「みんな当たり前にできていることが、なぜか自分にはできない」——学生時代はそれほど困らなかったのに、仕事や子育てを始めてからうまくいかない自分を責めていませんか。
公認心理師として保護者支援に携わる私が、女性に多い困りごとを仕事・家事・育児・身だしなみの4つの場面別に整理し、今日から試せる工夫をお伝えします。「努力が足りない」のではなく、「合う工夫を知らなかっただけ」かもしれません。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 仕事や家事、育児がうまくいかず、自分を責めてしまう女性
- 「もしかして発達障害かも」と感じている女性
- 身近に同じ悩みを抱える女性がいる方
発達障害のある女性に見られる特徴|気づかれにくい理由

発達障害と聞くと「男性」を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際、大人でも子どもでも、発達障害と診断される割合は男性の方が高いとされています。
例えばADHDの場合、男の子は落ち着きのなさが目立ちやすい一方、女の子は頭の中が多動でも行動面では落ち着いて見えるため、気づかれにくいことがあります。
そのため、大人になってから「私、もしかすると発達障害ではないかしら」と自分で気づくケースも少なくありません。診断まではつかない「グレーゾーン」の傾向がある方も同様です。
ゆう「大したことない」で片づけないでくださいね
周りからは一見困っていないように見えるため、悩んでいても「大したことはない」と軽く見られてしまいがちです。周りに頼れず自分で何とかしようと頑張った結果、うまくいかず落ち込んでしまう——そんな悪循環に、心当たりはありませんか。
自分に合う仕事を見つけたい
発達障害の特性がある方にとって、仕事との相性はとても重要です。相性が悪いと、どれだけ努力しても結果が出ないことも少なくありません。
適職がわからない
💡 対策のヒント
①業務を分割して自分の得意を見つける/②ナビゲーションブックを活用する/③適職診断・性格診断を受けてみる
自分の得意なことが見つけにくい方は、業務をできる限り分割してみると気づきが得られます。例えばデータ入力なら「収集」「整理」「入力」「見た目を整える」のように分けると、どこが得意でどこが苦手かが見えてきます。
障害や病気のある方向けの自己分析ツール「ナビゲーションブック」も検討してみましょう。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が発行する「ナビゲーションブックの作り方」が参考になります。
適職診断や性格診断を受けてみるのも一つの方法ですが、結果はあくまで傾向を示すものです。実務に即した相談がしたい場合は、心理検査に詳しい公認心理師や臨床心理士、産業カウンセラーへの相談も選択肢になります。


つい無理をしてしまい、続かない
職場で初めから過剰に適応しようとして無理をしてしまうと、後から自己開示したときに相手の期待を裏切ることがあります。早めの段階で自己開示し、自分の特性をわかってもらうことが、過剰適応を避けるコツです。
「ちょっと忘れっぽいところがあるので、遠慮なく突っ込んでください」といった軽い自己開示から始めてみましょう。定時内に終わらない、休憩も取れないほど忙しいと感じたら、早めに周囲へ相談することも大切です。
「自分の特性、どう伝えればいい?」を一緒に整理しませんか
職場での自己開示の仕方や働き方の悩みも、うららか相談室なら自宅から匿名で相談できます。
家事・育児の悩みを何とかしたい


片付けられない
ADHD傾向の方に多いと言われるのが、部屋の片付けがうまくできない悩みです。原因として考えられるのは「視覚認知の弱さ」や「空間認知能力の弱さ」です。
間取り図を書き、どこが散らかりやすいか、自分の生活動線を確認してみましょう。「収納が遠いから放置してしまう」といった気づきが得られ、家具配置を見直すきっかけになります。



うまくいかないなら、家事代行を頼るのも立派な選択です
片付けの悩みについては、ADHD特有の背景と家庭でできる工夫をこちらの記事でさらに詳しく解説しています。


育児の悩みを何とかしたい
育児では、発達特性的に苦手とされることを求められる場面が多くあります。臨機応変な対応、コミュニケーション、マルチタスクなど、特性のあるなしにかかわらず育児は大変です。
母親も子どもも発達特性を持っている場合、特性同士がぶつかり合うことがあります。「こだわり衝突パターン」「特性連鎖パターン」「苦手お揃いパターン」の3つに整理すると、対応の糸口が見えやすくなります。
「苦手お揃いパターン」のように、母親が教えることを頑張りすぎず、児童発達支援や放課後等デイサービスなどの「療育」を頼る方法もあります。
これはあくまで一般化した事例ですが、育児の基準が高くなりがちな方ほど「これくらい普通のこと」と自分の頑張りを過小評価してしまう傾向が見られます。基準を少し下げてみるだけで、自己肯定感が上がることは珍しくありません。
子育てのルールで一番大切なのは「自分が元気であること」です。①育児の基準を下げる、②愛のある手抜きをする、③一人になれる時間を持つ、の3つを意識してみてください。
ご自身にもADHD傾向があるかもしれないと感じる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。


女性にありがちな悩みを何とかしたい
きれいに眉を描く、周囲から浮かないファッションをするなど、女性は発達障害の特性がある方には苦手なものを求められる場面が多くあります。努力だけが解決策だった時代は終わり、今は便利なサービスやグッズが助けてくれます。
ファッションが苦手
頭の中で服の組み合わせをイメージすることが苦手な方は、洋服選びを他人に任せてしまうのも一つの手です。AIがコーディネートを提案してくれるアプリや、スタイリストが選んでくれる洋服レンタルサービスもあります。
ヘアスタイルを可愛く決めたい
手先の不器用さがある方にとって、後頭部で行うヘアアレンジはハードルが高いものです。便利グッズを使えば、ヘアケアもスタイリングも負担を減らせます。
寝る前に装着するだけで翌朝カールがつくスポンジカーラーや、髪を挟んでまとめるヘアアレンジグッズも、忙しい朝の時短に役立ちます。
一人で抱え込まず、話してみませんか
仕事・家事・育児、どれも頑張っているからこそのしんどさです。うららか相談室なら自宅から匿名で相談できます。
よくある質問


発達障害の女性は男性より気づかれにくいのはなぜですか?
行動面では落ち着いて見えても頭の中が多動なタイプが多いためです。大人になってから自分で気づくケースが少なくありません。
「グレーゾーン」でも今回の工夫は使えますか?
はい。診断の有無にかかわらず、生活で困りごとを感じている方には役立つ工夫です。
家事や育児がどうしてもうまくいかない場合、誰に相談すればいいですか?
まずは身近な人に相談し、それでも難しければ公認心理師などの専門家によるカウンセリングも選択肢です。
子どもも自分と同じ特性を持っている気がします。相談すべきですか?
親子で特性が重なることは珍しくありません。診断は専門医の領域のため、気になる場合は専門医にご相談ください。
仕事を続けるのがつらいとき、まず何をすればいいですか?
「いつ」「どこで」つまずいているかを整理してから、早めに周囲や専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
- 発達障害のある女性は特性が気づかれにくく、悩みが軽視されがち
- 仕事は業務の分割・自己開示・専門家への相談で乗り越えやすくなる
- 家事・育児は基準を下げ、愛のある手抜きと一人の時間を大切に
- 身だしなみの悩みは便利グッズやサービスに頼っていい
「できない自分」を責めるのではなく、「合う工夫」を探す視点に、少しずつ切り替えていけますように。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
