「どうせ私なんて」「もっと頑張らなきゃ」
そんな考えが頭をよぎることはありませんか?
それは、あなたの深層にある「コアビリーフ(根本的な思い込み)」の影響かもしれません。
今回は、コアビリーフの基本を解説し、手放しにくい不毛なコアビリーフを少しずつ緩める方法についてお伝えします。
- つい「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込んでしまう人
- 人に頼るのが苦手で、何でも自分で抱え込んでしまう人
- ガティブ思考から抜け出せず、自己否定が止まらない人

この記事は、安藤俊介先生の「アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」を参考にしています。

コアビリーフとは

コアビリーフとは、幼少期からの経験を通じて、無意識に形成された「自分や世界に対する根本的な信念」のことです。
例えば、「私は価値がない」、「人に迷惑をかけてはいけない」、「努力しないと認められない」などの思い込みが、日々の思考や行動に影響を与えます。
この信念は、過去の体験や親の言葉、社会の価値観から作られ、知らず知らずのうちに「当たり前」として形成されていきます。
しかし、不毛なコアビリーフを持ち続けると、自己否定や過剰な努力につながり、ストレスを増やすことにもつながります。
不毛なコアビリーフ一覧
コアビリーフは、「〜べき」「〜はず」「普通」「常識」「当たり前」といった言葉に象徴されます。
不毛なコアビリーフになり得るものの具体例について紹介します。
- 努力は報われる
- みんなと仲良くしなければならない
- 諦めてはならない
- 親の期待に応じなければならない
- 一番でなければならない
- 人から認められなければならない
- 男は男らしく、女は女らしくあるべき
- 学歴がなければならない
- いい就職をしなければならない
- 仕事を優先させなければならない
- お金を稼がなければならない
- 結婚しなければならない
- 子どもを作らなければならない
- 好きなことをしなければならない
- 誰かの役に立たなければならない
- 離婚してはならない
- 親の世話をしなければならない
- 自分らしくいなければならない
出典:安藤俊介「なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」
これらは不毛なコアビリーフの一例です。
誰にとっても不毛になるかといえば、そういうことではありません。
不毛になるのは、こうした信念を強く信じ過ぎてしまって、自分も周りの人も誰もが幸せにならないような場合です。
なぜ不毛なコアビリーフを手放せないのか?
不毛なコアビリーフは、自分を苦しめるものですが、それでも手放しにくい理由があります。
その理由について、次の3点に分けて説明します。
- 無意識の習慣:「当たり前」の考えになっている
- 安全基地の役割:信じることで安心を得ている
- 成功体験の影響:過去にうまくいったことがある
無意識の習慣:「当たり前」の考えになっている
コアビリーフは長い時間をかけて形成され、無意識のうちに思考の前提になっています。
そのため、「私はダメだ」、「もっと努力しなければならない」といった考えが浮かんでも、それを疑うことなく「当たり前」として受け入れてしまいがちです。
特に幼少期から身についた信念は、大人になっても自動的に働き続けます。
その結果、不毛なコアビリーフがストレスや自己否定につながってしまっても、「こう考えるのが普通」と思い込み、手放すことが難しくなります。
安全基地の役割:信じることで安心を得ている
不毛なコアビリーフは苦しみを生む一方で、心理的な「安全基地」の役割を果たすこともあります。
たとえば、「努力しなければ価値がない」と信じている人は、自分なりに努力することで「私は大丈夫」と安心できます。
また、「人に頼ってはいけない」という思い込みがある人は、一人で抱え込むことで「迷惑をかけていない」と安心できるのです。
このように、コアビリーフは苦しみを伴う一方で、自分を守る機能もあるため、簡単には手放せません。
成功体験の影響:過去にうまくいったことがある
コアビリーフが形成される背景には、過去の成功体験が影響することもあります。
たとえば、「完璧でなければならない」という思い込みを持つ人が、徹底的に準備をしたことで試験や仕事で成果を出した経験があると、「この考え方のおかげで成功できた」と信じるようになります。
しかし、同じ方法がすべての場面で有効とは限りません。
環境や状況が変わっても、成功体験に基づいたコアビリーフを手放せずにいると、逆に柔軟な対応ができなくなり、ストレスを増やしてしまいます。
不毛なコアビリーフの緩め方

自分のコアビリーフが不毛なものになっているかどうか、どうすれば確認し、緩めることができるでしょうか。
ここでは、次の3つの視点で説明して行きます。
- 自分と違う価値観の人に聞く
- 内省のための手段を学ぶ
- 専門家に相談する

さらに、先ほど紹介したコアビリーフについての具体的な緩めかたについても紹介します。
自分と違う価値観の人に聞く
不毛なコアビリーフは、自分の中では「当たり前」として根付いているため、一人で考えていると気づきにくいものです。
自分とは違う価値観を持つ人の話を聞くことで、「そんな考え方もあるのか」と視野が広がり、思い込みを緩めるきっかけになります。
たとえば、「努力しないと認められない」と信じている人が、「頑張りすぎなくても大丈夫」と考える人の話を聞くと、今までの考え方を見直すヒントが得られます。
大切なのは、違う価値観を否定せずに「そんな考え方もあるんだな」と柔軟に受け止めることです。
内省のための手段を学ぶ
コアビリーフを緩めるには、自分の思考パターンに気づき、それを客観的に見つめる力が必要です。
そのために役立つのが、内省のための手段を学ぶことです。
たとえば、日記を書く、マインドフルネスを実践する、認知行動療法の手法を取り入れるなどの方法があります。
「なぜ私はこう思うのか?」と問いかける習慣をつけることで、無意識に受け入れていた信念を少しずつ緩めることができます。
一度に大きく変えるのは難しくても、「この考え方は本当に必要?」と問い直すことを続けるうちに、より柔軟な思考へとシフトしていけるでしょう。
専門家に相談する
自分だけでは気づきにくいコアビリーフも、専門家と対話することで整理しやすくなります。
カウンセラーやコーチなどの専門家は、適切な質問を通じて、あなたの思考パターンや根本的な信念に気づく手助けをしてくれます。
特に、長年抱えてきた強いコアビリーフは、自分一人で変えようとしても難しいことがあります。
専門的なアプローチを用いることで、無理なく少しずつ緩めることが可能になります。
「変わらなきゃ」と焦るのではなく、「一緒に考えてもらう」というスタンスで相談することで、より安心して取り組めるでしょう。

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具体的なコアビリーフの緩め方
具体的なコアビリーフについて、その緩めかたを一覧にしました。
コアビリーフ | 緩め方 |
---|---|
努力は報われる | 努力は報われないこともある。だからといって、誰が悪いわけでもない。 |
みんなと仲良くしなければならない | 皆から好かれる必要はない。世の中には、うまくいかない人もいる。 |
諦めてはならない | 諦めることは、負けることでも、逃げることでもない。選択肢を変えるだけのこと。 |
親の期待に応じなければならない | 自分の人生は自分のもの。自分が幸せに生きることが親孝行にもなる。 |
一番でなければならない | 人には得手不得手がある。競争しなくても、順番がつかなくても、価値があることには価値がある。 |
人から認められなければならない | 人からの評価が、自分の人生の価値を決めるわけではない。自分の価値を評価できるのは自分だけ。 |
男は男らしく、女は女らしくあるべき | 自分とは関係のない誰か知らない人が、勝手にそう思っているだけのこと。 |
学歴がなければならない | 学歴は一つのステータスに過ぎない。そこで、何を学んだかが役にたつ。 |
いい就職をしなければならない | 単純に有名な企業、条件がいいだけでは、自分にとっていい就職とはいえない。 |
仕事を優先させなければならない | 仕事をしなくても生きていくことはできる。優先させなければならないのは自分の人生。 |
お金を稼がなければならない | お金がなくても生きていくことはできる。お金は一つの手段でしかない。 |
結婚しなければならない | 結婚は人生の選択肢の一つでしかない。結婚する、しないで自分の価値が決まるわけではない。 |
子どもを作らなければならない | 幸せになるための条件として、子どもが必要と思う人もいるが、子どもがいなくても幸せな人生はある。 |
好きなことをしなければならない | 無理矢理「しなければならない」のであれば、それは好きなことではない。 |
誰かの役に立たなければならない | 自分のための人生であって、誰かの役にたつために生まれたわけではない。 |
離婚してはならない | 離婚は失敗ではない。選択を変えるだけのこと。 |
親の世話をしなければならない | ケンカしながら世話をするくらいなら、互いに距離を取った方が幸せ。 |
自分らしくいなければならない | 自分らしさを追い求めた時点で、今の自分を否定することになるので苦しくなるだけ。 |

共働き&子育て中の夫婦が気をつけたいこと

仕事や育児に追われると、無意識に「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込みがちです。
パートナーと「お互いの思い込み」に気づき、サポートし合うのが大切です。
子どもへの影響も考え、自分自身をいたわる習慣を持つようにしていく必要があります。
仕事や育児に追われると、無意識に「もっと頑張らなきゃ」と自分を追い込みがち
共働きで子育てをしていると、仕事の責任と家庭の役割の両方を果たそうとするあまり、「もっと頑張らなきゃ」「私がやらなきゃ」と自分を追い込みがちです。
しかし、過度なプレッシャーは心身の負担を増やし、ストレスや疲労につながります。
特に「完璧にしなければ」という思い込みが強いと、休むことに罪悪感を感じ、さらに自分を追い詰めることになります。
大切なのは、「今の自分にとって無理のない範囲でできることをする」と考えることです。
時には手を抜いたり、人に頼ったりすることも、長く健康的に仕事や育児を続けるためには必要です。

夫婦間で、あえて子育てと家事の役割を決めないこともおすすめです。

パートナーと「お互いの思い込み」に気づき、サポートし合うのが大切
夫婦間でコアビリーフが異なると、「自分の考えが正しい」と思い込んで衝突が生まれることがあります。
例えば、「育児は母親が主体でやるべき」という思い込みがあると、父親が育児に関わりにくくなり、負担が偏ってしまいます。
逆に、「家事は完璧にしないといけない」と思うと、ささいなことでもストレスを感じやすくなります。
大切なのは、「なぜそう思うのか?」を話し合い、お互いの価値観を理解することです。
そして、どちらか一方が無理をするのではなく、「どうしたら負担を分け合えるか」を一緒に考えることで、より良いパートナーシップを築くことができます。

子どもへの影響も考え、自分自身をいたわる習慣を持つこと
親の考え方や行動は、子どもに大きな影響を与えます。
もし親が常に「頑張らなきゃ」と自分を追い込んでいると、子どもも「努力しないと価値がない」と感じるようになるかもしれません。
逆に、親が自分自身を大切にする姿を見せることで、子どもも「自分を大事にしていいんだ」と学ぶことができます。
たとえば、適度に休息を取る、楽しむ時間を確保する、パートナーに頼るなど、自分をいたわる習慣を持つことが大切です。
「子どものためにも、自分を大切にすることが必要」と考えることで、無理をせずに生きやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、コアビリーフの基本を解説し、手放しにくい不毛なコアビリーフを少しずつ緩める方法について解説しました。
コアビリーフは、あなたの心の奥にある「思い込み」です。
それに気づき、少しずつ緩めることで、日々のストレスが和らぎます。
自分を責めるのではなく、「気づく→試す→緩める」を意識して、無理なく心を整えていきましょう。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。