トラウマは「消す」より「向き合う」|心を楽にする考え方と相談先

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「あの出来事が、何年たっても忘れられない」「ふとした瞬間に、当時のつらさがよみがえって苦しくなる」

過去の傷ついた記憶は、時間がたっても消えてくれないことがあります。そして、自分でも気づかないうちに、今の気持ちや子どもへの接し方にまで影響していることも少なくありません。

よく「トラウマを消す方法」と検索される方がいますが、私は公認心理師として、まずお伝えしたいことがあります。トラウマは無理に「消す」ものではなく、安全に「向き合っていく」ことで、少しずつ楽になっていくものだ、ということです。この記事では、その向き合い方と、頼れる相談先を一緒に見ていきましょう。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • 過去のつらい記憶が、ふとした瞬間によみがえって苦しくなる方
  • 「トラウマを消したい」と感じている方
  • 自分の生い立ちが、今の子育てに影響している気がする方
  • どこに相談すればいいのか分からず、ひとりで抱えている方
目次

トラウマは、なぜ簡単には消えないのか

ポイント

そもそもトラウマとは、心が処理しきれないほどの強い体験が、整理されないまま心に残ってしまった状態です。記憶が「過去のこと」として整理されず、今もすぐそばにあるように感じられるのが特徴です。

だからこそ、トラウマは意志の力で「忘れよう」「消そう」としても、なかなかうまくいきません。むしろ、無理に蓋をしようとするほど、かえって苦しくなることもあります。大切なのは、消すことではなく、安全な形で少しずつ整理していくことです。

そして、これはとても大事なことなのですが——つらい記憶がよみがえるのは、あなたが弱いからでも、気の持ちようの問題でもありません。心が傷を癒そうとしている、自然な反応なのです。

ゆう

消そうと頑張るほど苦しくなる。それがトラウマの難しさです。

過去の傷が、今の子育てに影を落とすことも

自分自身の生い立ちや、親との関係で受けた傷は、大人になってからの心に影響し続けることがあります。とくに子育ての場面では、それが思わぬ形で顔を出すことがあります。

たとえば、子どものある言動に強くいら立ってしまう。理由もなく不安になる。これはあなたの過去の傷が反応しているのかもしれません。けれど、どうか自分を責めないでください。それに気づけたこと自体が、その連鎖を断ち切るための大きな一歩です。

これはあくまで一般化した事例ですが、厳しく育てられた経験を持つ方が、わが子に同じように接してしまう自分に気づき、苦しまれることがあります。「繰り返したくないのに、繰り返してしまう」。その葛藤は、過去と向き合うことで少しずつほどけていきます。自分の親との関係に悩む方は、こちらの記事も参考になるかもしれません。

トラウマへの向き合い方と、専門的な治療法

トラウマには、専門家のもとで行う有効な治療法があります。代表的なものに、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)ブレインスポッティングがあります。どちらも、視線や眼の動きを使って、脳がトラウマ記憶を安全に処理していくのを助ける方法です。

ただし、ここは大切なポイントです。これらは本来、訓練を受けた専門家のもとで行うものです。つらい記憶を一人で無理に呼び起こそうとすると、かえって気持ちが不安定になったり、フラッシュバックが起きたりすることがあります。自己流で深く踏み込むのは、避けたほうが安全です。

日常でできる、安全なセルフケア

トラウマそのものの処理は専門家に委ねつつ、日々のしんどさをやわらげる安全な方法もあります。たとえばグラウンディング——つらい記憶に引き込まれそうなとき、足の裏が床につく感覚や、今見えるもの・聞こえる音に意識を向けて、「今、ここ」に気持ちを戻す方法です。これは記憶を呼び起こすものではないので、安心して試せます。

セルフ・スポッティングという考え方

ブレインスポッティングには、「一点をぼんやり見つめる」というシンプルな作業をセルフで取り入れるセルフ・スポッティングという考え方もあります。気持ちを落ち着けるきっかけとして知っておくのはよいことですが、深いトラウマに一人で取り組むのは推奨されません。やり方や注意点を正しく知りたい方は、専門家が一般向けに書いた次の書籍がわかりやすいです。あくまで入り口として、深い部分は専門家と一緒に進めてくださいね。

ひとりで抱えず、専門家に頼るという選択

カウンセラー

「これくらいで相談していいのかな」とためらう方は多いですが、つらさに大きいも小さいもありません。とくに、眠れない・フラッシュバックが続く・気分の落ち込みが強いといった状態があるときは、早めに専門家に頼ることが回復への近道です。

医療機関での治療が必要なケースもありますし、まずは気持ちを整理したいという段階なら、オンラインカウンセリングという選択肢もあります。自宅から、自分のペースで専門家に話せるので、はじめての方でも始めやすいですよ。

つらい記憶を、ひとりで抱えていませんか

過去の傷つらさは、信頼できる専門家と一緒に、少しずつ整理していけます。オンラインなら、自宅から自分のペースで相談できます。まずは話してみることから始めてみませんか。

まとめ

今日お伝えしたことを、最後に振り返っておきますね。

  • トラウマは無理に「消す」ものではなく、安全に「向き合う」もの
  • つらい記憶がよみがえるのは、心が癒そうとしている自然な反応
  • 過去の傷が、今の子育てに影響することもある(でも自分を責めないで)
  • EMDRやブレインスポッティングは、専門家のもとで行う治療法
  • 一人で深く踏み込まず、グラウンディングなど安全なケアと専門家の力を借りる

過去のつらさを抱えながら、それでも毎日を生きているあなたは、本当に頑張っています。一人で消そうとしなくて大丈夫です。安全な場所で、信頼できる人と一緒に、少しずつ。あなたのペースで進んでいきましょう。

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ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。