子どものネットいじめに気づいたとき|親が最初にすべきこと

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夜、子どものスマホをたまたま見てしまった。あるいは、子どもが泣きながら打ち明けてきた——。

LINEのグループから外された。インスタに悪口を書かれた。知らないアカウントから何度もメッセージが来ている。

そのとき、あなたは何をすればいいのか、わかりますか。

ネットいじめは「見えない・消えない・24時間続く」という特性を持ち、リアルのいじめとは異なる対応が必要です。でも、何から手をつければいいのか、情報が多すぎてかえって迷ってしまう方も多いと思います。

この記事では、ネットいじめに気づいた直後に親がすべきことを、順を追って整理します。

私は公認心理師として子ども家庭支援センターに勤務し、発達障害・不登校・問題行動の相談を日々受けています。以前の職場では、ネットいじめをきっかけに深刻な状態になった子どもたちとも多く向き合ってきました。早く知っておけばよかった、という後悔をなくすために、今できることを一緒に考えましょう。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • 子どものLINEやSNSでのいじめに気づき、何から動けばいいか迷っている方
  • 子どもが打ち明けてくれたが、どう受け止めればいいかわからない方
  • 証拠の残し方や学校への伝え方を知りたい方
  • ネットいじめとリアルのいじめの違いを整理したい方
目次

ネットいじめがリアルのいじめと決定的に違う理由

電話相談
ゆう

「たかがSNS」と思ってはいけません

「学校の外でのことだから」「スマホを取り上げれば解決する」——こう思いがちですが、ネットいじめはそれほど単純ではありません。

ネットいじめには、リアルのいじめにはない構造的な特徴があります。

🔑 ネットいじめの4つの特性

  • 「消えない」——スクリーンショットで拡散され、削除しても残り続ける
  • 「24時間続く」——家に帰っても、深夜も、逃げ場がない
  • 「見えない」——親や教師が把握しにくく、発見が遅れやすい
  • 「拡散する」——一瞬で不特定多数に届き、二次・三次加害が起きやすい

文部科学省の令和6年度調査によると、2024年度のいじめ認知件数は約77万件で過去最多となり、SNSを介したいじめの増加が重大化の要因の一つとして明確に指摘されています。

特に深刻なのは、ネットいじめは「重大事態に至るまで認知できていない」ケースが多い点です。子ども自身が親に言えないまま、一人で抱え込み続けることが珍しくありません。

「たかがSNS」ではなく、「逃げ場のない24時間の苦しさ」として受け止めることが、親の関わりの出発点になります。

親が気づきにくい——子どもが言えない事情

ゆう

言えない子どもには、それなりの理由があります。

「なぜもっと早く言ってくれなかったの」——そう感じる親御さんは多いと思います。でも、言えないには理由があります。

💬 子どもが言えない、よくある理由

  • 「言ったらスマホを取り上げられる」という恐れ
  • 「親に心配をかけたくない」という気持ち
  • 「言ったらもっと大事になる」という不安
  • 「自分にも悪いところがあったのかも」という自責
  • 「どうせ大人にはわからない」という諦め

スマホを没収されると、いじめの現場(グループLINEなど)だけでなく、普段の友人とのやりとりも絶たれてしまいます。思春期の子どもにとってそれは、社会的なつながりを丸ごと失うような恐怖に感じられることがあります。

だからこそ、「話してくれてありがとう」という言葉が、最初に伝えるべき一言になります。スマホを取り上げるかどうかの判断より、まず子どもが「言って良かった」と感じられるかどうかが優先です。

気づきのサインとして、次のような変化に注意してみてください。

🔑 ネットいじめに気づくサイン

  • スマホを見た後に表情が暗くなる、急に元気がなくなる
  • 夜遅くまでスマホを手放せない、または急にスマホを見なくなった
  • 「学校に行きたくない」と言い始めた
  • 食欲や睡眠の変化、体調不良を訴える頻度が増えた
  • 特定の友達の話題が出なくなった

💬 一般化した事例

これはあくまで一般化した事例ですが——中学2年のIさんは、クラスの女子グループのLINEから突然外され、翌日から登校前に腹痛を訴えるようになりました。母親は「学校のことで何かあった?」と聞いても「別に」と返すだけのIさんに、なかなか踏み込めずにいました。1ヶ月後、Iさんが自分から「実はLINEで…」と話してくれたのは、ある日の夕食後、お母さんが「最近スマホ見てるとき、つらそうな顔してるよ」とさりげなく声をかけたときでした。

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気づいたときの対応——「スクショ」より先にすること

泣いている女性の肩をそっと抱く女性
ゆう

動く順番を間違えないことが大切です。

ネットいじめに気づいたとき、「まず証拠を残さなければ」と思う方が多いと思います。それは正しいのですが、スクリーンショットより先にすべきことがあります。

STEP1 子どもの気持ちを受け止める

最初の反応で、子どもが「言って良かった」と思えるかどうかが決まります。

✅ まず伝えたい言葉

  • 「話してくれてありがとう」
  • 「あなたは悪くない」
  • 「一緒に考えよう」

⛔ 最初に言わないほうがいい言葉

  • 「なんでもっと早く言わなかったの」
  • 「あなたにも原因があるんじゃない?」
  • 「スマホ取り上げるしかないね」

STEP2 証拠を保全する

気持ちを受け止めた後、「一緒に見せてもらえる?」と子どもの同意を得た上で、証拠を保存します。削除されると証拠が消えてしまうため、早めの対応が必要です。

📋 証拠保全のポイント

  • 問題の投稿・メッセージのスクリーンショットを保存する
  • 「いつ・どのサービスで・何が起きたか」を日時ごとにメモする
  • 相手のアカウント名・URL・スクリーンネームも記録しておく
  • 可能であれば、親のスマホにも同じものを転送して保管する

STEP3 学校に伝える

「ネット上のことだから学校には関係ない」と思われがちですが、いじめ防止対策推進法は、ネット上のいじめも対象に含んでいます。学校外で起きた出来事であっても、在籍する子どもの間の問題であれば学校は対応義務を負います。

担任やスクールカウンセラーに相談する際は、感情的にならず、STEP2で記録した事実を整理して伝えることが効果的です。事前に子どもに「学校に伝えてもいい?」と確認しておくことも忘れずに。

STEP4 それでも解決しないとき——外部機関へ

📋 相談・対応の外部窓口

  • 教育委員会——学校の対応に納得できない場合の相談先
  • 法務省インターネット人権相談——ネット上の誹謗中傷・プライバシー侵害への相談(無料)
  • 警察のサイバー犯罪相談窓口——脅迫・なりすまし・わいせつ画像の拡散など刑事事件に該当する可能性がある場合
  • プロバイダへの削除申請——各SNSの通報機能や、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求

「スマホを取り上げれば解決する」は、残念ながら根本的な対策にはなりません。ネットいじめの舞台を奪うだけで、リアルの関係性の問題は残ります。スマホの使い方よりも、子どもが安心できる場所を守ることが先です。

子どもの心を守るために——長期的な関わり方

ゆう

解決後も、心のケアが続きます

ネットいじめは、「投稿が削除された」「加害者が謝った」だけでは終わりません。子どもの心に残った傷は、時間をかけて回復するものです。

ネットいじめを経験した子どもには、次のような変化が見られることがあります。

💬 回復期に見られる子どもの様子

  • SNSへの不信感が続き、スマホ自体を怖がるようになる
  • 学校での対人関係に過敏になる
  • 「また何かされるかも」という不安が抜けない
  • 自尊感情が下がり、「自分はダメだ」という言葉が増える

親にできることは、「解決した」で終わらせないことです。日常の中でさりげなく声をかけ続ける、スマホを使わなくても満たされる時間を一緒に作る、「何かあればまた話して」という言葉をくり返す——こうした小さな積み重ねが、子どもの回復を支えます。

不登校や気分の落ち込みが続く場合は、スクールカウンセラーや子ども家庭支援センター、オンラインカウンセリングなどへの相談も選択肢に入れてください。一人で抱えようとしなくて、いいんです。

まとめ

📝 この記事のまとめ

  • ネットいじめは「消えない・24時間続く・拡散する」という特性があり、リアルのいじめとは異なる対応が必要
  • 2024年度のいじめ認知件数は過去最多の約77万件、SNSを介したいじめの増加が重大化の要因の一つ
  • 子どもが言えない理由は「スマホ没収の恐れ」「親への心配」「もっとひどくなる不安」など
  • 気づいたときの順番は①気持ちを受け止める→②証拠保全→③学校連携→④外部機関
  • 「スマホを取り上げれば解決」はならない。スマホの使い方より子どもの安心を先に守る
  • 解決後も心のケアが必要。自尊感情の低下・不安の継続に気を配り、長期的に寄り添う

ネットいじめは、親にとっても見えにくく、動き方がわからず、焦るばかりになるテーマです。

でも、気づいたことそのものが、すでに大切な一歩です。子どもが「話してよかった」と感じられるかどうか——そこから、すべてが始まります。

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ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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