トラウマを克服するために「脳から消す」方法!

トラウマを「見る」で克服

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過去に嫌なことがあって落ち込んだり、つらい出来事を経験して立ち直れなかったりすると、その後も心がしんどい状態が続いてしまう人がいます。

そうした人生に暗い影を落とす心の傷を「トラウマ」と呼びます。

トラウマ治療は専門家であっても非常に難しく時間もかかるものですが、もっと簡単にトラウマを克服する方法があります。

この記事では、誰にでもできる「見る」という行為でトラウマを克服する方法について解説します。

ゆう

トラウマでつらい気持ちになっている方の助けになります!

この記事では、鈴木孝信先生の書籍「一点をボーっと見るだけ!脳からトラウマを消す技術」を参考にしています。

目次

トラウマを克服する方法

見る

トラウマには心理士によるカウンセリングが有効と言われていますが、もっとシンプルにできる方法があります。

それは「ブレインスポッティング(Blainspotting)」と呼ばれるものです。

ゆう

この記事では「BPS」と呼びます。

人の心には、小さな傷から大きな傷までありますが、どれもトラウマです。

トラウマがあると、突然嫌なことを思い出して落ち込んだり、寝込んでしまったり、昔の出来事が記憶によみがえってきて体がゾクゾクするような嫌な感じになります。

こうした心の痛みを効率的かつ徹底的に癒し、トラウマを強く押し出す方法としてBPSが注目されています。

BPSは、2003年にアメリカで誕生し、その後10年ほどの間に、世界中の心理士やカウンセラーが取れるようになった心理療法です。

BPSで行うことは、次のとおりです。

一点(スポット)を何分間かぼーっと見続ける。

たったこれだけです。

こうした効果を得られる理由は、「そのスポットを見ている時、脳はトラウマ処理に最適の状態を維持できるから」だと考えられています。

世界中で積み重ねられた臨床経験と成果方向から、BPSの効果は実証されていますし、何よりも使った場合のリスクも少ない点も大きなメリットです。

ブレインスポッティングの特徴

みる

カウンセリングでカウンセラーがトラウマ治療として実際にBPSを使うとき、実際にどんなことをするのでしょうか。

カウンセラーは、相談者に対して次のようなことを行います。

  • 相談者と解決したい問題について話す
  • 指示棒を使って相談者に一点を見続けてもらう
  • 相談者の様子を見ながら、ときどき声をかける

一方で、相談者は指示棒の先を見続けるだけです。

ゆう

非常にシンプルな方法です。

具体的な理由は後ほど説明するとして、ここではBPSの特徴として次の3点を解説します。

やることは「一点を見続ける」

ある一点(スポット)を見続けることで、トラウマの回復が促されます。

「見る」といっても、重要なのは眼球を動かさず、視点を一定の場所に固定しておくことです。

何を見ているかはあまり重要ではありません。

「見る場所」を決める作業が必要

どこを見ればいいかは、人により、その人の状態などにより異なります。

また、複数のトラウマを抱えた人もいますが、どのトラウマを扱うかによっても、見るべきスポットは変わってきます。

そのスポットは、カウンセラーが指示棒を使って見つけて指定することもあれば、相談者の感覚で決まることもあります。

一人でもできる

BPSで相談者がやることは「一点をぼーっと見るだけ」です。

実にシンプルな方法なので、自宅で一人で行うこともできます。

日常生活の中で誰でも追うような小さな心の傷のケアには適した技術です。

ゆう

この記事の最後の方で具体的な方法を解説します。

トラウマの克服の条件

トラウマを克服

トラウマはつらい過去の記憶によって生じる心の痛みですが、過去の記憶が今起きていることと区別することができないために生じてしまいます。

つまり、トラウマ記憶が刺激された時、「これは昔起こったことだ。今は起こっていない。」と正しく認識できたら、痛みに苦しまずに済むはずです。

トラウマ記憶が他の記憶と同じように「過去のこと」として整理され、「今・ここ」と混同されなければいいわけです。

ゆう

それは「トラウマを克服した状態」です。

記憶を思い出して整理することが克服への第一歩

トラウマ記憶は、心身の不快感をかき立てられる嫌なものです。

ですが、動揺の抑えて、冷静になってよく眺めてみると、やがて相談者は「過去は過去であり、現在の脅威ではない。」と、心身ともに実感できるようになります。

いったんそうした実感を得られると、その後はトラウマ記憶がふと浮かんできても翻弄されにくくなります。

同時に、相談者の理解も深まりますし、自分をコントロールする力も高まります。

多くの人が、そんなふうにトラウマを克服していきます。

とにかく一度、記憶をできるだけ深く思い出して精査することが、トラウマ克服のためには何よりも大切です。

人は必ず一点を見ながら集中し、思い出す

過去のことを思い出そうとする時、自然と視線が上の方を向いて「一点」を見ているといった経験がありませんか?

私たちは生活の中で、知らず知らずのうちに、この「一点を見る」ことをしています。

記憶とつながっている時、人の視線は一方向を向き、そこに固定されるものです。

どの一点を見るかは、記憶の内容によっても、人によっても異なります。

人間の心理状態や意識、体調は刻々と変化していくため、常に決まってその場所を見るとは限りません。

ただし、何かに集中している時、自然と目を向けてしまう一点(スポット)が、誰にでもあるはずです。

これにより、トラウマ記憶とつながっている時に見る一点、まさにその一点に視線を向け続けていれば、脳がその記憶に最も集中できるのではないか、という仮説も成り立ちます。

スポットを見続けると記憶と深く繋がれる

BPSは、「視線の方向と記憶が引き出される度合いには関連性がある」という関連性を利用した方法です。

誰にでも、自分の見る位置によって感じ方が変わるスポットがあり、そこに目を向けることで、特定の事象によりよく集中し、脳が効率的に働くことができるということです。

そのスポットを利用してトラウマ記憶と深くつながることで、相談者がトラウマを克服するのを力強く助ける、それがBPSです。

セルフ・スポッティングの方法と効果

本を読む

BPSは、いじめ、虐待、事故などによって負った深刻なトラウマに有効な心理療法ですが、日常のセルフケアの手段にもなります。

自分一人でできるBPSを「セルフ・スポッティング」と呼びます。

セルフ・スポッティングは、自室など、落ち着いて取り組める環境さえ用意できれば、誰でも簡単にできます。

どのような問題に使えば良いか

この書籍の筆者は、セルフ・スポッティングを行う際のお願いとして、「あくまで日常生活の中で負った心の傷にだけ使ってほしい。」と述べています。

それより深刻なトラウマに該当する心の傷についてはセルフ・スポッティングで扱うのを控える必要があります。

セルフ・スポッティングで扱うことのできる問題は、具体的には次のとおりです。

身体や感覚のストレスからくるトラウマ
  • 暑さ・寒さに過度にさらされた
  • 過労など、体に負担がかかる経験をした
  • 騒音・悪臭・振動・明るすぎる照明にさらされた
心理的なストレスからくるトラウマ
  • 対人葛藤:誰かとケンカになった。ひどく責められた
  • 対人劣等:他人が自分のことをどう思っているか気になる
  • 対人摩耗:自慢話や愚痴を聞かされた

実際に当たっての注意点3つ

セルフ・スポッティングをやってみたいと考えている人に、ぜひ注意してほしいことが3点あります。

①トラウマ体験の直後に実施してはいけない

問題が起きた直後など、動揺し、気が高ぶっているときに実施するのはやめましょう。

②「今・ここ」の感覚を大切に

BPSのセルフ・スポッティングも、実施中は一時的に相談者のストレスの度合いが高まります。

セルフ・スポッティングの最中、落ち着いているためには、「今・ここ」という感覚を維持できているかどうかが大切になります。

自分で「今・ここ」を感じられている、と確信できたなら、それはセルフ・スポッティングがうまく実施している証拠です。

ゆう

「今・ここ」を感じる技法には、「マインドフルネス」という技法もあります。アップルウォッチのアプリにも搭載されています。

③無理はしない。きつくなったら中断する

最後に、「どうにもうまくいかない」「疲れてきた。しんどくなってきた」「ちょっと耐えられそうにない」などと感じ始めたら、それ以上頑張る必要はありません。

自分でやめた方がいいと直感したなら、視線を逸らすなどしてセルフ・スポッティングを中断してください。

ゆう

今日うまくいかなくても、別の日・別の時間に試せばいいのです。

セルフ・スポッティングの実施方法

最後に、セルフ・スポッティングの具体的な実施方法について説明します。

①実施時間:15〜20分程度行うとよい

「嫌な感じが十分軽減した」と思えるまで続けると良いでしょう。

ただ、5分程度では効果があらわれにくいので、15〜20分は続けるのがおすすめです。

②実施のタイミング:ストレスがたまったときでいい

ストレスがたまったと感じたら、その都度行うと良いでしょう。

一度の実施でストレスが軽減されることもありますが、十分に軽減されないときは、しばらくの間毎日続けることをおすすめします。

③セルフ・スポッティングの実施手順

  • 環境を整えて準備する
  • ストレスの度合いを数値化する
  • バイオラテラル音楽をかける
  • 身体のリソースを見つける
  • 身体のリソースが強く感じられるスポットを見つける
  • スポットを眺めながら内面を観察する
  • 終わる
ゆう

実際にセルフ・スポッティングを実施する際には、今回紹介した書籍を購入して、しっかりと手順や内容を確認してから行いましょう。

まとめ

今回は、誰にでもできる「見る」という行為でトラウマを克服する方法について説明しました。

トラウマ治療の一つとして注目されているBPSは、カウンセリングのセッションでも用いられることがありますし、日常のトラウマ程度であれば自分で行うこともできます。

普段子育てや仕事に忙しくて時間が取れない方には、オンラインカウンセリングでトラウマ治療を受けることもできます。

詳しくは次の記事で解説しています。

ただし、深刻なトラウマでつらい思いをしている方は、精神科病院や対面で実施しているカウンセリングルームで治療を受けることが大切です。

ご相談やご質問がある場合は、こちらにご連絡ください。 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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