お子さんが学校でWISC(知能検査)を勧められると、「いったいどんな問題が出るんだろう」と気になりますよね。うちの子は答えられるだろうか、緊張して固まってしまわないだろうか。そんな心配で、夜も落ち着かない方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、実際の問題そのものはお伝えできません。でも安心してください。どんな種類の問題が出るのか、当日どう進むのかは、知っておくことができます。私は公認心理師として、多くのお子さんの検査に関わってきました。事前に知っておくと安心できることを、まるごとお伝えします。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- WISCでどんな問題が出るのか知りたい方
- 検査当日の流れや所要時間を知っておきたい方
- 小学生・中学生の子が検査を受ける予定の方
- 家庭で何か準備できることはないか探している方
まずお伝えしたいこと|検査の問題そのものは公開できません

はじめに、正直にお伝えしておきます。WISCで実際に出される問題の中身そのものを、公開することはできません。ルールで固く決められています。
理由はシンプルです。事前に問題を知ってしまうと、お子さんの本来の力が正しく測れなくなるからです。検査は、お子さんを困らせるためのものではなく、得意と苦手を知って支援につなげるためのもの。答えを知った状態で受けても、その子に合った支援は見えてこないのです。
ゆう知らずに受けるほうが、その子のためになるのです。
ただし、がっかりしないでください。問題そのものは言えなくても、「どんな種類の課題が出るのか」「当日はどう進むのか」は、お伝えできます。ここを知っておくだけで、お子さんにも落ち着いて説明できるようになりますよ。
WISCではどんな種類の問題が出る?
WISCは、ペーパーテストではありません。心理職と1対1で、いろいろな課題に取り組んでいく形式です。大きく分けて、次の5つのタイプがあります。
口頭の質問に答える問題
「〇〇ってどういう意味?」「AとBはどこが似ている?」といった、言葉で答える課題です。言葉の知識や、考えを説明する力を見ています。文字を書く必要はなく、話して答える形式です。
絵や図を見て答える問題
絵や図を見て、当てはまるものを選んだり指さしたりする課題です。目で見た情報を捉える力を見ています。言葉が苦手なお子さんでも取り組みやすいタイプです。
推理力を問われる問題
図形の並びから規則性を見つけるなど、筋道を立てて考える課題です。知識の量ではなく、初めて見る問題に対してどう考えるかを見ています。
数字を聞いて覚える問題
読み上げられた数字を覚えて答える課題です。聞いた情報を一時的に覚えておく力(ワーキングメモリー)を見ています。学校で先生の指示を覚えられるかにも関わる力です。
手先を使う問題
積木を並べたり、決められた作業を素早くこなしたりする課題です。目と手を協応させる力や、作業のスピードを見ています。お子さんによっては、遊びのように楽しめるタイプです。
💡 大切なのは「全部できること」ではありません
WISCは、全問正解を目指す学校のテストとは違います。難しい問題まで進むように作られているので、途中でわからなくなるのは当たり前です。むしろ「どこまでできて、どこからつまずくか」を知ることに意味があります。できない問題があっても、まったく心配いりません。
WISCの仕組みや結果の見方について、もっと知りたい方はこちらをどうぞ。


検査当日の流れと所要時間


「当日はどんなふうに進むの?」という疑問にお答えします。おおまかな流れは、次のとおりです。
- 受付・簡単な説明。保護者の方から普段の様子を聞くこともあります
- お子さんと検査者が、静かな個室へ。基本は1対1で行います
- いくつかの課題に取り組む。途中で休憩をはさむこともあります
- 終了。結果は後日、面談などで説明されるのが一般的です
所要時間は、おおよそ1時間〜1時間半が目安です。お子さんの様子によっては、2時間近くかかることもあります。体力を使うので、体調のよい日に受けられるとよいですね。
雰囲気について、いちばんお伝えしたいことがあります。WISCは、厳しい試験のような場ではありません。心理職がやさしく声をかけながら、対話的に進めていきます。緊張しているお子さんには、雑談をして緊張をほぐすところから始めます。安心して送り出してあげてください。



「怖い場所じゃないよ」と伝えてあげてくださいね。
検査を前に、不安が消えないときは
お子さんへの伝え方や、結果への心配。誰かに話すだけで整理できることもあります。公認心理師などの専門家に、オンラインで相談できます。
小学生と中学生で違いはある?
WISCの対象年齢は、5歳から16歳11ヶ月までです。小学生でも中学生でも、同じWISCを受けます。ただし、出題される課題は年齢に応じて難しくなっていく仕組みです。中学生には中学生に合った難易度の課題に取り組むことになるため、心配いりません。
年齢による違いで、むしろ大切なのは気持ちの面です。中学生になると、「なんで自分だけ検査を受けるの」と反発を感じるお子さんもいます。だからこそ、本人が納得して受けられるかどうかが大切になります。
💡 中学生への伝え方の例
「悪いところを調べる検査」ではなく、「あなたに合った勉強のやり方を見つけるための検査だよ」と伝えると、受け入れやすくなります。本人の困りごと(覚えるのが大変、集中が続かない等)と結びつけて話すのも有効です。
なお、16歳になると大人用のWAISを受ける選択肢も出てきます。年齢が近いお子さんの場合は、どちらの検査が適しているか相談してみてください。2つの検査の違いは、こちらで解説しています。


家庭でできる準備と、結果への不安
特別な勉強や対策は必要ありません。ただ、正確な結果を得るために、家庭でできることが3つあります。
- 検査の目的を、お子さんに伝えておく……「あなたの得意なことを見つけるためだよ」と、前向きな言葉で
- 検査内容を事前に教えない……よかれと思っても、本来の力が測れなくなります
- 体調を整えておく……前日は早めに休み、当日は朝ごはんを食べて出かけましょう
そして、検査を前に不安なのは、お子さんだけではありませんよね。「結果が悪かったらどうしよう」と、親のほうが眠れないこともあると思います。
でも、どうか覚えていてください。WISCは、お子さんに優劣をつけるための検査ではありません。得意と苦手を知り、その子に合った関わり方を見つけるための地図です。結果がどうであれ、お子さんの価値は少しも変わりません。



検査は「評価」ではなく「理解」のための時間です。
結果を受け取ったあとの向き合い方については、こちらの記事もあわせてご覧ください。


一人で抱え込まなくて、大丈夫です
検査への不安も、結果の受け止め方も、専門家と一緒に考えていけます。自宅から、あなたのペースで相談できるのも心強いポイントです。
まとめ
WISCの問題の中身と流れについて、ポイントを振り返ります。
- 実際の問題は公開できない。事前に知ると本来の力が測れなくなるため
- 出題は大きく5タイプ(口頭・絵や図・推理・数字の記憶・手先を使う課題)
- 全問正解を目指す検査ではない。できない問題があって当たり前
- 当日は1対1、所要時間は1時間〜1時間半が目安。対話的な雰囲気で進む
- 小学生も中学生も同じWISC。年齢に応じて課題の難易度が変わる
- 準備は「目的を伝える・答えを教えない・体調を整える」の3つで十分
検査は、お子さんを試す場ではありません。その子の得意と苦手を知り、これからの関わりを考えるための時間です。どうか、いつもどおりの朝ごはんと「いってらっしゃい」で送り出してあげてください。その普段どおりが、いちばんの準備になります。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
