お子さんが不登校になると、子どもにも親にもかなりの心理的な負担となります。
親としては、子どもの不登校の原因を見つけて、それを解決しなければならないという使命感を抱くでしょう。
また、親にとっては仕事にも影響を及ぼしてしまうので、できるだけ早く解決したいと焦りや不安も高まりやすいものです。
不登校の解決に特効薬はありませんが、不登校を乗り越える方法の一つとしてカウンセリングがあります。
そこで、本記事では、不登校の背景にある心理的な要因を解説し、カウンセリングがどのように効果的に作用するのか説明します。
- 子供が不登校になって困っている!
- 不登校の原因がわからずどうしたらいいか不安だ!
- 不登校の子どもにカウンセリングを受けさせたい!
不登校に悩む家庭がカウンセリングの有用性を理解して、前向きな一歩を踏み出すことを目指します。
不登校の原因と心理的要因
まずは、子どもが不登校になる原因とその心理的要因について解説します。
不登校の一般的な原因としては、次の3点が挙げられます。
- 学業のプレッシャーと学習の困難さ
- いじめや人間関係のトラブル
- 家庭環境の影響
この記事では小学生から中学生くらいの子どもを想定しています。
学業のプレッシャーと学習の困難さ
不登校の原因の1つ目は、学業のプレッシャーと学習困難です。
子どもたちは、学校で集団生活を送っています。
そこでは常に成績や進学などのプレッシャーを感じますし、他の生徒との競争によるストレスが生じやすいです。
特に小学6年生や中学3年生の受験前になると、学校の仲間との比較、学習塾での比較、親や先生からのプレッシャーなど相当の心理的な負担が起きます。
また、学習障害(LD)や注意欠如多動症(ADHD)といった発達障害がある子どもは、学習に困難さを抱きがちです。。
学習障害は、全体的な知的能力は平均程度ですが、「読み」「書き」「計算」などの特定の分野のうち1つ又は2つ以上だけが極端に苦手なのが特徴です。
ADHDは、多動で注意散漫で、集中力が続きにくいため、学校で椅子にじっと座ってられなかったり、授業中に集中が切れてしまって授業が頭の中に入ってこないと言うことが起きやすいです。
こうした学校のプレッシャーや学習の困難さによって生じる心理的な要因が不登校につながります。
- 自己評価の低下:成績が振るわないことで自己価値感が低下し、学校に行くことが嫌になる。
- 不安や恐怖:宿題やテストに対する強い不安感から登校拒否になる。
- 避けたい心理:失敗や叱責を避けたいという心理が働き、学校に行くことを避けるようになる。
いじめや人間関係のトラブル
不登校の原因の2つ目は、いじめや人間関係のトラブルです。
不登校の原因として、一番イメージが湧きやすいものです。
同級生から暴力を振るわれたり、無視をされたりなどいじめられることによって、学校に行くことに恐怖や不安を抱いてしまいます。
いじめた側からすると大したことはしていないという認識であったとしても、本人にとってはつらいことです。
クラスで孤立化してしまうとますます学校に行けなくなってしまいます。
そうしたときに、教師や親に相談できればいいのですが、いじめられている子どもの中には、「相談しても意味ない」とか「親に心配かけたくない」といった理由から隠してしまうことがあります。
親は、不登校の原因がわからず、子どもを叱ってしまうこともあり、そうなると不登校が続いてしまいます。
- 恐怖と不安:いじめを受けることで強い恐怖感が生まれ、学校に行くことが怖くなる。
- 孤独感と疎外感:友人関係の問題から孤独感や疎外感を感じ、学校に行きたくなくなる。
- 無力感:いじめに対して無力感を感じ、対処方法が見つからずに不登校になる。
家庭環境の影響
不登校の原因の3つ目は、家庭環境の影響です。
家庭環境が落ち着かないと、子どもは安心して学校に行くことができません。
親の離婚や別居、夫婦げんか、家庭内DVなどの家庭内不和など原因はさまざまです。
そのほかにも、貧困による余裕のなさ、親の精神疾患などが影響することもあります。
子どもは家庭内で不安な気持ちが生じてしまいますし、学校に行くことに意欲的を失ってしまいます。
- 安全感の喪失:家庭内の不安定な状況が子どもの安全感を損ない、不登校になる。
- 自立の困難:過保護な育て方によって自立心が育たず、学校という外部環境に適応できなくなる。
- 心理的負担:家庭内の問題が子どもに心理的負担をかけ、それが登校拒否の原因となる。
不登校に対するカウンセリングの役割と効果
次は、不登校に対するカウンセリングの役割と効果について説明します。
不登校に対するカウンセリングを受けるとしたら、学校に所属するスクールカウンセラーに依頼するのが一般的です。
そのため、ここでいう「カウンセリング」とは、スクールカウンセラーによるものとします。
次の3つのポイントについて触れていきます。
- 心理的サポートと自己理解の促進
- 問題解決スキルの向上
- 家庭との連携とサポート
スクールカウンセラーによるカウンセリングの効果については、次の記事も併せてお読みください。
心理的サポートと自己理解の促進
1つ目は、子どもに対する心理的なサポートと自己理解の促進です。
スクールカウンセラーは、子どもの話にじっくりと耳を傾けてくれます。
子どもは安心して自分自身の感情や考えに向き合って、自分の悩みや不安を言葉にできるようになります。
子どもは、そうした過程を通じて、気持ちが落ち着いてきて、不登校の原因に向き合って、解決の第一歩を踏み出せるようになります。
親にとっても、子どもが変化していき、家庭でも話してくれるようになることで、気持ちが安心して冷静に立ち振る舞えるようになり、子どもと協力して不登校を乗り越えることができます。
- 自己理解の向上:子どもは自分の気持ちや考えを言葉にすることで、自己理解が深まり、問題の本質に気付くことができます。
- 心理的安定:感情を表現することでストレスが軽減され、心理的安定感が得られます。
- 自信回復:自己理解が進むことで、自己評価が高まり、自信を回復することができます。
問題解決スキルの向上
2つ目は、子どもの問題解決スキルの向上です。
スクールカウンセラーによるカウンセリングセッションを通して、子どもがどのような問題で困っているのか、その問題に直面したらどのような方法で解決できるかを学ぶことができます。
カウンセラーは、その子に合った解決方法を助言してくれます。
子どもは、その助言を受けて、実生活で試してみて、うまくいけばそれを続け、うまくいかなければ再びスクールカウンセラーに相談して別の方法についてアドバイスを受けられます。
スクールカウンセラーは、子どもの発達に応じた課題に沿って助言してくれます。
- 実行可能な対策:具体的な行動計画を立てることで、子どもが学校生活に再び適応するための具体的なステップを踏むことができます。
- スキルの習得:問題解決のスキルを学ぶことで、子どもは将来の困難に対処する力を身につけます。
- 前向きな思考:解決策を見つける過程で前向きな思考が促進され、不登校からの回復が進みます。
家庭との連携とサポート
3つ目は、スクールカウンセラーによる家庭との連携とサポートです。
スクールカウンセラーは、子どもに対してカウンセリングセッションを行うだけでなく、そこで得られたアセスメント結果を学校教諭や親などと共有して、親子をサポートしてくれます。
親自身に対してもカウンセリングをしてくれることもあり、そこで子どもを支えるための適切な方法を教えてくれます。
- 家庭環境の改善:親がカウンセリングに参加することで、家庭内のコミュニケーションが改善され、安心できる環境が整います。
- 親子関係の強化:親と子の信頼関係が強まり、子どもが家庭でのサポートを実感できるようになります。
- 一貫した支援:家庭とカウンセリングの連携により、一貫したサポートが提供されることで、子どもの回復が促進されます。
実際のカウンセリングのプロセス
実際にスクールカウンセラーのカウンセリングを受けるまでのプロセスについて紹介します。
大きく次の3つの段階に分けて説明します。
- スクールカウンセラーの依頼の仕方
- 初回面接と継続的なセッション
- 振り返りとフォローアップ
スクールカウンセラーの依頼の仕方
まずは、スクールカウンセラーに依頼する方法についてです。
不登校についてスクールカウンセラーに相談したければ、学校の担任や保健室の先生(養護教諭)などに相談しましょう。
子どもにカウンセリングを受けさせることも、親自身が相談することもできます。
もちろん子どもも親もカウンセリングの料金は無料です。
ただし、学校によっては予約がいっぱいで、なかなかスクールカウンセラーに相談することができないこともあるので、ちょっとでも相談したいと悩んでいたら早めに依頼しましょう。
年度はじめの「スクールカウンセラーだより」にカウンセラーの自己紹介や具体的な申込方法などが書かれています。
初回面接と継続的なセッション
初回面接のことを、臨床心理学ではインテーク面接と呼びます。
インテーク面接では、相談に来てくれた方との信頼関係を築くことに焦点が置かれます。
そのため、とにかく相談者の悩みや不安についてじっくりと話を聞いていくことになります。
その中で、不登校の原因を探るための質問を織り交ぜていき、その原因を考えていきます
これを「心理アセスメント」と呼び、不登校の原因とその対処方法を考えていきます。
初回面接を終え、それで問題が解決できれば終了となりますが、大抵の場合は、次回以降の継続的なカウンセリングセッションが続くことになります。
継続的なカウンセリングセッションでは、不登校の原因を探りつつ、その原因を解決したり、お子さんが自分の考えや感情を表現できるように促したりしていきます。
目標とするのは、上述したカウンセリングの役割と効果の通りです。
また、継続的なセッションの中で、親や学校教諭の協力も得ながら、不登校の原因を解決していきます。
振り返りとフォローアップ
カウンセリングセッションが進み、子どもが学校に少しずつでも通い続けることができるようになったら、スクールカウンセラーによるカウンセリングは終了となります。
カウンセリングの終盤では、これまでの子どもの変化を振り返ります。
お子さんがどのような悩みを抱えてきて、どのように乗り越えてきたのかを振り返り、今後似たような問題に直面したときに自分自身の力で解決できるようにさせます。
また、カウンセリングが一時的に終了となっても、スクールカウンセラーは学校にいるので、相談したいときに相談に乗ってもらうことができます。
スクールカウンセラーが時折お子さんにあって、フォローアップのためのカウンセリングを行ってくれることもあります。
不登校の子どもに対して家庭でできるサポートと環境づくり
不登校の子どもの家庭で、カウンセリングと並行して家庭でできるサポート方法についてアドバイスします。
子どもが安心して学校に通うことができるように家庭環境を整備したり、子どもが自信を持って行動できるように支援したりすることが必須です。
親が心に余裕を持って子どもに接することができるように、親自身の心のケアも欠かせません。
安心できる家庭環境の整備
子どもが学校生活に不安を持って不登校になっているのであれば、家庭内を安心できる環境に整備してあげましょう。
子どもにとって家庭はいわば「安全基地」です。
ちょっとつらい思いをして学校に行っても、帰る家が安全であると感じることができれば安心して家に帰ることができます。
家庭で心が回復して元気になることができれば、再び学校に行ってみようという気持ちになります。
注意して欲しいのが、「不登校の子どもには家庭の心地を悪くした方がいい」という誤った認識です。
家でも学校でも安心できない子どもは、心が回復せず、徐々に身動きが取れなくなってしまいます。
こうなると自室に引きこもってしまうか、家にも学校にも寄り付かずに不良仲間と非行などの問題行動に及ぶようになってしまうかもしれません。
子どもの自己肯定感の向上
子どもが自分に自信を持つことができず、学校生活を送ることに不安があって不登校になるケースもあります。
親は、子どものちょっとした頑張りとか、好きなことでも前向きに取り組んだことなどを積極的に評価して、自己肯定感を向上させることも大切なことです。
例えば、不登校で学校に行けなかったお子さんが、給食だけ食べに行けた、運動会などの行事には参加できた、先生と話すことができたなど、登校につながるような行動には積極的に褒めてあげることが良いでしょう。
そうすることで、子どもは学校に行くことに自信を持つことができるようになり、登校できる日も増えていきます。
親自身のケア
親は、不登校の子どもの対応に困り、担任やスクールカウンセラーと連絡をとり、職場にも急な休みを相談するなど、相当の苦労が生じます。
もしかすると、不登校がきっかけで、夫婦関係や親子関係にも影響が出てきて、ますます不登校が改善しにくくなってしまうかもしれません。
不登校を解決するためには、親自身の心のケアが欠かせません。
親自身が、子どもの不登校によるストレスが高まりやすいので、意識的にメンタルヘルスケアを心がける必要があります。
その人に合った方法でのメンタルヘルスケアを選ぶようにしましょう。
オンラインカウンセリングではメンタルヘルスカウンセリングも実施しています。
家族全体の健全なメンタルヘルスケアに注意を払いましょう。
まとめ
今回は、不登校の背景にある心理的な要因を解説し、カウンセリングがどのように効果的に作用するのか説明しました。
- 学業のプレッシャーと学習の困難さ
- いじめや人間関係のトラブル
- 家庭環境の影響
- 心理的サポートと自己理解の促進
- 問題解決スキルの向上
- 家庭との連携とサポート
不登校について専門的なアドバイスをもらいたいけど、学校には遠慮や不信感があって頼みにくいというときには、オンラインカウンセリングを受けることも方法の一つです。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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