子どもが言うことを聞かない、何度言っても同じことをくり返す——。そんなとき、つい「どうしてこの子は…」とイライラしてしまいますよね。
でも、もし同じ出来事を「別の角度から」見られたら、気持ちが少し軽くなるかもしれません。その手助けをしてくれるのが、「リフレーミング」という心理技法です。物事の枠組み(フレーム)を変えて、ネガティブな見方をやわらげる考え方で、子育てのストレスにもとても役立ちます。
私は公認心理師として、子育ての悩みを抱える保護者の方とたくさん向き合ってきました。この記事では、リフレーミングの意味と効果、そして子育てに活かす具体的なやり方を、やさしくお伝えします。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 子どもの言動に振り回されて、イライラしやすい方
- 物事をつい悪いほうに考えてしまう方
- リフレーミングの意味ややり方を知りたい方
- 子育てのストレスを、考え方から軽くしたい方
リフレーミングとは?

リフレーミングとは、物事を見る「枠組み(フレーム)」を変えて、同じ出来事を別の視点から捉え直すことです。英語の「reframing」は、「フレーム(frame)をかけ直す(re)」という意味。ネガティブに見えることも、見方を変えればポジティブな面が見えてくる——そんな考え方です。
有名なたとえに「コップに半分入った水」の話があります。

コップに半分の水が入っているとき、「もう半分しかない」と思う人もいれば、「まだ半分もある」と思う人もいます。水の量という事実は同じでも、どう捉えるかで気持ちはまるで変わります。「半分もある」と思える人のほうが、ストレスを感じにくいといわれています。この“捉え方を選ぶ”ことこそ、リフレーミングの核心です。
よく似た言葉に「ポジティブシンキング」がありますが、少し違います。ポジティブシンキングが「とにかく前向きに考える」ことだとすれば、リフレーミングは、つらい気持ちを否定せず受け止めたうえで、別の見方を探す点が特徴です。無理に明るくならなくていいので、心の負担が少ないのです。
ゆう事実は変えられなくても、「見方」は自分で選べます。
リフレーミングの効果
リフレーミングを習慣にすると、こんな効果が期待できます。
- 感情をコントロールしやすくなる…カッとなっても、一度立ち止まって見方を変えられます
- 自信がつく・苦手意識がやわらぐ…短所を長所として捉え直せるようになります
- モチベーションが上がる…困難を「成長のチャンス」と見られるようになります
- 子育てが楽になる…子どもの困った行動も、別の角度から見られるようになります
とくに子育てでは、この効果が大きく感じられます。たとえば「落ち着きがない」と悩んでいた子のことを、「好奇心が旺盛で、行動力がある」と捉え直す。すると、親の気持ちがやわらぐだけでなく、子どもも「自分はこれでいいんだ」と安心できます。親のまなざしが変わることは、そのまま子どもの自己肯定感を育てることにつながります。子どもは、親が自分をどう見ているかを、敏感に感じ取っています。だからこそ、親の見方が変わることには、大きな意味があります。
リフレーミングの2つの種類


リフレーミングは、大きく2つのタイプに分けられます。
①状況のリフレーミング
置かれた状況や環境の捉え方を変える方法です。短所に見えることも、状況が変われば長所になります。たとえば「マイペースで、まわりに合わせるのが苦手」な子も、自分の世界をじっくり深められる場面では、大きな強みを発揮します。「この子の特徴が活きる場面はどこだろう?」と考えるのが、状況のリフレーミングです。
②内容(意味)のリフレーミング
出来事や性格そのものへの「意味づけ」を変える方法です。「飽きっぽい」を「好奇心が豊か」、「頑固」を「自分の意志をしっかり持っている」と捉え直す。同じ性質でも、言葉を変えるだけで、まったく違う印象になります。これは、子どもへの声かけにもそのまま使えます。
リフレーミングのやり方|3つのステップ
リフレーミングは、コツをつかめば誰でもできます。3つのステップで取り組んでみましょう。
①「事実」と「解釈」を分ける
まず、起きた事実と、自分の解釈を切り分けます。「子どもが宿題をしない」は事実ですが、「やる気がない、だらしない」は解釈です。事実と解釈を分けると、自分が勝手にネガティブな意味づけをしていたことに気づけます。ここが出発点です。
②「別の見方はないかな?」と問いかける
次に、その解釈に対して「ほかの見方はないかな?」とやさしく問いかけます。「宿題をしない」のは、「やり方がわからないのかも」「ほかに夢中なことがあるのかも」。解釈を否定するのではなく、選択肢を増やすのがコツです。一つでも別の見方が見つかれば、気持ちは変わります。
③子育ての場面で使ってみる
あとは、日常でくり返すだけです。子どもの「困った」と感じる行動を見つけたら、心の中で言い換えてみましょう。「うるさい」→「元気いっぱい」、「のろのろしている」→「ていねいに取り組んでいる」。くり返すうちに、自然とポジティブな見方が浮かぶようになります。
これはあくまで一般化した事例ですが、「うちの子は飽きっぽくて、何をやっても続かない」と悩んでいた方がいました。リフレーミングを知り、「飽きっぽい」を「いろんなことに興味を持てる、好奇心が豊かな子」と捉え直してみたそうです。すると、子どもを見る目が少しやわらぎ、「次は何に興味を持つのかな」と楽しみにできるように。お子さんも、以前より生き生きと過ごせるようになったといいます。親のまなざしが変わると、子どもの表情も変わっていくのですね。
考え方のクセを、ひとりで抱えていませんか
自分のものの見方は、自分ではなかなか気づけないものです。専門家と話すと、新しい視点が見つかります。オンラインなら、自宅から自分のペースで相談できますよ。
すぐ使える「言い換え一覧」を活用しよう


「別の見方を探すといっても、とっさには思いつかない」——そんなときは、あらかじめ用意されたリフレーミングの言い換え一覧(辞典)を使うのが近道です。「飽きっぽい→好奇心旺盛」のように、ネガティブな言葉をポジティブに変換する例が、たくさんまとまっています。
子どもの気になる行動を一覧から探して言い換えるだけで、気持ちの切り替えがぐっと楽になります。あ行〜ら行まで、すぐ使える言い換え例をまとめた一覧記事を用意していますので、こちらをブックマークして、困ったときに開いてみてくださいね。


リフレーミングがうまくいかないときは
最後に、大切な注意点をお伝えします。リフレーミングは万能ではありません。つらい気持ちを無理に「ポジティブにしなきゃ」と押し込めると、かえって苦しくなります。まずは「つらいよね」と自分の気持ちを認めてあげること。そのうえで、そっと別の見方を探すくらいがちょうどいいのです。
また、どうしても悪いほうにばかり考えてしまう、気持ちが晴れない日が続く——そんなときは、考え方のクセが強く根づいているのかもしれません。マイナス思考との付き合い方や、考え方を整える方法は、こちらの記事も参考になります。




気持ちのつらさが長く続くときは、ひとりで抱えず、専門家に相談してくださいね。
まとめ
今日お伝えしたことを、最後に振り返っておきますね。
- リフレーミングは、物事の枠組みを変えて捉え直す心理技法
- 「コップの水」のように、事実は同じでも見方で気持ちは変わる
- 感情コントロール・自信・子育てのストレス軽減に役立つ
- やり方は、事実と解釈を分け、別の見方を探し、くり返すこと
- 無理にポジティブにせず、つらい気持ちはまず認めることが大切
リフレーミングは、特別な才能ではなく、練習で身につく考え方の習慣です。同じ出来事でも、見方を一つ増やせるだけで、心はずいぶん楽になります。まずは今日、お子さんの「困った」を一つ、別の言葉に言い換えてみてくださいね。あなたとお子さんの毎日が、少しでも軽やかになりますように。
ものの見方を、専門家と一緒に広げてみませんか
「どう考えても苦しい」と感じるときこそ、第三者の視点が助けになります。気持ちを話すだけでも、心がふっと軽くなりますよ。
あわせて読みたい記事








元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
