「今日こそ穏やかに接しよう」と決めたのに、気づけばまた子どもに感情的に怒ってしまう。早寝も、運動も、やろうと決めたことが三日で続かない——。そんな自分に、がっかりしていませんか。でも、それはあなたの意志が弱いからではありません。セルフコントロールは「根性」ではなく、コツを知って少しずつ育てていくスキルだからです。やり方さえわかれば、誰でも今より上手に、自分の感情や行動とつき合えるようになります。私は公認心理師として、感情や習慣に悩む保護者の方とたくさん向き合ってきました。この記事では、自分を責めずに続けられるセルフコントロールのトレーニング方法を、一緒に見ていきましょう。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- つい子どもに感情的に怒ってしまい、あとで後悔する方
- 「やろう」と決めたことが、いつも続かない方
- 誘惑や衝動に流されやすい自分を変えたい方
- 自分を責めずに、無理なく習慣を変えたい方
セルフコントロールとは?親にとって大切な理由

セルフコントロールとは、自分の感情・思考・行動を、自分で整える力のことです。わき上がる怒りや、目の前の誘惑にそのまま流されるのではなく、いったん立ち止まって選び直せる力、と言いかえてもいいでしょう。
これは、子育て中の親にとって特に大きな意味を持ちます。心に余裕があるときは優しくできても、疲れていると、つい強い言葉が出てしまう。誰にでもあることです。でも、ほんの少し「間」を置けるようになるだけで、後悔する場面はぐっと減っていきます。親が自分の感情を整えられると、子どもへの接し方も自然と穏やかになっていきます。
そして大切なのは、親が落ち着いて対応する姿を見せること自体が、子どもにとってのお手本になるということ。子どもは、親が感情とどうつき合っているかを、日々の暮らしの中で学んでいます。なお、子ども自身の感情コントロールの育ちについては、別の記事で詳しくお伝えしています。

ゆうセルフコントロールは根性ではなく、育てられるスキルなんです。
なぜ「続かない」のか|意志のせいではない
決めたことが続かないと、「自分は意志が弱い」と感じてしまいますよね。でも、続かないのには、ちゃんとした理由があります。
ひとつは、セルフコントロールは「体力」と同じで、使うと消耗するということ。一日の終わりや、疲れているとき、ストレスが多いときほど、ぐっとこらえる力は弱まります。夕方に子どもを叱りすぎてしまうのは、あなたが冷たいからではなく、力を使い果たしているからかもしれません。
もうひとつは、「できなかった自分」を責めると、かえって続かなくなること。自己嫌悪はエネルギーを奪い、次の一歩を重くします。だからこそ、根性で押さえこむのではなく、消耗しにくい工夫と、自分にやさしい続け方が大切なのです。
セルフコントロールを高めるトレーニング


大きく変えようとせず、小さく始めるのがコツです。「体」「心」「考え方」の3方向から、できそうなものを一つ選んでみてください。
「体」から整える
セルフコントロールは、体調と深くつながっています。睡眠不足や空腹のとき、人はイライラしやすく、衝動を抑えにくくなります。「お腹が空くと不機嫌になる」のは、気のせいではなく、体の仕組みなのです。
まずは睡眠・食事・軽い運動を整えること。完璧でなくてかまいません。15分早く寝る、朝に少し日光を浴びる、それだけでも感情の波はずいぶん穏やかになります。心を変える前に、体を整える。これがいちばんの近道です。
「心」を落ち着ける習慣を持つ
カッとなった瞬間に、6秒だけ待つ。深呼吸を3回する。その場をいったん離れる。こうした小さな「間」をはさむ習慣が、衝動的な反応にブレーキをかけてくれます。
怒りのピークは、長くても数十秒だといわれています。その波が過ぎるまで、ほんの少しやり過ごす。たとえば「トイレに行く」「コップ一杯の水を飲む」だけでも、頭がクールダウンします。あらかじめ「イラッとしたらこうする」と決めておくと、いざというとき動きやすくなります。
「考え方」を切り替える(リアプレイザル)
同じ出来事でも、とらえ方を変えると感情は変わります。子どもがぐずったとき、「わざと困らせている」ととらえると怒りがわきますが、「眠くて甘えたいのかな」と見直すと、少し気持ちがやわらぎます。これをリアプレイザル(再評価)と呼びます。
出来事そのものより、それをどう解釈するかが、感情を大きく左右します。すぐに切り替えられなくても大丈夫。「別の見方はないかな?」と問いかけるクセをつけるだけで、少しずつ反応は変わっていきます。
これはあくまで一般化した事例ですが、毎日夕方になると子どもを叱りすぎ、自己嫌悪に陥っていた方がいました。けれど「夕方は自分の力が切れる時間」と気づき、その時間帯だけ夕食を簡単にして早めにお風呂に入れるようにしたところ、叱る回数が自然と減ったそうです。意志を強くしたのではなく、消耗しにくい仕組みに変えただけ。それでも、結果は大きく変わったのです。
💡 続けるためのいちばん大切なコツ
セルフコントロールは、自分に厳しくするほど高まるわけではありません。「できなかった日」を責めると、かえって続かなくなります。うまくいかない日があって当たり前。7割できたら十分、くらいの気持ちで続けるのが、結局いちばんの近道です。
「またやってしまった」をくり返してつらいときは
自分の感情とのつき合い方は、専門家と一緒だと整理しやすくなります。オンラインなら、家事や育児の合間に、自分のペースで相談できます。
感情の波と上手に付き合う心理スキル
トレーニングに慣れてきたら、心理学で使われる方法も取り入れてみましょう。どれも、専門家のサポートと組み合わせると効果が高まります。
マインドフルネス
「今、ここ」に意識を向ける練習です。過去の後悔や先の不安から離れ、目の前のことに集中する習慣が、感情の揺れをやわらげてくれます。家事をしながらでも、呼吸に意識を向けるだけで実践できます。


アンガーマネジメント
怒りそのものを消すのではなく、上手に付き合う方法です。怒りは自然な感情で、なくす必要はありません。とくに子育て中は怒りの場面が多いので、知っておくと心強い味方になります。


認知行動療法の考え方
自分の「考え方のクセ」に気づき、少しずつ見直していく方法です。リアプレイザルとも通じる、感情との付き合い方の土台になる考え方です。自分でも取り入れられる方法は、こちらで詳しくお伝えしています。


まとめ
今日お伝えしたことを、最後に振り返っておきますね。
- セルフコントロールは根性ではなく、育てられるスキル
- 続かないのは意志のせいではなく、力を使い果たしているから
- 「体・心・考え方」の3方向から、小さく始めるのがコツ
- とらえ方を変える「リアプレイザル」で、感情は変わる
- 自分を責めず「7割できたら十分」で続けることが、いちばんの近道
うまくいかない日があっても、大丈夫です。それはあなたが本気で変わろうとしている証拠。完璧を目指さず、今日できそうな小さな一歩から始めてみてくださいね。意志を強くするのではなく、続けやすい仕組みを整える。それが、あなたのペースで変わっていくいちばんの方法です。
ひとりで頑張りすぎないでくださいね
感情のコントロールや習慣づくりは、専門家と一緒だと続けやすくなります。気持ちを話すだけでも、心がふっと軽くなることがありますよ。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
