釈の仕方」によって、イライラするかしないかが決まるということです。
「怒りっぽい性格は変えられない」と思うかもしれませんが、そうではなくて解釈の仕方を変えられれば、怒りっぽい性格も変えることができます。
ただ、そう言われても、どのように解釈の仕方を変えれば良いか思いつかない人も多いでしょう。
そこで、今回は、
- ムダに怒らない人になりたい!
- イライラにつながる解釈の仕方を変えるにはどうしたらいいの?
- 怒りを上手にコントロールしたい!
といった疑問や悩みに答えていきます。
この記事では、日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤俊介氏の「図解アンガーマネジメント超入門 怒りが消える こころのトレーニング」を参考しています。
アンガーマネジメントとは
「アンガーマネジメント」とは、怒りなどの感情を上手にコントロールしたり、適切な方法で表現できたりするようになるためのスキルです。
怒りなどの感情と上手に付き合うための心理教育、心理トレーニングです。
自分の怒りの感情と上手に付き合い、人前で怒りの感情を上手に出せるようになったり、必要のないときには出さないようにしたりできるようになることを目的としています。
ムダに怒らない人になる10の心の持ち方
出来事についての「解釈の仕方」を変えれば、自分の怒りを避けることができます。
出来事に対する解釈は誰にでも変えることができます。
怒りが発生する3ステップについて一度見てみましょう。
- ステップ①出来事に遭遇する
- ステップ②意味づけをする
- ステップ③怒りが発生する
ここでは、ステップ②の意味づけについて扱っていきます。
「解釈の仕方」を変えれば意味づけの方向も変えることができるので、ムダにイライラすることがなくなります。
その方法について全部で10紹介していきます。
- 怒りの奥にある「本当の気持ち」と向き合う
- 理想の自分を追い求めない
- 怒った自分を責めない
- 心のコップをポジティブな感情で満たす
- どうしようもないことへの怒りを手放す
- 他人の評価に振り回されない
- 怒りをモチベーションに変える
- 人間関係で見返りを求めない
- 権利・欲求・義務を分ける
- 自分ルールを見直す
このステップの考え方は、認知行動療法に基づいているので、次の記事も参考にしてください。
また、ステップ③の対処法については、次の記事で詳しく説明しています。
怒りの奥にある「本当の気持ち」と向き合う
怒りは、二次的感情です。
その裏に一次的感情が潜んでいることが少なくありません。
例えば、お酒を飲んで帰りの遅い夫に向かって、子育て中の妻がイライラして不満を述べるときのことを想像していましょう。
妻に怒りが生じているのには違いありませんが、本当は妻の中には「自分一人で子どもの面倒を見るのが不安だ」「夫の帰りが遅いので心配している」といった気持ちが隠れている可能性があります。
妻の怒りに対してなだめようとしたり、逆に怒ったりしてもあまり効果的ではありません。
妻の怒りの裏にある本当の気持ちに対処しなければ、いつまでも怒りは続いてしまいます。
相手に怒りを感じたとき、また相手を怒らせてしまったときに大切なのは「怒りの奥にある一次的感情は何か」と考えることです。
怒りそのものに対処するのではなくて、一次的感情を探って、その対処をして、解決に導く方が効果的です。
不安、心配、悲しさ、恥ずかしさなどの感情に向き合って、その解決に向けて話し合い、行動すると、自然と怒りはおさまっていきます。
感情の捉え方や感情の発達については詳しく説明した記事があるので参考にしてください。
理想の自分を追い求めない
私たちは、誰でも「理想の自分像」を持っています。
なりたい自分像があるのは決して悪いことではありません。
理想を求めて努力を重ねるのは、仕事の姿勢や生き方としても素晴らしいものです。
しかし、いつもその理想の姿でいられるとは限らないことを知っておく必要があります。
特に、完璧主義の人は、理想の自分を追い求め、しかし理想になりきれないときに自分に対して失望しがちです。
「自分は子供にとって良い親ではない」
「仕事も家事も全部中途半端だ」
思い悩み、イライラして人に当たってしまうなど、悪循環に陥ることがあります。
完璧主義の人のマズい点は、理想の姿を他人にも求めることです。
相手が自分の期待に応えられないとき、「どうしてこれくらいのことができないんだ」と怒りを感じてしまいがちです。
相手を追い詰めるので、人間関係を悪化させてしまいやすいのです。
完璧主義を捨てて、「現実にあった理想の姿」を目指しましょう。
理想と現実の折り合いをつけることが怒りを生じさせないためにも大切です。
怒った自分を責めない
アンガーマネジメントは怒ること自体は否定していません。
怒りは自然な感情であって、うまくコントロールすることでやる気やモチベーションにもつながります。
問題は、怒りの攻撃性です。
攻撃は、①他人、②物、③自分の3方向に向かいます。
①他人を攻撃すると、人間関係を悪化させてしまいます。
自分の立場や気持ちを伝えることは大切ですが、あまりに攻撃的になると相手も自分も疲弊してしまいます。
②物に当たるのは誰も傷つかないから問題ないと感じるかもしれませんが、そうではありません。
物に当たると怒りは心に定着してしまい、どんどんエスカレートしてしまうのでお勧めできません。
③失敗した自分を責めるのは攻撃を自分に向けているのと同じです。
罪悪感を募らせて、気持ちがふさぎ込んでしまうので、これも避けるべきです。
アンガーマネジメントを始めたばかりの頃は、うまく怒りをコントロールできなくて怒ってしまい、自分を責めてしまいがちです。
怒ってしまった自分を否定するのではなく、怒りっぽい事実を認め、じっくりマネジメントしていきましょう。
自分を受け入れるのもアンガーマネジメントです。
心のコップをポジティブな感情で満たす
普段ならささいなことで笑って済ませられるようなことに怒ってしまうときは、多くの場合は思いどおりにいかないことが続いていたり、不運な出来事が続いていたりするときです。
ネガティブな感情が高まっているところに、小さな出来事が起きることで爆発してしまうのです。
コップの水が溢れるイメージです。
そのため、普段からネガティブな感情をため込まないことが大切です。
また、ネガティブな感情の代わりに、ポジティブな感情を増やすことも考えてみましょう。
ポジティブな感情を増やすためには、「ポジティブに解釈できないかな」と意識的に別の視点を取り入れてみることが効果的です。
物事を多面的にみる訓練になりますし、感情のコントロールに役立つバランス感覚を養うことができます。
子どもの感情コントロールについては、次の記事も参考にしてください。
どうしようもないことへの怒りを手放す
家族関係、失恋、仕事での失敗、友達とのトラブルなど、辛い経験を持つ人は少なくありません。
あまりに辛い経験は、時間が経ってもフラッシュバックしたり、何かの拍子に思い出したりして、怒りを感じることもあります。
問題は、怒りにとらわれてしまうと、有意義な人生を送るチャンスを手放すことになるかもしれないということです。
過去を変えることはできないので、過去の出来事への怒りは一刻も早く手放すべきです。
他人の評価に振り回されない
自分の精神の健康のために、他人の評価は放っておくようにしましょう。
昨今SNSなどで周囲からの評価が気になって仕方がない人が増えています。
気にしない方がいいと思っても、気になってしまうので、見ないのが得策です。
他人からの評価を見ない、耳に入れないようにするだけで、精神的にグッと楽になります。
ですが、家族や職場の人間関係では評価を放っておくことは難しいと思います。
相手との関係性において、相手は変えられないけど、自分の行動は変えることができることを実践していけば、いい関係を築くことができ、気になるような評価を受けることは少なくなるでしょう。
怒りをモチベーションに変える
怒りはマイナスの面ばかり見られがちですが、人生をプラスに導く性質も持っています。
例えば、現役アスリートの中には、悔しさや怒りにとらわれて、精神状態が乱れてしまう選手もいれば、怒りのエネルギーで強くなる選手もいます。
現状に満足すると、何かを生み出すことはできません。
健全な怒りが変化につながる力を生み出していきます。
人生という枠で自分が達成したい目標を見つめ直せば、怒りをモチベーションに変えるきっかけになるでしょう。
人間関係で見返りを求めない
多くの人は、自分の行動に対して見返りを求めます。
特に、プライベートな人間関係で見返りを求めると、怒りを生む原因になります。
相手が必ずしも自分にとっての望みのものを与えてくれるとは限らないからです。
怒りを生む原因となるのは期待と結果のギャップです。
他人への期待値を下げることで、怒りを抑えることができます。
また、怒りを感じる原因の一つに「やらされ感」があります。
例えば、職場で自分が率先して掃除をしても、他者から感謝の言葉もないと怒りを感じるかもしれません。
しかし、「自分はきれい好きだから掃除をしている」と思えば、やらされた感覚はなくなり、納得して掃除をすることができるでしょう。
自分が本当にやりたいと思っていることを優先すれば、見返りがないことへの怒りはなくなります。
権利・欲求・義務を分ける
俺様思考は、自分も周りも苦しめます。
例えば「私はこのグループで年上なのに、尊重されていない」「乾杯の音頭は自分が取るべきだ」などと、ちょっとしたことで怒りを爆発させてしまうことにつながります。
こうした考え方は、ちょっと極端かもしれませんが、俺様思考は意外と誰でも陥りやすいものです。
「自分が残業しているのに部下が先に帰ってしまった」「子どもは大人が決めたルールに従うべきだ」などです。
このようにゆがんだ考え方を正すには、権利・欲求・義務を分けて考えるのが有効です。
例えば、「自分が残業しているのに部下が先に帰ってしまった」ことについて、図を使って分けて考えていきます。
部下 | 自分 | |
---|---|---|
権利 | 終業時間になれば帰れる。 | 残業してほしいと伝える。 |
欲求 | できるだけ早く帰りたい。 | 仕事が多いときは手伝ってほしい。 |
義務 | 仕事が終わるまでは残業する。 | 部下は上司より後に帰るべきだ。 |
自分の欲求を部下の義務として押し付けるとトラブルになってしまいます。
この場合には、上司は「自分の仕事が山積みなので、少し残業して手伝ってほしい。」とお願いすればトラブルにはならないでしょう。
権利・欲求・義務について分けて考える習慣が身につけば、身近な人間関係でイライラする機会は減っていきます。
自分ルールを見直す
自分ルールは、世間の常識と同じとは限りません。
「〜べき」「〜べきではない」という考え方は自分ルールといえますが、自分ルールを世間の常識と同じと考えてしまうと、トラブルが発生しやすくなります。
例えば、約束の時間を守ることについて、人によってはピッタリの時間に到着すれば良いという人、5分前、10分前、15分前などと意見が分かれます。
もしも10分前には着いておくべきだと考えている人が、「時間ピッタリに来るなんてルーズだ」とイライラしがちなのは、自分ルールで怒っているからです。
世間の常識と思っていることは、意外にも狭い世界にしか通じないことかもしれません。
他人の「自分ルール」を押し付けられてイライラした体験があるのではないでしょうか?
自分ルールと世間の常識を分けて考えることでトラブルを予防できます。
まずは、自分ルールを押し付けることをやめましょう。
まとめ
今回は、アンガーマネジメントでムダに怒らない人になる方法について説明しました。
アンガーマネジメントスキルを身に付ければ、解釈の仕方を変えることができ、イライラしない人になれます。
次の10の心の持ち方が大切です。
- 怒りの奥にある「本当の気持ち」と向き合う
- 理想の自分を追い求めない
- 怒った自分を責めない
- 心のコップをポジティブな感情で満たす
- どうしようもないことへの怒りを手放す
- 他人の評価に振り回されない
- 怒りをモチベーションに変える
- 人間関係で見返りを求めない
- 権利・欲求・義務を分ける
- 自分ルールを見直す
アンガーマネジメントで怒りに流されないコツと習慣を身に付ける方法については、次の記事を参照してください。
また、アンガーマネジメントを子育てに活かす方法については次の記事も参考にしてください。
ご相談やご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせまでご連絡ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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