子どもの力を伸ばして、子どものやる気を引き出すために、親は子どもを褒めます。
しかし、「すごいね」という感じで、単に褒めるだけでうまくいくわけではありません。
子育てで「上手な褒め方」を知りたい人は少なくないでしょう。
そこで、今回は、
- 子どもの上手な褒め方を知りたい!
- 自分でできる子に育つためにはどのように褒めたらいい?
- 子どもを褒めるときのタイミングを知りたい!
といった疑問や悩みに答えていきます。
上手な褒め方を学んでいきましょう!
この記事は、島村華子氏の「自分でできる子に育つほめ方叱り方」を参考にしています。
子育てにおける2種類の子どもへの接し方
上手な褒め方の前に、子育てにおける親から子どもへの接し方について押さえておきます。
大きく次の2種類の接し方があると言われています。
- 条件付きの接し方(条件付き子育て)
- 無条件の接し方(無条件子育て)
条件付き子育て
「条件付き子育て」とは、子どもの行動の善しあしによって、褒美や罰を使いながら愛情の注ぎ加減を調整し、行動をコントロールすることです。
子育てにおいて、条件付きの接し方では、子どもが大人の思いどおりに行動したときにだけ愛情を与え、逆に期待に沿わなかったときには愛情を引っ込めます。
親が、愛情をエサにする接し方を繰り返すと、子どもは褒められるときに愛されていると感じ、逆にそうでないときには愛されていないと感じてしまうのです。
無条件子育て
「無条件子育て」とは、行動の善しあしにかかわらず愛情を注ぎ、子どもの気持ちに寄り添うことです。
子育てにおいて、無条件の接し方をする場合、子どもの行動の善しあしにかかわらず愛情を注ぎます。
子どもをコントロールするのではなく、気持ちを考え、行動の理由に向き合います。
いつもどおりの親子の時間を持つことで、愛情をエサにすることなく、たとえ子どもが親の期待に沿わない行動をしても愛しているということを示します。
褒め方と叱り方に気を付ける
褒めるときと叱るときは、どちらも能力や見た目に集中した声掛けを避け、努力や経過に言及したり、子どもの行動について具体的に声をかけたりすることが重要です。
大切なのは、子どもの行動を親が思うようにコントロールするために、褒めたり、叱ったりしないようにすることです。
また、子どもに対してどんどん質問をしましょう。
オープンクエスチョンをすることで、子どもが自分の内面の気持ちや考えを親に打ち明けてくれるかもしれません。
安易な「褒めて伸ばす」には要注意
子どもを褒めるときによく使うフレーズとはどのようなものがあるでしょうか
パッと思いつくものを挙げてみます。
- すごいね!
- 頑張ったね!
- えらいね!
これらの言葉は子どものやる気を伸ばして自信をつける言葉のように聞こえます。
しかし、子どもの成長にとって必ずしも良い影響があるとは限りません。
褒め方によっては、子どもに不安やプレッシャーを与えたり、モチベーションが下がる原因になったりと、さまざまな弊害が生じることもあります。
褒め方の種類によって、良くも悪くも子どもの成長に影響を与えます。
3種類の褒め方
「褒める」とは、「他人の成果やパフォーマンス、あるいは特性に対するポジティブな評価のこと」を指します。
つまり、評価している側の人の主観で相手の善しあしを決めることと言えます。
大きく分けて、褒め方は3種類あります。
- おざなり褒め
- 人中心褒め
- プロセス褒め
この中で最も良い「褒め方」をお伝えします。
おざなり褒め
どういうところが、どういうふうによかったのか具体性に欠ける、中身のない表面的な褒め方です。
- すごいね!
- よくできたね!
- 格好いいね!
人中心褒め
性格(優しさ・気遣いなど)・能力(頭の良さ・足の速さなど)・外見(顔・体型など)といった表面上の特徴を中心に褒める。
- とっても優しいね!
- 頭がいいね!
- かわいいね!
プロセス褒め
努力・過程・試行錯誤した手順を中心に褒める。
- 頑張って最後までやり切ったね!
- 失敗しても諦めなかったね!
- いろんな方法を試したね!
褒め方の正解
子どものを褒める場面として、「小さな子どもがおもちゃを片付けたとき」を考えてみます。
子どもがおもちゃを片付けたときに、「すごいね!えらいね!」というだけなのが「おざなり褒め」です。
「お利口さんだね。さすがお兄ちゃんだね。」というのが「人中心褒め」です。
そして、「遊んだ後におもちゃを元にあった場所に戻したのね。」というのが「プロセス褒め」です。
あなたならどのような褒め方をされたら嬉しいでしょうか?
「すごいね」とか「お利口さんだね」と言われても嬉しいと思いますが、それだけだと褒められないと自信が持てなくなってしまったり、褒められなければやらなくなってしまうことがあります。
本人のやる気やモチベーションを高めるためには、本人の頑張りや努力、工夫などに焦点を当てた「プロセス褒め」が最も良い褒め方と言えます。
「プロセス褒め」に、「おざなり褒め」や「人中心褒め」を組み合わせることで褒めることの効果を高めることもできます。
褒めるときの3つのポイント
褒め方には3つのポイントがあります。
- 成果よりも、プロセス(努力・姿勢・やり方)を褒める
- もっと具体的に褒める
- もっと質問する
成果よりも、プロセスを褒める
子どもを褒めるときに大切なのは、能力や性格をたたえるのではなく、取り組んでいる過程での努力や挑戦した姿勢、やり方を工夫した点などに言及し、励ましてあげることです。
具体的な例として、小学校の絵画コンクールで学校で選ばれた場面を取り上げてみます。
「絵が選ばれるなんて、本当にすごいね」と大げさに褒める代わりに、「絵を上手に描けるように努力してきたね(努力)」、「いろんな絵を描いてみて、素敵な絵を仕上げられたね(やり方)」というような声掛けをしてあげることが大切です。
これによって子どもは、次の絵画コンクールで選ばれなくても、「自分に能力がないから、できなくても仕方ない」と諦めるのではなく、柔軟に色々な方法を試すことで成功できるかもしれないと頑張れるようになります。
もっと具体的に褒める
「おざなり褒め」に足りないのは具体性です。
親から「すごいね」と言われても、具体的な理由がなければ、何が褒められているのかわかりませんし、自分の優れているところ、一方で努力が必要なところがわかりにくいものです。
子どもが絵画コンクールで選ばれたとしたら、その絵の構図が良かったとか、色使いや色塗りが丁寧だったとか、細かく描いていたといったように具体的に言及することが大切です。
親は具体的なフィードバックをした方が、子どもの次のパフォーマンスに向けてモチベーションが上がりやすものです。
もっと質問する
親は褒める言葉を伝えるだけでなく、子どもにどんどん質問をすることもポイントです。
大切なのは、子ども自身がどう感じたか、どう思ったかということであり、親がどう思うかはそれほど重要ではありません。
「はい」か「いいえ」で答えられるような質問ではなく、「この絵のポイントはどこかな?」「どんな気持ちで描いたのかな?」など、会話のキャッチボールができるようなオープンクエスチョンをしましょう。
タイミング別の上手な褒め方
タイミング別の上手な褒め方について説明します。
実際に日常であり得そうな場面を用意しています。
字が上手に書けたとき
「才能あるね」という人中心褒めは、子どもの外側だけをみた評価です。
同じような評価を得られないときに子どもは自分の才能を疑ったり、他の子どもと自分を比べるようになってしまいます。
これに対して努力や頑張っていた姿を認めてもらった場合、もっと頑張ろうという内的モチベーションの向上につながります。
プロセス中心の褒め方は、結果に固執しないので、たとえ失敗したとしても、次につながるように励ますことができます。
お手伝いをしたとき
お兄ちゃんだからというのは、「〜すべき」という大人の勝手な期待の押し付けです。
子どもは、お兄ちゃんらしく、お姉ちゃんらしく振る舞わなかったら愛情が守られないと考えてしまう可能性もあります。
お兄ちゃん、お姉ちゃんという色眼鏡を大人が取り払って、その子自身が考えて行動してくれたことに対して声をかけてあげましょう。
友達に優しくできたとき
子どもの思いやりを持った行動に感謝することは大切です。
しかし、優しい人になってほしいという大人の気持ちが大きいがための過剰な褒め方は逆効果です。
子どもにとってはプレッシャーになるばかりか、相手を助けたいから行動していたはずが、褒められることを条件に優しくするようになる可能性があります。
子どもが人のために自発的に行動をとったときには、どういうところが良かったのかを認識して声をかけてあげましょう。
まとめ
今回は、子育てで役立つ子どもの上手な褒め方について詳しく説明しました。
子どもを褒めるときは「無条件褒め」で、子どもの努力や頑張りに対して「プロセス褒め」をして、次の3つのポイントに気をつけましょう。
- 成果よりも、プロセス(努力・姿勢・やり方)を褒める
- もっと具体的に褒める
- もっと質問する
親が子どもの動機づけ(モチベーション)を高める方法について記載した記事があるので、参考にしてください。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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