失敗するとすぐに諦めてしまう。ちょっと叱られただけで、なかなか立ち直れない。そんなわが子の様子に、「うちの子は打たれ弱いのかな…」と心配になっていませんか。でも、どうか安心してください。困難から立ち直る力=「レジリエンス」は、生まれつきの性格ではなく、関わりの中で育てられる力です。
私は公認心理師として、また以前の職場でも、心が折れそうな子どもたちとたくさん向き合ってきました。この記事では、子どもの「折れない心」を育てるために、家庭でできる親の関わり方を、やさしくお伝えします。気負わず、できそうなところから読んでみてくださいね。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 失敗するとすぐ諦めてしまう子に、心配を感じている方
- 叱られたり負けたりすると、なかなか立ち直れない子が気になる方
- 「打たれ強い子」に育ってほしいと願っている方
- 家庭でできる、心の育て方を知りたい方
レジリエンスとは?

レジリエンスとは、困難や逆境にぶつかっても、しなやかに立ち直る力のことです。「心の回復力」「折れない心」とも呼ばれます。
ここで大切なのは、レジリエンスは「何があっても傷つかない鋼のような強さ」ではない、ということです。傷ついて落ち込んでも、そこからまた立ち上がれる“しなやかさ”のこと。固い棒は強い力でポキッと折れますが、しなる枝は曲がっても折れません。レジリエンスは、この“しなる枝”のような心の力なのです。
そして、この力の土台になるのが「自己肯定感」です。「自分は大丈夫」「自分には価値がある」という感覚があると、子どもは困難にも踏ん張れます。自己肯定感の育て方は、こちらの記事も参考にしてください。

ゆう強い心とは、傷つかない心ではなく、立ち直れる心のことなんです。
レジリエンスが高い子の特徴
レジリエンスが育っている子には、いくつかの共通点があります。
- 自分の気持ちを受け止められる…つらい・悔しいといった感情を、無理に抑え込まず認められます
- 人に助けを求められる…ひとりで抱えず、「手伝って」「相談したい」と言えます
- 別の見方ができる…失敗しても「次はこうしよう」と前向きに捉え直せます
注意したいのは、レジリエンスが高い子=いつも前向きで何でも頑張れる“良い子”ではないということです。時には逃げたり、休んだりするのも、自分の心を守る大切な力。我慢強さとは違います。「立ち直れること」が大事なのであって、「傷つかないこと」ではないのです。
子どものレジリエンスを育てる親の関わり


レジリエンスは、日々の関わりの中で育っていきます。家庭でできる関わり方を見ていきましょう。
①「安心できる場所」になる
レジリエンスの土台は、「何があっても自分には帰る場所がある」という安心感です。失敗しても受け止めてもらえる、という信頼があるからこそ、子どもは外の世界で挑戦できます。話を否定せずに聴く、気持ちに寄り添う。その積み重ねが、安心の土台になります。
②結果より「挑戦した過程」を認める
「勝った・できた」という結果だけを褒めると、失敗を怖がるようになります。そうではなく、「最後まで頑張ったね」「挑戦したのがすごいね」と、過程そのものを認める。すると、子どもは失敗を恐れず、また立ち上がれるようになります。認め方のコツは、こちらも参考にしてください。


③先回りして、手を出しすぎない
失敗させまいと親が先回りすると、子どもは「自分で乗り越える経験」を積めません。小さな失敗は、立ち直る力を育てる絶好の練習です。見守りながら、できることは少しずつ子どもに委ねていきましょう。転んでも自分で立ち上がる経験が、心を強くします。
④親自身が、立ち直る姿を見せる
子どもは、親の姿から学びます。親が失敗したとき、「どう受け止めて、どう立ち直るか」を隠さずに見せることも、大切な関わりです。「失敗しても大丈夫なんだ」と、親の背中が教えてくれます。完璧な親より、立ち直る親のほうが、ずっと良いお手本になります。
子どもの心の育ちに、悩んだときは
「この関わりで合っているのかな」と迷ったら、専門家に話すと、その子に合ったヒントが見つかります。オンラインなら、自宅から気軽に相談できますよ。
家庭でできる「心の筋トレ」
レジリエンスは、心の筋肉のようなもの。毎日少しずつ動かすことで育っていきます。心理学でも知られる、家庭で手軽にできる「心の筋トレ」を紹介します。



寝る前に、親子で次の3つを、いくつか口に出してみましょう。
- 「わたしは〜が好き」…好きなこと(例:わたしはサッカーが好き)
- 「わたしは〜ができる」…できること(例:わたしは絵が描ける)
- 「わたしには〜がいる」…大切な人や宝物(例:わたしには家族がいる)
自分の「良いところ」「大切なもの」を言葉にして“見える化”することで、子どもは自信を取り戻していきます。ポジティブな気持ちで眠りにつけるので、寝る前の習慣にぴったりです。続けるうちに、自己肯定感も少しずつ育っていきます。なお、感情そのものとの付き合い方は、こちらの記事も参考になります。


これはあくまで一般化した事例ですが、習い事の試合で負けるたびに大泣きして引きずってしまうお子さんがいました。親御さんが、結果を責めず「最後まで諦めなかったね」と過程を認め、寝る前に「好き・できる・いる」を一緒に言うようにしたそうです。すると少しずつ、負けても「次がんばる」と切り替えられるように。「立ち直るのが早くなったんです」と、うれしそうに話してくれました。小さな積み重ねが、心のしなやかさを育てていきます。
無理に「強い子」にさせないで


最後に、大切なことをお伝えします。レジリエンスを育てたいあまり、「もっと頑張りなさい」「泣かないの」と強さを求めすぎると、かえって心の負担になります。立ち直る力は、つらさを我慢させることでは育ちません。まずは「つらかったね」と気持ちを受け止めること。その安心があってこそ、子どもは自分から立ち上がれます。
また、元気がない状態が長く続く、食欲や睡眠に変化がある、といったときは、無理をさせず、スクールカウンセラーや医療機関など専門家に相談してください。早めに気づいてあげることが、お子さんを守ることにつながります。
まとめ
今日お伝えしたことを、最後に振り返っておきますね。
- レジリエンスは、傷つかない強さでなく、しなやかに立ち直る力
- 土台は自己肯定感。「自分は大丈夫」という感覚が踏ん張りを生む
- 安心できる場所になり、結果より挑戦した過程を認める
- 先回りせず見守り、親自身が立ち直る姿を見せる
- 強さを求めすぎず、まず気持ちを受け止めることが何より大切
折れない心は、特別な才能ではなく、毎日の関わりの中で少しずつ育っていきます。すぐに変わらなくても大丈夫。あなたが「失敗しても大丈夫だよ」と見守り続けること、それ自体が、子どもの心のしなやかさを育てています。今日できそうな関わりを一つ、取り入れてみてくださいね。
子育ての悩みを、ひとりで抱えていませんか
子どもの心の育ちに迷ったときは、専門家と一緒に整理すると、その子に合ったヒントが見えてきます。気持ちを話すだけでも、心が軽くなりますよ。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
