宿題の時間になると、鉛筆を持つ前にため息。定規がうまく使えなくて、プリントがぐしゃぐしゃに。そんな様子を見て、「どうしてこの子だけ」と胸が痛くなること、ありませんか。
その苦手は、やる気の問題でも、努力不足でもありません。道具がその子の特性に合っていないだけ、ということがよくあります。
この記事では、公認心理師の私が、発達に特性のあるお子さんの学びを支える学用品を、苦手の種類ごとにご紹介します。学校で使うものから、家庭学習を支えるものまで、全部で15点です。
私は子ども家庭支援センターで、発達や学習のご相談を受けています。相談室でも「道具をひとつ変えただけで、子どもの表情が変わった」という場面に、何度も立ち会ってきました。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- お子さんが学校の勉強や宿題でつまずいていて、何か助けになる道具を探している方
- 発達特性のある子に、どんな文房具を選べばいいのか迷っている方
- 「うちの子だけできない」と感じて、親子でしんどくなっている方
- 忘れ物や集中の続かなさに、毎日ひとりで対応している方
発達特性のある子の学用品を選ぶ3つのポイント

具体的な商品の前に、選ぶときの土台となる考え方をお伝えします。ここを押さえておくと、この先ご自身で選ぶときにも迷いにくくなります。
ゆう大事なのは、見た目より「その子に合うか」です。
1. デザインがシンプルなもの
お子さんは、キャラクターつきのものを欲しがるかもしれません。親としても、かわいいものを選んであげたくなりますよね。
ですが、発達に特性のあるお子さんは、刺激に敏感なことがあります。色や柄の情報が多いと、それだけで気が散ってしまいます。
色や形はできるだけシンプルに、使い方はワンタッチで済むものを選ぶと、勉強そのものに集中しやすくなります。
2. 苦手さを補ってくれるもの
一番大切なのが、この視点です。お子さんが「何につまずいているのか」に合わせて選ぶことです。
親御さんは、子どもの苦手をわかっているつもりでも、実際の原因は別のところにある、ということが少なくありません。
これはあくまで一般化した事例ですが、こんなお話があります。文字を書くのが苦手な小4のお子さん。親御さんは「記憶力の問題」と考えていました。ですが詳しく見ると、苦手なのは文字の形をとらえることでした。マス目が4分割になったノートに変えると、少しずつ書けるようになっていきました。同じ「書けない」でも、原因が違えば合う道具も変わります。
お子さんの苦手を正確に知りたいときは、WISCなどの知能検査が手がかりになります。詳しくはこちらの記事も参考にしてください。


3. 手に入れやすく、壊れても惜しくないもの
力の加減が苦手だったり、うっかりが多かったりすると、道具はすぐに壊れたり、なくなったりします。
一生懸命えらんだ道具を壊されると、つい叱りたくなります。でも、それでお子さんの心を傷つけては本末転倒です。
通販ですぐ買える、値段が手ごろ。この2つを目安にすると、気持ちに余裕を持てます。
【学校で使う】苦手を補う文房具6選
ここからは具体的な商品です。まずは、学校で毎日使う文房具から。どれも「その子の苦手を補う」視点で選んでいます。
筆箱:シンプルで丈夫なものを
筆箱は、無地でシンプル、そして丈夫なものを選びましょう。おすすめは「クツワ クラリーノ」です。軽くて丈夫、収納力もあり、長く使えます。
鉛筆:芯が折れにくいものを
鉛筆は、芯が折れにくいものが安心です。「三菱鉛筆 かきかた鉛筆 ナノダイヤ」は、濃くなめらかで、芯の強度も高めです。1本を長く使えるので、結果的に経済的です。
定規:目盛りが見やすいものを
視覚の処理が苦手なお子さんには、目盛りに工夫のある定規が向いています。「レイメイ藤井 白黒定規 15cm」は、0・5・10・15の数字が大きく、端が0から始まる面もあります。「端っこが0cm」になるだけで、ぐっと使いやすくなります。
分度器:360度測れるものを
ふつうの半円分度器は、180度を超えると測りにくくなります。「リネックス グリフィット分度器」なら、動かさずに360度測れるので、混乱しにくくなります。
コンパス:手のひらで回せるものを
指先の力加減が苦手だと、コンパスできれいな円を描くのは大変です。「ソニック くるんパス」は、持ち手を手のひらで握って回すだけ。値段も手ごろで、壊れても買い直しやすいです。
リーディングルーラー:読み飛ばし対策に
文章を読むうちに行がずれてしまう。そんなお子さんには、読む場所を色つきの帯でガイドする「リーディングルーラー」が役立ちます。「HOPELUCKIN」のセットなら、なくしても安心で、好きな色も選べます。
「どの苦手を補えばいいのか」がわからないときは
道具選びの前に、お子さんのつまずきを整理したい。そんなときは、オンラインで心理の専門家に相談できます。うららか相談室なら、匿名で、夜や土日にも話を聞いてもらえます。
【自宅学習】勉強のリズムと集中を支える4選


学校の学習を安定させるには、家庭での学習にリズムをつけることが助けになります。ここでは、我が家でも使っているものも交えてご紹介します。
時間割ボード:やることを目で見てわかるように
「今なにをすればいいか」を言葉だけで伝えても、抜けてしまう子は多いです。「クツワ METETE おうちの時間割ボード」は、やることが札になっていて、終わったら裏返すだけ。目で見て確認でき、自閉スペクトラム症のお子さんにもADHDのお子さんにも向いています。
学習タイマー:短く区切って集中を作る
集中が長く続かない子には、時間を短く区切るのが有効です。「ドリテック 学習タイマー」は、数字だけの大画面で、よけいな刺激がありません。短い時間でも「できた」を積み重ねられます。娘も小学生時に使っていました。
重いひざかけ:じっと座るのが苦手な子に
椅子にじっと座るのが苦手な子には、膝の上に置く「重いひざかけ」が助けになることがあります。ずっしりした重さと触り心地が、安心感につながります。我が家の息子も、これで少し落ち着いて座れるようになりました。
ペングリップ:鉛筆に力が入りすぎる子に
力の加減が苦手だと、鉛筆の持ち方や姿勢にも苦労します。「ペングリップ」は、正しい持ち方と姿勢を助ける器具です。持ち方が楽になるだけで、「書く」ことへの苦手意識が和らぐことがあります。
【忘れ物・紛失対策】持ち物を守る3選
忘れ物やなくし物は、叱っても直りにくいものです。仕組みで支えると、お子さんも親御さんも楽になります。
忘れ物チェッカー:6項目にしぼって
「スケーター 子供用 持ち物チェッカー」は、6項目まで持ち物を設定できます。全部を防ぐのではなく、「この6つだけは忘れない」くらいの気持ちで使うのがおすすめです。
透明バッグ:中身が見えて忘れにくい
手提げバッグは、外から中身が見える透明素材だと忘れ物に気づきやすくなります。お道具箱が入る、横30cm・高さ25cmほどのサイズが目安です。汚れやすいので、手ごろな値段のもので十分です。
忘れ物防止タグ:なくし物とお守りに
ランドセルやバッグに「Apple AirTag」を忍ばせておけば、スマホの「探す」アプリで見つけられます。多動で迷子になりやすいお子さんの場合、持ち物を通じて居場所の手がかりにもなります。
【聞く・書くが苦手な子に】音声で助ける2選


先生の話を聞きながらノートに書く。これは「聞く・覚える・書く」を同時にこなす、とても複雑な作業です。聴覚の処理が苦手な子には、音声の道具が支えになります。
オートメモ:録音を文字にしてくれる
ソースネクストの「AutoMemo」は、録音した音声を文字にしてくれるボイスレコーダーです。あとから読み返せるので、その場で書ききれなくても安心です。学校への持ち込み可否は学校の判断になりますが、家庭学習でも役立ちます。
文字起こしは一定時間まで無料で、それ以上は有料になります。使う前に確認しておくと安心です。
ICレコーダー:まずは録音だけでも
オートメモが高いと感じる方は、シンプルなICレコーダーだけでも学習の支えになります。選ぶポイントは、子どもでも使えるよう、ボタンが少ないものを選ぶことです。
道具を選んでも迷うときは、ひとりで抱えないで
ここまで15点をご紹介しました。とはいえ、「うちの子にはどれが合うんだろう」と、かえって迷ってしまった方もいるかもしれません。
それは当然のことです。道具は苦手を補う手段であって、まず必要なのは「その子が何につまずいているか」を知ることだからです。



道具選びに正解はありません。試しながらで大丈夫です。
お子さんの発達や学習でお悩みなら、発達障害者支援センターや児童相談所といった専門機関があります。ただ、直接足を運ぶのは勇気がいりますよね。
そんなときは、まずオンラインで心理の専門家に相談してみるのも一つの方法です。親であるあなたが、道具えらびをひとりで背負わなくていいのです。
子どもの苦手を、一緒に整理してくれる人がいます
うららか相談室は、国内最大級のオンラインカウンセリングです。800名を超える専門家から選べて、匿名で相談できます。発達の悩みも、そこから生じる子育ての疲れも、まとめて話して大丈夫です。
まとめ
- 学用品は「シンプル・苦手を補う・手に入れやすい」の3点で選びます
- 大切なのは、その子が何につまずいているかに合わせることです
- 学校の文房具は、目盛りや持ち手など「補う工夫」があるものを
- 家庭学習は、時間割ボードやタイマーでリズムと集中を支えます
- 忘れ物やなくし物は、叱るより仕組みで支えると楽になります
- 聞く・書くが苦手な子には、音声の道具が助けになります
- 道具選びに迷ったら、専門家に一緒に整理してもらえます
道具はあくまで、お子さんの学びを後ろからそっと支えるものです。全部そろえる必要はありません。
お子さんの「困った」がひとつでも軽くなって、親子で少し笑顔が増えますように。ぜひお子さんと相談しながら、楽しく選んでみてください。
あわせて読みたい記事








元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター















