今回の記事では、
共働き夫婦のためのワンオペ育児の解消方法
について詳しく説明していきます。
パートナー(特に夫)が育児や家事に参加してくれないことに悩んでいませんか?
今よりちょっとでもいいから協力してほしいといった気持ちや、どうしたら夫が協力してくれるようになるかわからないといった気持ちでモヤモヤしていると思います。
そこで、今回は、
- ワンオペ育児の解消のための方法を知りたい!
- ワンオペ育児によって生じる夫婦の問題とは?
- 夫が育児や家事に協力してくれるようになる方法とは?
といった疑問や悩みに答えていきます。
ワンオペ育児で悩んでいる方は、是非参考にしてください。
ワンオペ育児とは
まず、「ワンオペ」という言葉について少し解説したいと思います。
「one-operation」の略、一人ですべての作業を行うという意味です。
数年前に、コンビニや飲食店の深夜労働で一人の従業員がすべての業務をカバーしなければならず重労働を強いているという問題が話題に上がりました。
子育てに関する議論においても、妻ばかりが育児や家事をするという負担の大きさが取り上げられています。
ワンオペの歴史と統計
昭和の時代には、「男は仕事,女は家庭」が一般的な家族のあり方で、そうした価値観がずっと根付いてきました。
そうした中、平成の時代になって徐々に女性の社会進出が進むとともに、少子化による労働力の確保の視点から、女性が仕事に就くようになり、共働き家庭が増加していきました。
次の図は、厚生労働白書による共働き等世帯数の年次推移です。
図を見て分かるとおり、1980年(昭和55年)頃には、「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」が「雇用者の共働き世帯」に比べて非常に多かったですが、1991年頃(平成3年)に世帯数が均衡し,2017年(平成29年)では共働き世帯の方が圧倒的に多くなっています。
自分のこととして思い出してみると、私が小さい頃(1980年代)は、私の父親は会社員で、母親は専業主婦でした。
私の友達の家庭も同じで、母親が働いている家庭はほとんどなかったように記憶しています。
その後、私が妻と結婚したのは2010年頃で、その数年後に長女が生まれましたが、その頃になると私たちの世代では共働きの家庭が当たり前になっていました。
夫婦ともに正社員の家庭もあれば、夫が正社員で妻がパートという家庭もありました。
また,妻が子育てのために仕事を辞めたとしても、子どもが幼稚園や小学校に行くなどして育児が一段落すると、妻が再び働き出す家庭も増えています。
このように夫も妻も社会に出て仕事に出るようになったにもかかわらず、依然として「男は仕事、女は家庭」という価値観から抜け出せず、子育ての中心は妻が担っていて、夫が子育てに十分に参加していないという現状が続いてます。
「ワンオペ育児」の言葉の誕生
そうした中、「ワンオペ育児」という言葉が生まれ、社会的にも問題になってきました。
「ワンオペ育児」というと、妻が仕事に就きつつ、育児も家事も全て一人でやっているイメージが強いですが、たとえ妻が仕事に就いていなくて専業主婦であったとしても、一人で育児と家事をすることは精神的にも身体的にも大きな負担になります。
「イクメン」という言葉も出てきて、少しずつですが男性が育児に参加するようになってきました。
休日に、公園で子供と遊ぶ父親の姿をよく見かけます。
しかし、私が平日に仕事を休んで小学校の保護者会に行ったときには、父親はほんのわずかしかいませんでした。
もちろんご家庭によって、父親が育児に参加している程度は様々ですが、まだまだ妻の育児の負担は大きいままです。
私も、できるだけ妻の負担を減らせるように育児や家事をしていますが、それでも十分ではないと感じています。
男性が「育児を手伝う」とか、「育児に参加する」という言葉自体が、女性が育児の中心であることを前提にしていますね。
なぜワンオペ育児となるのか
「ワンオペ育児」になる原因は家庭によって様々です。
夫が不在の場合(離婚による一人親家庭、別居家庭、長期の出張)には、妻が一人で全て育児や家事をせざるを得ませんが、特に問題となるのは、夫婦が同居しているにもかかわらず、妻のワンオペ育児になっているような家庭です。
いくつか原因を考えてみましょう。
- 夫が仕事に忙しくて、妻自身も仕方ないと感じている。
- 夫が育児や家事のスキルがなく、妻がやらざるを得ないと感じている。
- 夫が昭和の価値観が残っていて、妻も受け入れている。
「ワンオペ育児」で悩んでいる方であれば、これらの原因の一つか、又は複数が当てはまるのではないでしょうか?
夫が仕事が忙しいだけでなく、これまで育児や家事を妻に任せきりにしていて、どうやって手伝えばよいかも分からないと、夫は「男は仕事、女は家庭」という価値観を理由にして、育児から逃げている場合もあります。
ところで、ここで気付いた方もいらっしゃると思いますが、いずれも夫が育児に参加できない(しない)だけでなく、妻がその理由を受け入れてしまっています。
夫が育児に参加できない(しない)ことをあきらめているか、仕方ないと考えているかは家庭によって異なりますが、結局は妻が受け入れてしまうことで「ワンオペ育児」となってしまいます。
後述しますが、夫婦の育児についての話し合いや考え方の共有が何よりも重要です。
ワンオペ育児で生じる問題
ワンオペ育児の夫婦では、妻は育児だけでなく、家事もワンオペになっていることが多いでしょう。
妻が仕事に就いていたとしたら、妻の精神面や身体面に掛かる負担は相当な大きさになります。
夫が妻をサポートできない、又はサポートが十分でない場合、次のような問題が生じるおそれがあります。
- 妻が過労によるストレスでうつになる。
- 夫婦関係が悪化する。
- 子どもに悪影響を与える。
妻が過労によるストレスでうつになる
ワンオペ育児が常態化すると、妻は育児と家事、更に仕事に追われて、朝から晩まで動き回ってへとへとになってしまいます。
過労によるストレスが溜まってしまい、身体的な症状が表れたり、うつなどの精神面の問題が生じたりしてしまうかもしれません。
すると育児も家事もうまくいかなくなってしまいます。
夫婦関係が悪化する
夫が、昭和の価値観のままだと、「どうして母親なのに育児も家事もちゃんとできないのか。」と考えて、イライラや不満を高めて、その感情を妻にぶつけてしまうかもしれません。
別に、夫が妻を心配してサポートしようとしても、夫自身が仕事に忙しいと気持ちの余裕はないかもしれませんし、育児や家事を手伝おうとしてもスキルがなければうまくできないでしょう。
そうした夫婦関係が続けば、次第に夫婦関係は悪化していってしまいます。
子どもが悪影響を受ける
夫婦間でけんかが増えたり、コミュニケーションを取らなくなったりすると、ますます夫婦で不快な感情が高まってしまい、その矛先が子どもに向かうことも考えられます。
すると、当然ですが子どもは家庭を安心と感じることができなくなり、それが子どもの問題行動につながる可能性もあります。
心理相談室でも、子育ての悩みの裏に、ワンオペ育児の問題が隠れていることが少なくありません。
ワンオペ育児の解消のために夫ができること
ここまでワンオペ育児が夫婦関係や家族関係に悪影響を与えることについて説明しました。
特に夫婦関係が悪化すると、最終的には「別居」や「離婚」などにつながってしまい、子どもが悲しむことになりかねません。
だからこそ、夫は、ワンオペ育児で困っている・疲れ果てている妻のために、できることをやらなければなりません。
夫は育児や家事を面倒くさがらずに、夫婦関係のため、そして家族のためだと思って、できることから始めてください。
これまで育児や家事から目をそらしてきた夫向けに、夫婦や家族のために今すぐに簡単に始められることを6点に絞って紹介します。
- 家事分担の見直し
- 子育てへの積極的な協力
- 感情的なサポート
- コミュニケーションの改善
- パートナーシップの強化
- 自己啓発と育児のスキル向上
家事分担の見直し
1つ目は、家事分担の見直しについてです。
夫婦で分担するべき家事は、料理、洗濯、ゴミ捨て、風呂掃除、掃除・・・などたくさんあります。
さらに、「料理」という家事一つをとっても「具材を切る」「焼く・煮る・炒める」「食器に盛り付ける」「食卓に並べる」「食器を洗う」「テーブルをふく」「食材を買い出しに行く」など細かく分けられます。
このように家事のタスクを細かく分けることで、夫婦でタスクを分担して、負担のバランスをとりやすくなります。
当然、夫婦で苦手なこと得意なことが異なると思うので、そうしたことも話し合った上で決めることをお勧めします。
子育てへの積極的な協力
2つ目は、子育てへの積極的な参加についてです。
家事と同じように、子どもの世話や育児タスクを細かく分けて、夫が積極的に協力できるようにします。
例えば、小さな赤ちゃんがいる家庭であれば、育児として「ミルクあげ」、「沐浴」、「あやす」「おむつ替え」、「着替え」、「寝付かせ」などあります。
ミルクあげだけでも、「お湯を沸かす」「ミルクを溶かして人肌に冷ます」「ミルクをあげる」「ゲップを出す」「哺乳ビンを洗う」「哺乳ビンを消毒する」「ミルクを買いに行く」など数多くのタスクがあります。
家事と同様に、夫婦で苦手なことが違いますし、赤ちゃんがママじゃないとどうしても受け付けてくれないということもあるでしょう。
そうしたことを踏まえて育児タスクの負担を夫婦で分け合っていきましょう。
また、できるだけ毎日のルーティーンに落とし込むようにすることで、妻の負担を軽くすることができます。
感情的なサポート
3つ目は、感情的なサポートについてです。
妻は家事や育児の負担によって、ストレスがたまりがちです。
妻のストレスが高じることで、夫婦間のトラブルや、親子のケンカにつながることがあるかもしれません。
夫は、妻の疲れを理解して、妻のストレスを解消できるようにじっくりと向き合って話を聴いて、妻の気持ちを支えることを意識するようにしましょう。
妻が一時的にでも家事や育児から解放されて、自由に過ごすことのできる時間を作ってあげることも大切ですね。
コミュニケーションの改善
4つ目は、夫婦間のコミュニケーションの改善です。
家事や育児に追われているとき、夫婦間のコミュニケーションがなおざりになりがちです。
普段から子育てに関して、夫婦間で十分にコミュニケーションを取るように心がけましょう。
決して、子育てを妻任せにしないように、夫からコミュニケーションを取るように意識しよう!
また、週一度の家族会議の時間を設けるなどして、夫婦・親子のコミュニケーションを促進するといった工夫をすることも良い方法です。
パートナーシップの強化
5つ目は、夫婦間のパートナーシップの強化についてです。
夫婦が家事や育児のことを日頃から話し合ったり、将来のことについて意見交換したりして、家族の問題に一緒に向き合うなどして、夫婦間の連帯感を高めていきましょう。
また、夫婦で目標を設定したり、将来予想される課題についてどのように乗り越えていくのか話し合ったりしておくことも欠かせません。
夫婦で一緒の方向を向いて進んでいくことが夫婦間のパートナーシップの強化につながります。
自己啓発と家事育児のスキル向上
6つ目は、自己啓発と育児のスキル向上についてです。
夫が家事や育児に対して自信がなく、知識やスキルも備わっていなければ、まずはそれらを身につける必要性が高いです。
育児書籍を読んだり、YouTubeなどの動画で学んだり、病院や自治体で行っているセミナーに参加したりすることで育児スキルをアップできます。
夫は「育児・家事が苦手だからできない。」という言い訳をしないように、自主的に学んでいこう。
妻がワンオペ育児にならないようにするために私がしていること
妻のワンオペ育児を防ぐためには、夫が妻の育児をサポートするのは当たり前のことですが、そもそも「育児に参加する」、「育児を手伝う」といった、「妻が育児の中心である」という考えから抜け出さなければなりません。
そして、理想としては、「妻と夫が協力して育児をする」という認識を持つことが何よりも重要です。
ここからは私たち夫婦の育児・家事の分担や考え方についてお話しします。
平日は私の出勤時間が早いため、朝の家事・育児はほとんどできていませんし、夕食の支度も妻に任せています。
その代わり、仕事から帰ってきたら、「夕食の片付け」「洗濯物を畳む」「子どもの宿題の丸つけ」「子どもの音読のチェック」「風呂掃除」を主に担当しています。
また、休日は「朝食作り」「洋服の洗濯」「シーツなどの大物の洗濯」「段ボールゴミなどのゴミ出し」「普段できない部屋の掃除」「子供と遊びに行く」などできる限りの育児・家事をするようにしています。
それでも、「名前のない家事」「名前のない育児」は山ほどあるので、妻と話し合ってどちらがやるか決めて行うようにしています。
このように私は、目の前の家事や子どもの世話をできる限りするようにしていますが、「名前のつかない家事」や「名前のつかない育児」の多くは妻の負担になってしまっています。
自分ができていないことについては、妻にしてもらっていることをに感謝の気持ちを持って、日頃から「ありがとう」と言葉にして伝えることを心掛けています。
「ワンオペ育児」を解消するために最も重要なことは「妻と夫が協力して育児をする」という考えを夫婦で共有することだと思います。
夫婦の仕事の忙しさの違いや、妻が求める夫の子育ての協力の程度は家庭によって異なります。
しかし、たとえ夫があまり子育てに参加できていないとしても、「妻と夫が協力して育児をする」といった考えを夫婦で共有することができれいれば、夫は妻に対していつでも感謝の気持ちを持つことができます。
「妻に育児や家事をやってもらって当たり前」という考えている方は、この記事を読んだことを機に変えていただければ嬉しいです。
夫婦がお互いを尊重して、対等な立場に立ち、子育てについて話し合って考えを共有することで、夫婦で仕事と育児・家事を両立することができるようになります!
夫婦が子育てと家事を協力する方法について解説した記事がありますので、併せてご覧ください。
まとめ
今回は、ワンオペ育児をテーマにして、妻と夫が協力して育児をすることの重要性について話をしてきました。
みなさんのご家庭においても、子育てについてもう一度話し合って、お互いが納得して、感謝し合えるような関係を築くことができるようになることを目指しましょう!
私も、これからも妻と協力して育児と家事を両立していくように努力を続けていきます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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