「どうして、素直に謝れないの?」
そう思いながら、胸の奥にモヤモヤやイライラが溜まっていく――そんな瞬間はありませんか?
子どもが約束を守らないときや注意を受けたときに、その場をごまかそうとしたり、話をすり替えたりする姿を見ると、親は「また言い訳している」、「本当は分かっているはずなのに」と気持ちがざわついてしまうものです。
けれど、実はその「言い訳」に見える行動の裏側には、親が思っているのとは少し違う子どもの心理的な事情が隠れていることがあります。
頭では「感情的になりたくない」「冷静に関わらなければ」と分かっていても、同じやりとりが何度も続くと、つい強い口調になってしまったり、後から自己嫌悪に陥ったりすることもあるでしょう。
それでもまた、次の日には同じ場面が繰り返される——。
実は、その「言い訳」に見える言葉の奥には、子ども自身も言葉にできない不安や怖さ、傷つきやすさが隠れていることがあります。
ゆうそこに気づかないまま関わり続けると、親も子も、出口のない苦しさを抱え込んでしまいがちです。
この記事では、「言い訳ばかりする」と感じてしまう場面で、子どもの心の中で何が起きているのかを、心理的な視点から紐解いていきます。
なぜ「言い訳ばかりする子ども」に見えてしまうのか


子どもの言動を「言い訳」と感じてしまうとき、そこには多くの場合、親の期待と現実のズレがあります。
親としては、子どもが何か誤ったことをしたときには「自分の行動を振り返る」「悪かった点を認める」といった姿を、どこかで求めています。
それは決して高すぎる期待ではなく、子どもに成長してほしいからこその自然な願いです。
しかし、子どもはその場面で、「怒られるかもしれない」「否定されるかもしれない」「ダメな自分だと思われるかもしれない」という不安を強く感じています。
その結果、「言い訳」と聞こえるような説明や理由を先に口にしてしまいます。
親の目にはそれが「責任から逃げている」「反省していない」ように映り、イライラが募ってしまうのです。
ここで大切なのは、子どもは“言い訳をしようとしている”のではなく、“自分を守ろうとしている”可能性があるという視点です。
言葉でうまく気持ちを整理できない子どもほど、とっさに理由を並べることで、心の安全を確保しようとします。
つまり、「言い訳ばかり」に見える行動は、子どもが未熟だから起きているというよりも、安心できない状況で必死に対応しようとしているサインであることが少なくありません。
子どもが言い訳をする背景にある3つの心理
子どもの「言い訳」に見える言動の背景には、いくつかの共通した心理的要因があります。



特に多く見られる3つの視点から整理します。
失敗=否定だと感じている不安
失敗したことそのものよりも、「失敗した自分がどう見られるか」ということを強く気にしている子どもは少なくありません。
子どもが自分に注意される場面で理由を先に話すのは、「わざとじゃない」「全部が悪いわけじゃない」と伝えることで、自分の価値が否定されるのを防ごうとする反応です。
この場合、言い訳は反抗ではなく、自己防衛として起きています。
うまく説明できないもどかしさ
子どもは自分の気持ちや状況を、まだ整理された言葉で表現できないことがあります。
そのため、結果だけを指摘されると、「本当は違う」「そこだけじゃない」という思いが先にあふれてしまい、断片的な説明が続いてしまいます。
親には話をすり替えているように見えても、子どもにとっては必死な説明である場合も多いのです。
繰り返しの注意で身についた“癖”
過去に、理由を言わなかったことで強く叱られた経験が重なると、「先に説明しないともっと怒られる」と学習してしまうことがあります。
その結果、注意される前から理由を並べる反応がいわば“自動的”に出るようになります。
これは性格の問題ではなく、環境の中で身についた対処パターンと捉える方が適切です。
叱っても改善しにくい理由


「その場では分かったような顔をするのに、また同じことを繰り返す・・・」
そんな状況が続くと、親としては虚しさや無力感を覚えてしまいます。
叱っても改善しにくい背景には、子どもの行動の問題というより、心の処理が追いついていない状態が関係していることがあります。
強い口調で注意されたり、正論を突きつけられたりすると、子どもの意識は「どう直すか」ではなく、「どうやってこの場をやり過ごすか」に向きがちです。
その結果、反省や理解が深まる前に、言い訳や沈黙といった防衛反応が強化されていきます。
また、叱られている最中は、感情が高ぶりやすく、記憶や判断を司る働きが一時的に低下します。
この状態では、どれほど正しい言葉をかけても、行動の改善につながりにくいのが実情です。
つまり、叱ること自体が悪いのではなく、「叱る場面で、子どもが学べる心の状態になっていない」ことが、子どもの行動の改善を難しくしているのです。
親が知らないうちに追い詰めてしまう関わり方
子どもにきちんと向き合おうとする親ほど、「きちんと伝えなければ」「分からせなければ」という思いが強くなりがちです。
その姿勢自体は、子どもを大切に思っているからこそのものです。
しかし、子どもと何度も同じやりとりが続く中で、親が子どもの説明を遮ったり、途中で結論を求めたりしてしまうことは、誰にでも起こり得ます。
ただ、親にとっては「話が長い」「要点を言ってほしい」だけでも、子どもには「聞いてもらえなかった」という感覚として残ることがあります。
また、「まず謝りなさい」「言い訳しないで」という言葉は、正論ではありますが、子どもにとっては気持ちを出す前に評価されたと受け取られる場合もあります。



その結果、言葉にする前に心を閉じてしまうことも少なくありません。
こうしたやりとりが積み重なると、子どもは「本音を言うより、理由を並べた方が安全」と学習してしまいます。
これは親の愛情不足ではなく、関係の中で生じるズレです。
大切なのは、親が完璧であることではなく、「知らないうちに起きている影響」に気づけるかどうかです。
気づいた瞬間から、関わり方は少しずつ変えていくことができます。
子どものことを考え続けているからこそ、親の方が心身ともに疲れ切ってしまうことがあります。
子育ての悩みを一人で抱え込まず、親自身の気持ちを整理することも大切なケアの一つです。


親ができる「関わり方を変える前に」必要なこと


「じゃあ、これからどう接すればいいの?」
ここまで読んで、そう思われたかもしれません。
ただ、具体的な声かけや対応を変える前に、まず大切にしてほしいことがあります。
それは、親自身の気持ちを一度、立ち止まって整理することです。
子どもの言い訳にイライラしてしまう背景には、「分かってほしい」「ちゃんと育てたい」という、親としての切実な思いがあります。



その思いが強いほど、うまくいかないときの苦しさも大きくなります。
親が自分の気持ちを置き去りにしたまま関わり続けると、どうしても余裕がなくなり、同じやりとりを繰り返してしまいがちです。
だからこそ、親が安心して気持ちを言葉にできる場を持つことは、決して遠回りではありません。
子育ての悩みを一人で抱え込み、正解を探し続けることに疲れてしまったときは、
第三者と一緒に状況を整理するという選択肢もあります。
親の心が少し軽くなるだけで、子どもとの関係が動き出すことも少なくありません。


まとめ
子どもの「言い訳ばかり」に見える言動は、親を困らせるものに映りがちです。
けれど、その裏側には、叱られる不安や、自分を守ろうとする必死さが隠れていることがあります。
親として、きちんと向き合おうとするからこそ、イライラしてしまう。
その気持ちは、決して間違いではありません。
ただ、正しさを伝え続けるだけでは、子どもの心に届かない場面があることも事実です。
関わり方を変えるために必要なのは、完璧な対応ではなく、「何が起きているのか」を一緒に見直す視点です。
親の心に少し余裕が生まれるだけで、子どもの言葉や態度の受け取り方も変わっていきます。
一人で抱え込まず、立ち止まりながら進んでいくこと。
それ自体が、親子関係を守る大切な選択の一つです。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。

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