今回の記事では、
発達障害のある子どもが知能検査を受ける場所別のメリットとデメリット
について詳しく説明していきます。
子どもの発達障害の理解などに役立てるために、学校の先生などに知能検査の受検を勧められることがあります。
そうした場合、知能検査をどこで受けさせれば良いかアドバイスをもらえるとは思いますが、受検する場所で料金が発生したり、その後の活用方法が異なったりします。
そこで、今回は、
- 発達障害の理解に役立つ知能検査について知りたい!
- どんな人が知能検査を実施できるの?
- 知能検査を受けるならどこで受けたらいいのか知りたい!
といった疑問や悩みについて答えていきます。
発達障害の子どもの知能検査を受検するに当たって悩んでいる方は是非参考にしてください。
知能検査と発達障害
発達障害の子どもに、知能検査を実施することが増えています。
しかし、知能検査は、その人の知能の程度や傾向を図るために開発されたものです。
つまり、知能検査は、発達障害のための検査ではありません。
「えっ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
知能検査によって、知的障害の有無を調べることはできますが、発達障害である自閉スペクトラム症やAD/HDの有無を調べることはできません。
しかし、知能検査の種類よっては、発達障害の特徴を理解するために役に立つものもあるため、最近はよく知能検査を受けることを勧められるようになってきています。
発達障害があるお子さんについて、実際に知能検査を実施することになった場合には、どの種類の知能検査を受けるのかが重要です。
発達障害の理解に役立つ知能検査とは
知能検査には多くの種類があることはご存じでしょうか?
インターネットで「知能検査 受けたい」などと検索すると、インターネットでIQを簡単に調べることのできるサイトが色々と出てきます。
しかし、その結果は、IQの数値しか出てきませんし、そもそも知能検査としての信頼性や妥当性が担保されているとは限らず、子どもの発達障害の理解にはほとんど役に立ちません。
具体的には、次のような知能検査が子どもの発達障害の理解に役立ちます。
WISC-Ⅳ:5歳0か月~16歳11か月の子どもを対象にした代表的な児童用知能検査。全体的な認知能力をあらわす全検査IQ(FSIQ)と、4つの指標得点が算出できる。2021年度中には「WISC-Ⅴ」という最新版が発売された。
WAIS-Ⅳ:16歳0か月~90歳11か月の人を対象にした知能検査。全検査IQ(FSIQ)と4つの合成得点が算出できる。
KABC-Ⅱ:2歳6か月~18歳11か月の子どもの認知能力と学力の基礎となる習得度が測定できる検査。
一方で、次のような知能検査は、あくまでも知的能力や知的水準を調べることに使われるものです。
- 田中ビネー式知能検査Ⅴ
- TK式3B 田中B式知能検査
- コース立方体テスト
発達障害を理解するためにはあまり役に立ちません。
発達障害を理解することを目的として知能検査を受ける場合には、まずはどういった種類の知能検査を受けるべきかをきちんと知っておきましょう。
こうしたことについては、心理の専門家であれば誰でも分かるものですが、学校の先生にはそうしたことに詳しくない方もいらっしゃいます。
もしもどの種類の知能検査を受ければよいのか悩んだときには、身近で心理学や精神医学の知識がある人に相談してください。
もしもお子さんが学校に通っているのであれば、スクールカウンセラーに相談してみるとよいでしょう。
無料で丁寧に相談に乗ってくれます。
スクールカウンセラーについて詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。
知能検査を実施できる人
知能検査は、検査者に必要な資格は定められていません。
しかし、実施や結果の解釈は手順が複雑であるため、十分に訓練や経験を積む必要があるとされています。
大学院で心理学を専攻し、公認心理師や臨床心理士などの資格を持った専門家が検査を実施することが一般的です。
心理相談室のカウンセラー、病院などで勤務している心理相談員、児童相談所の心理判定員、小中学校に所属するスクールカウンセラーなどの心理の専門家であれば、ほとんどの人が実施することができるでしょう。
とはいえ、心理の専門家といっても訓練を積んでいるかどうかは人によって異なります。
実施してIQなどの数値を出すことができたとしても、発達障害の理解に必要な解釈やフィードバックをすることは苦手な人もいます。
また、学校教諭・養護教諭、精神保健福祉士などの中には、自主的に研修会に参加したり勉強したりするなど、相当の訓練を積むことで、知能検査を実施できるようになっている人もいます。
受検できる場所別のメリットとデメリット
知能検査を受検できる場所は様々あります。
それぞれメリットとデメリットがあるので、それぞれ確認していきましょう!
この中から、自分の希望に沿った機関に出向いて知能検査の受検を依頼するとよいでしょう。
心理相談室
私が勤務しているような心理相談室で知能検査を受検することができます。
心理相談員やカウンセラーが実施してくれます。
相談室の規模によるが、心理の専門家が一定数いて、検査の実施からフィードバックまで丁寧に実施してくれる。また、他の機関に比べると、比較的早く受検することができる。
知能検査を実施するということは、合計3回くらい出向くことになる。1回目に親子との初回面接、2回目子どもに知能検査実施、3回目にフィードバック及び検査結果用紙の交付という流れ。全部で2~3万円かかることもある。
精神科病院
児童精神科医の診察時、知能検査が必要だと判断されたときに、心理士や精神保健福祉士が実施することになります。
病院勤務の心理や福祉の専門家によって、検査の実施からフィードバックまで丁寧に実施してくれる。知能検査の種類によっては保険が適用されるため、費用を抑えることができる。
知能検査を受検する必要があるかどうかは、医師の判断による。いくら親が知能検査を受検させたいと思っても、医師が必要ないと判断した場合には、その病院で知能検査を実施することは難しい。
小学校・中学校
学校で知能検査の受検を勧められたとき、もしかするとその学校で受検をすることができる場合があります。
できる学校は少ないのですが、学校教諭、養護教諭、スクールカウンセラーの中には、自主的に知能検査の訓練を積んでいる方がいて、そうした人が検査をしてくれることがあります。
子どもにとってなじみのある場所で、安心して検査を受けられる。また、検査結果を学校生活に直接生かすこともできる。ほとんどの場合無料で受けられる。
知能検査が学校に備えられていなければ実施はできない。大部分の学校には知能検査は用意されておらず、あったとしても古い場合がある(WISC-Ⅲなど)。学校教諭や養護教諭は心理の専門家というわけではないので、知能検査を受検できても、IQが得られるだけで、発達障害のある子の支援につなげるような情報を得ることは難しい。もしも学校で受検することができる場合は、スクールカウンセラーの実施を希望するとよい。
児童相談所
都道府県や東京都特別区や政令指定都市などに設置されていて、子どもの発達や虐待、問題行動等様々な相談に対応しています。
心理判定員と呼ばれる心理の専門家が検査者になります。
心理の専門家によって、検査の実施からフィードバックまで丁寧に実施してる。 また、ほとんどの場合無料。
最近の児童相談所は虐待児などの対応に追われていて、発達障害の理解のために知能検査をしてほしいという相談にすぐに応じてくれることはない。もしも応じてくれても、3か月から半年くらい待たされることが少なくない。また、児童相談所では、知的障害の判定をするために「田中ビネー式知能検査」を実施することが一般的であり、発達障害の相談に行ったのに、発達障害の理解にはあまり役に立たない知能検査を実施することになるといった場合もある。
発達障がい者支援センター
都道府県に設置されていて、発達障がいを専門とする精神科医による診察時、必要だと判断されると知能検査を受けることになります。
また、精神保健福祉士や心理相談員がおり、心理相談の枠組みで知能検査を実施してくれることもあります。
精神保健福祉士や心理相談員によって、検査の実施からフィードバックまで丁寧に実施してくれる。また、ほとんどの場合無料。
発達障がい者支援センターへの相談は年々増加傾向にあって、発達障害の相談であっても相当期間待たされ、実際に知能検査を実施することになるのはかなり時間がたってからになることがある。
法務少年支援センター
少年鑑別所に併設されている機関で、心理技官による知能検査を受けることができます。
心理技官という心理の専門家によって、検査の実施からフィードバックまで丁寧に実施してくれる。また、ほとんどの場合無料。予約から検査の実施までの期間も短い傾向がある。
少年鑑別所に併設されていることで、実施場所によっては、子どもが不安を抱きやすい(検査者が学校などに出向いて実施する場合もある)。また、相談の対象が、非行や問題行動のある子どもになるため、単に発達障害のために知能検査をしてほしいという希望には応じてない。発達障害の影響で家庭や学校で対人トラブルがある場合などが相談の対象となる。
おすすめのオンラインカウンセリング
自分のことや家族のことでお悩みの方は、一度オンラインカウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか?
他人に相談することに多くの人は抵抗がありますが、私のブログをお読みになっていただいている方は、悩みを解決するために一歩進むことのできる方です。
実際のカウンセリングルームや精神科病院などにいくのは勇気がいりますし、家族の理解も得にくいと思いますので、そうした方には「オンラインカウンセリング」をおすすめしています。
ネットで検索すると様々なオンラインカウンセリングが出てきますが、「うららか相談室」は、私と同じ公認心理師や臨床心理士といった信頼性の高い心理の資格をお持ちの方が相談に乗ってくれます。
多種多様な相談内容にも対応しているので、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、発達障害のある子どもが知能検査を受ける場所別のメリットとデメリットについて説明しました。
もしも学校の先生から知能検査の受検を勧められるなどして、実際に知能検査を受けることを検討している場合、知能検査を受検する場所でよってメリットやデメリットがありますので,よく調べてから受検してください。
どの機関であっても、電話による相談はいつでも無料で対応してくれるところがほとんどですので、迷ったらまずは電話をして実情を確認してみましょう!
何よりも、知能検査を受検するお子さんの気持ちを大切にしてください!!
なお、お子さんが知能検査を受けることになったときの親の心構えについて下記の記事で説明しています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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