ペアトレをすすめられてショックを受けたあなたへ|公認心理師からの話

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「ペアレントトレーニングを受けてみませんか」——その言葉を聞いた瞬間、胸にチクッとするものがありませんでしたか。

「子どものことを相談しているのに、なんで私がトレーニングを受けるの?」「私の育て方が間違っていたってこと?」——そう感じた方は、少なくないと思います。

私は公認心理師として、子ども家庭支援センターで保護者向けのペアレントトレーニング(ペアトレ)をグループ形式で実施しています。これまで多くの保護者の方と一緒にセッションを重ねてきましたが、最初から前向きな気持ちで来る方は多くはありません。最初はみんな、戸惑いや抵抗を抱えて来ます。

この記事では、ペアトレをすすめられてショックを受けた気持ちをそのまま受け取りながら、本当のことをお伝えしたいと思います。「受けるかどうか」は、読んでから決めてください。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • 支援機関からペアトレをすすめられて、ショックを受けた
  • 「私の育て方が悪かったの?」と自分を責めてしまっている
  • 参加することへの恥ずかしさや抵抗があって踏み出せない
  • ペアトレに興味はあるが、自分に向いているか不安に感じている
目次

「自分のせいだ」と感じるのは、当然のことです

安心する女性

ペアトレをすすめられてショックを受けるのは、それだけ真剣に子どもと向き合ってきたからだと、私は思っています。

「親のトレーニング」という言葉は、受け取り方によっては「今の子育てが間違っている」と言われたように聞こえます。毎日必死にやってきたのに、そう受け取られたとしたら、傷つくのは当たり前です。

「ショックを受けた」のは、あなたが真剣だったから

グループのセッションで、「最初にペアトレをすすめられたときどう感じましたか」と聞くと、こんな言葉が返ってきます。

🗒 グループでよく聞かれる声(一般化した例)

  • 「私が悪かったんだと思って、その場で泣きそうになった」
  • 「夫に言ったら『お前のせいか』と言われそうで言えなかった」
  • 「こんな支援を受けていると知られたくなくて、誰にも話せなかった」
  • 「参加することを決めるまで、3ヶ月かかった」

これは特別な話ではありません。保護者の中には、似たような気持ちを抱えて最初のセッションに来る方もいます。だから、ショックを受けたことも、踏み出せずにいることも、おかしくありません。

「親のトレーニング」という言葉が生む誤解

「ペアレントトレーニング」という名前は、正直なところ、誤解を生みやすい言葉だと思います。「トレーニング=訓練」と聞くと、欠けているものを補う、直す、という印象を持ちやすい。

でも、実際のペアトレは違います。ペアトレは、今の育て方を否定する場ではなく、お子さんの特性に合った関わり方の「選択肢を増やす」場です。

支援者がペアトレをすすめるのは、「あなたの育て方が悪いから」ではありません。「このお子さんには、特性に合った関わり方があって、それを一緒に学べる場がある」と思うからです。

ゆう

ショックを受けるのは真剣な証拠。でも、責める場ではないんです

「受けるかどうか迷っている」その気持ちを、まず話してみませんか

うららか相談室では、ペアトレへの疑問や不安、子どもへの関わり方の悩みをオンラインで専門家に相談できます。踏み出す前の「まず話したい」という段階でも大丈夫です。

ペアトレが本当に伝えようとしていること

子どもの行動には、必ず理由がある

ペアトレの根本にある考え方は、「子どもの行動には理由がある」ということです。

癇癪を起こす、指示を聞かない、同じことを繰り返す——こうした行動は、意地悪でも、わざとでも、親への反抗でもないことがほとんどです。特性や環境、伝わり方のすれ違いから生まれていることが多い。

「なぜこうするのか」が少しわかると、親の感情的な反応が変わります。反応が変わると、子どもの受け取り方も変わります。ペアトレはその「見方の変化」を一緒につくっていく場です。

「完璧な親になる場」ではない

ペアトレで目指すのは、完璧な関わり方を身につけることではありません。

💡 ペアトレで目指すこと

  • 「怒鳴らずに済む回数」が、週に1回でも増えること
  • 子どもの行動を見て「またか」ではなく「なるほど」と思える瞬間が増えること
  • 「自分のせいだ」と責め続けるループから、少し抜け出せること
  • 子どもとのやりとりに、小さくてもポジティブな場面が増えること

グループで実施していると、「先週は怒鳴ってしまった」という報告が必ず出ます。それは失敗ではなく、「気づけた」ということです。気づきがあるから、次に試せる。その繰り返しがペアトレの本質です。

変化は、小さなところから始まる

🗒 これはあくまで一般化した事例ですが……

「どうせ自分には向いていない」と思いながら参加したDさん(小5のお子さんを持つ保護者)は、第2回のセッションで「子どもがランドセルを自分でしまったとき、初めてちゃんとほめてみた」と話してくれました。「そしたら次の日も自分でしまっていた。こんな小さいことで変わるんだと思ったら、なんか泣けてきた」と。スキルを完璧に実行したわけではなく、一度だけほめてみた。それだけで何かが動き始めました。

ゆう

「完璧にやらなきゃ」じゃなくて、一度試してみるだけでいい

「恥ずかしい」「自分には向いていない」と思っているなら

モヤモヤとハートのある女性

支援を受けることへの抵抗は、自然な感情です

「こんな支援を受けていると知られたくない」「専門家に会うのが恥ずかしい」——そう感じる方も多いと思います。

でも少し立ち止まって考えてみてください。子どもが熱を出したとき、病院に連れて行くことを「恥ずかしい」とは思わないはずです。子育てに行き詰まったとき、専門家の力を借りることも、それと同じことです。知識や経験を持つ人に頼ることは、弱さではなく、選択肢を広げる行動です。

一人で抱えることのコスト

「自分のせいだ」という自責の気持ちを抱えたまま、誰にも話せずに毎日をやり過ごしていると、じわじわと消耗していきます。

消耗した状態では、子どもへの関わりも変わってきます。余裕がなくなると声が荒くなる、怒鳴ってしまう、あとで自己嫌悪に陥る——このループは、一人で抱えている限り断ち切りにくい。

ペアトレに参加することは、このループから抜け出す入口のひとつです。「自分が変わらなければ」ではなく、「一緒に考えてくれる人がいる」という感覚が、気持ちを少し軽くします。

「仲間ができる」という、思わぬ副産物

グループ形式のペアトレには、もうひとつ大切なことがあります。同じ立場の保護者と出会えることです。

「うちの子だけがこんなに大変なのかと思っていた」「こんな悩みを話せる人が周りにいなかった」——グループに来ると、似た状況にいる人が必ずいます。「自分だけじゃなかった」と感じる瞬間が、孤独をほぐします。

セッションが終わったあとも連絡を取り合う関係が生まれることがあります。知識やスキルと同じくらい、この「仲間とのつながり」がペアトレの大切な副産物になっています。

ゆう

「うちだけじゃない」——その感覚が、次の一歩をつくります

迷っているなら、まず話すだけでいい

「受けると決めなければならない」と思う必要は、まったくありません。

まず、今どんな状況にあって、何に困っていて、何を変えたいのか——それを誰かに話すだけでいい。話すことで状況が整理され、「受けてみようかな」という気持ちが自然に生まれることがあります。

💡 「迷っている段階」でできること

  • 地域の発達障害者支援センターや子ども家庭支援センターに「ペアトレに興味があるが迷っている」と伝えるだけでも相談になる
  • オンラインカウンセリングで「今の状況を整理したい」という使い方もできる
  • 「受けるかどうか」の判断は、話してみてからでも遅くない

ペアトレをすすめられてショックを受けたあなたに、最後にひとつだけ伝えさせてください。

ショックを受けたのは、それだけ子どものことを真剣に考えてきたからです。その気持ちは、ペアトレの場でも必ず力になります。「自分のせいだ」という言葉を、「自分にもできることがあるかもしれない」に少しだけ変えるための場が、ペアトレです。

ゆう

迷いながらでも来てくれた人が、一番変わっていきます

ショックを受けたその気持ち、まず話してみませんか

うららか相談室では、ペアトレへの迷いや不安、子どもとの関わり方の悩みをスマホからオンラインで専門家に相談できます。「受けるかどうか迷っている」段階でも、話すだけで次が見えてきます。

まとめ

  • ペアトレをすすめられてショックを受けるのは、真剣に子育てをしてきた証拠
  • ペアトレは「今の育て方を否定する場」ではなく「関わり方の選択肢を増やす場」
  • 支援者がペアトレをすすめるのは「育て方が悪いから」ではなく「特性に合った関わり方を一緒に学べるから」
  • 完璧な親になることではなく「怒鳴らずに済む回数が1回増える」ような小さな変化を積み重ねる場
  • 支援を受けることは弱さではなく、選択肢を広げる行動
  • グループで受けることで「仲間とのつながり」という大切な副産物が生まれる
  • 「受けるかどうか迷っている」段階で話すだけでも、次の一歩が見えてくる

迷いながらでも、ここまで読んでくれたあなたに——その真剣さは、必ずお子さんに届いています。

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ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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