WISCの「行列推理」が低いとは?特徴と支援を公認心理師が解説

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「図形の並びを完成させる検査で、点数が低かった」——結果を見て、何を意味するのか気になっている方もいらっしゃると思います。

WISCやWAISの「行列推理」は、図形の並び方からルールを見つけ、その場で答えを導く力を測る検査です。点数が低いのは、考える力がないからではありません。

この記事では、行列推理が低いとはどういうことか、日常での現れ方と、家庭・学校それぞれでできる工夫を、公認心理師の私がお伝えします。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • WISCやWAISの結果で「行列推理」の評価点が低かった方
  • 初めて見るパターンや規則性を読み取るのを苦手にしている子が気になる方
  • 「行列推理」が何を意味する検査か知りたい方
  • 「応用が利かない」ことを能力不足と誤解されて悩んでいる方
目次

行列推理とは?WISCの下位検査が測っている力

カウンセリングをする男性

「行列推理」とは、図形の並び方の規則性を見つける検査です。これまでの知識に頼らず、その場でルールを見抜く力を測ります。

WISC-Ⅴでは「流動性推理」指標の代表的な下位検査の一つで、大人向けのWAISにも共通して含まれている検査です。

行列推理は、もう一つの検査「積木模様」と並んで、これまでに学んだ知識にあまり左右されない、「その子が本来持っている力」を映す検査として知られています。この2つの検査を組み合わせた詳しい解釈については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

ゆう ゆう
行列推理も、本来の力を映す検査の一つです

補足
行列推理は、言葉をほとんど使わずに答えられる検査です。得点が低いことは、語彙力や知識量の少なさを意味するのではなく、初めて見るパターンをその場で見抜く力に、人より時間や手がかりが必要だということです。

また、行列推理が低くても、言葉で考える力や、コツコツ知識を積み重ねる力に優れているお子さんは少なくありません。この検査の結果だけでお子さんの力を判断しないよう、他の指標とのバランスも合わせて見ていくことが大切です。

なお、検査当日の緊張や集中の続きにくさなども、結果に影響することがあります。一度の数値がすべてを決めるわけではないという点も、あわせて知っておいていただきたいことです。WISCの信頼性については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

行列推理が低いと、日常で何が起きる?

行列推理が低いと、さまざまな場面で困りごとが表れることがあります。場面ごとに、よく見られる現れ方をご紹介します。

家庭で見られる場面

  • 間違い探しや「次にくるものは?」のようなパターン遊びを苦手にする
  • 新しいボードゲームのルールを、説明だけで飲み込むのに時間がかかる
  • いつもと違うやり方を提案されると、戸惑って手が止まってしまう

学校で見られる場面

  • 図形や数列の規則性を問う問題で、手がかりを見つけられず止まってしまう
  • 公式を覚えても、見慣れない形の応用問題になると解き方が分からなくなる
  • 実験や観察で、結果から法則を読み取るのに時間がかかる

友達関係で見られる場面

  • 遊びの中で暗黙のルールや空気を読み取るのに時間がかかる
  • グループ内でルールが急に変わると、ついていけなくなることがある
  • 初めて会うメンバーとの関係で、距離のとり方に戸惑いやすい

習い事で見られる場面

  • 見本の動きから法則を読み取って応用するのに、人より時間がかかる
  • 新しい技や振り付けを、少し変えられただけで戸惑ってしまう
  • 対戦相手の動きのパターンを読んで対応するのが苦手なことがある

「応用が利かない」ことは、「理解していない」こととは違います。

初めてのパターンほど時間がかかるのは自然な特性であり、怠けているわけではありません。

これはあくまで一般化した事例ですが〜、小学4年生のIさん(仮名)のお話です。図形のパズルアプリで、少しひねった問題になると手が止まり、「分からない」とすぐに諦めてしまうことがよくありました。最初の1問だけヒントを一緒に探す習慣を取り入れたところ、少しずつ自分で糸口を見つけられる場面が増えていったそうです。

ゆう ゆう
ヒントが一つあれば、そこから進めます

一人で抱え込まないで

お子さんのことも、ご自身のことも、話せる場所があります

家庭でできる工夫|負担を減らす関わり方

やる気アップの女性

行列推理の負担を減らす工夫も、特別なことではありません。日々のちょっとした関わり方の工夫で、お子さんの「分かった」を増やすことができます。

💡 家庭での工夫、4つのポイント

  • 新しいことを始めるときは、最初のヒントを一緒に探す
  • 「前も似たことがあったね」と、経験と結びつけるヒントを出す
  • ルール変更や予定変更は、事前に見通しを伝えておく
  • できなかったことより、試そうとした過程を認める

それぞれの工夫について、もう少し具体的にお伝えします。

最初のヒントを一緒に探すのは、取りかかりのハードルを下げる方法です。糸口さえつかめれば、その先は自分の力で進められることがよくあります。

経験と結びつけるヒントは、まったく初めての課題として捉えるのではなく、「似ている部分」に気づかせてあげることで、取り組みやすくする方法です。

大切なのは、お子さんを急かして答えを教え込むことではなく、自分で糸口を見つける経験を積み重ねていくことです。

学校にお願いできる配慮、そして専門家への相談

家庭での工夫だけでなく、学校の先生に特性を伝え、配慮をお願いすることも大きな助けになります。「合理的配慮」という言葉を使うと、先生にも意図が伝わりやすくなります。

学校にお願いしたい配慮の例

  • 新しい単元の最初は、例題を一緒に確認する時間をもらう
  • 応用問題の前に、類題や簡単な例を挟んでもらう
  • ルールや進め方の変更は、あらかじめ伝えてもらう
  • 分からないときに質問しやすい雰囲気をつくってもらう

すべてを一度にお願いする必要はありません。お子さんが特に困っている場面から、一つずつ相談してみるとよいでしょう。「合理的配慮」の相談の仕方については、別記事でも詳しくご紹介しています。

一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや専門家に相談することも、大切な選択肢の一つです。ご家族だけで頑張りすぎず、周りの支えを借りながら向き合っていく視点も大切にしてください。

今日からできる一歩を、一緒に考えませんか

専門家に話すことで、見えてくることがあります

まとめ

この記事のまとめ

  • 行列推理は、図形の並びから規則性を見つけて答える力を測る検査です
  • 積木模様と並び「本来の力」を映すとされる、重要な下位検査です
  • 数値が低いことは、考える力そのものの低さを意味しません
  • 家庭・学校・友達関係・習い事など、場面によって現れ方は異なります
  • 積木模様と組み合わせた詳しい解釈は、専用記事で解説しています

初めての場面でとまどうその子にも、ちゃんと見つけ出す力があります

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ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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