東京都がスクールカウンセラーを雇い止め|親向けに心理師が解説

東京都スクールカウンセラー雇い止め

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2024年3月5日に、東京都が都内の公立学校に配属しているスクールカウンセラー250名を雇い止め(不採用)としたというニュースが流れたのをご存知でしょうか?

もしかすると新学期に学校に行ったら、スクールカウンセラーが変わっていることに気づいたという人もいるかもしれません。

心理相談は中長期間にわたって継続的に続くこともあるため、急なスクールカウンセラーの変更は、相談者にとっても学校にとっても良いことではありません。

それなのに、なぜ東京都はスクールカウンセラーの雇い止めを断行したのか・・・

本記事では、東京都のスクールカウンセラーが雇い止めされた理由と新しいスクールカウンセラーに変わったときの注意点について詳しく説明します。

ゆう

私の個人的な考えもふんだんに盛り込んでいきます!

目次

東京都のスクールカウンセラーの実態

カウンセリングをする男性

まずは、東京都のスクールカウンセラーになるためにはどのような条件が必要なのか、どのような契約で雇用されているのか説明します。

東京都のスクールカウンセラーとは

東京都のスクールカウンセラーの人数は1,500人程度で、全員が東京都内の公立学校に配属されます。

応募条件は、「東京都公立学校スクールカウンセラーとしての役割を理解し、その職務を遂行する熱意があること」に加えて、以下の要件のいずれかを満たすことです。

要件
  • 「公認心理師」
  • 「臨床心理士」の資格を有し、臨床心理士資格登録証明書の交付日以降、1年以上が経過する
  • 「精神科医」
  • 「児童・生徒の臨床心理に関して高度に専門的な知識および経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学および同法第97条に規定する大学院における心理学系の学部長、教授、准教授、講師(常時勤務)もしくは助教の職にある者またはそれらの職にあった人」

スクールカウンセラーとして採用になると、次のような業務を行うことになります。

スクールカウンセラーの業務
  • 児童・生徒へのカウンセリング
  • 保護者への助言・援助、児童・生徒集団、学級や学校などの集団に対するアセスメントと助言・援助
  • 児童・生徒の困難、ストレスへの対処方法、心の教育に資する全ての児童・生徒を対象とした心理教育プログラムなどの実施
  • いじめや暴力行為などの問題行動、不登校、子供の貧困、虐待などを学校として認知した場合、自然災害、突発的な事件・事故が発生した際の援助
  • 教職員に対するコンサルテーション
  • 教職員のカウンセリング能力などの向上のための校内研修の実施
  • 児童・生徒のカウンセリングなどに関し、校長や教育委員会が必要と認める事項

東京都のスクールカウンセラーの雇用形態

東京都のスクールカウンセラーは、「会計年度職員」として雇用されます。

会計年度職員とは、従来の非常勤職員・臨時職員・パート職員に変わる職員であり、雇用形態としては常勤職員ではありません。

しかし、身分としては地方公務員法が適用される一般職の地方公務員となり、福利厚生などを受けることができます。

公募によらない再任用

会計年度職員は、年度ごとに採用される仕組みになってはいますが、年度の更新の際には「公募によらない再任用」が行われます。

つまり、スクールカウンセラー経験者はその実績を考慮されて、継続した任用が行われます。

会計年度職員であるスクールカウンセラーが次年度も採用を希望すれば、基本的には再任用となるのが一般的です。

ただし、東京都では「公募によらない任用は、4回を上限とする」と定めています。

ゆう

この「4回を上限とする」が、今回の雇い止めの問題につながっているようです。

東京都のスクールカウンセラーが大量に雇い止めされた理由

毒親になる原因

東京都のスクールカウンセラーが大量に雇い止めされた理由について説明していきます。

東京都は具体的な採用基準について明確に発表していないため、本当のところ理由ははっきりとはわかりません。

ゆう

そのため、ここで説明しているのはあくまでも私個人の考えであることをご了承ください。

「公募によらない任用は、4回を上限とする」

先ほども紹介しましたが、東京都は会計年度職員について公募によらない再任用を行っていますが、その上限を4回としています。

つまり、5回目以降については、それまでの実績等を原則として「リセット」し、ゼロベースで採用試験を行うという意味です。

今回の雇い止めについては、この「4回を上限とする」のルールを当てはめて、事実上の雇い止め(解雇)をしたものでしょう。

ただし、今回のように大量の人を雇い止めをしたことは過去にはありませんでした。

この理由だけでは説明がつきません。

若手スクールカウンセラーの雇用機会の確保

今回雇い止めにあったのは、ベテラン勢が多かったようです。

具体的に数値で表すと、労働組合「心理職ユニオン」が実施した調査(回答数728人)では、補欠にあたる「補充任用」や不合格だった人の割合が40代は21.5%、50代は32.6%であり、20代以下の21.5%よりも高かったようです。

一方、東京都のスクールカウンセラーの給与は、1日あたり44,100円で、年間38回と決められています。

この金額は、年齢によって変わるものではなく、固定です。

以上のことから、今回のスクールカウンセラー雇い止めの理由として、若い人の雇用の機会を作るという意味合いもあった可能性が高いです。

ゆう

「公認心理師」が国家資格になったことで、若い有資格者の雇用を確保しようとする政策的な動きもあるのかもしれません。

ベテランスクールカウンセラーの質の問題

スクールカウンセラーとして長年勤務してきている人は、ある意味でスクールカウンセラーの専門的知識を身につけている人といえますが、別の意味ではスクールカウンセラーとしてしか勤務できていない人ともいえます。

スクールカウンセラーは、あくまでも「会計年度職員」であって、正規雇用職員ではありません。

心理職として正社員(常勤)として仕事をして安定的な給料を稼ぎたいのであれば、病院や福祉施設の心理士、大手企業のメンタルヘルスを担当するカウンセラー、常勤の公務員などの働き先があります。

長年スクールカウンセラーをしている人の中には、心理職として正社員になりたくてもなれなかった人、つまり「正社員としての採用の機会に恵まれなかった人」や、「正社員として求められるスキルが備わっていない人」などが紛れ込んでいる可能性があります。

「正社員としての採用の機会に恵まれなかった人」の中には優秀なスクールカウンセラーもいるでしょう。

しかし、「正社員として求められるスキルが備わっていない人」の場合、もしかすると心理士としての能力が足りなかったり意欲が不足していたりして、東京都としては、そうした人たちを一掃しようとしたのかもしれません。

ゆう

これはあくまでも私見です。偏った意見の一つだとご理解ください。

新しいスクールカウンセラーに相談するときの注意点

理解力

2024年度に雇い止めにあった人たちの中で、撤回要求を出したのは18名でした。

そのうち、8名には4月からの採用(任用)通知が届いたようです。

これは今回雇い止めにあった250名の中のほんの一部であって、多くの学校では新しいスクールカウンセラーが配属されたと考えられます。

もしもあなたのお子さんの学校のスクールカウンセラーが変わってしまった場合、改めて相談する際に注意するべき点について押さえておきます。

お子さんとスクールカウンセラーの相性をうかがう

一番大切なのは、お子さんがスクールカウンセラーと会うことに前向きになれるかどうかです。

お子さんにとって急に担当のスクールカウンセラーが変わることはショックが大きいですし、初めての人に話すのは緊張してしまうでしょう。

お子さんが新しいスクールカウンセラーと初めて話をした日には、そのときどのように感じたのか、このまま続けたいのかをしっかりと聞きましょう。

お子さんが新しいスクールカウンセラーを気に入れば相談を継続していくことがいいですし、あまり相性が合わないようであれば、相談を継続するかどうかを検討する必要が出てきます。

主訴や経緯はもう一度初めから説明する

スクールカウンセラーの業務の一つに、相談した内容については書類を作成して学校に報告するというものがあります。

つまり、あなたやあなたのお子さんについての過去のセッションは、基本的には新しいスクールカウンセラーに引き継がれている可能性が高いです。

しかし、新しいスクールカウンセラーは書面でしか引き継ぎ内容を見ていないこともあるため、あなたやお子さんの悩みを正確には捉えきれていない場合があります。

そのため、相談の内容(主訴)やこれまでの相談の経緯については、もう一度丁寧に説明し直すことが望ましいです。

スクールカウンセラーと学校の先生の連携を確認する

新しいスクールカウンセラーは、子どもや親に対して誠実であるかどうかはとても大切なことですが、学校の先生ときちんと連携を取れているかどうかも重要なポイントです。

子どもが抱えている問題は、子どもに対するカウンセリングだけで良くなるものではありません。

その子が抱えている問題について、学校の先生たちの理解が広がり、組織として適切な支援をしてもらえるようになることが問題解決の糸口となります。

これまで再任用されてきたベテランスクールカウンセラーであれば、学校の先生との関係も長くて十分連携できていたかもしれませんが、新しいスクールカウンセラーは学校の先生との関係づくりも一からのスタートとなります。

新しいスクールカウンセラーが学校の先生とどのように連携をしているのかを確認するため、担任の先生や養護教諭に話を聞いてみて、問題意識が共有されているか、支援方針が同じ方向を向いているかなどを確かめましょう。

あれから1年以上|雇い止め問題のその後

2024年3月に大きな注目を集めたこの問題は、その後も動き続けています。保護者として知っておいてほしい、その後の経緯をまとめます。

国が「3年目公募」を撤廃(2024年6月)

2024年6月28日、人事院は国の非常勤職員について「公募によらない再採用の上限回数」を定めていた取り扱い(いわゆる「3年目公募」)を撤廃しました。総務省も同日、各地方公共団体に対して「地域の実情に応じて適切に対処するように」との通知を出しています。

ただし、この変更はあくまで国の非常勤職員向けの通知レベルの改正です。都道府県など地方自治体には法的拘束力がなく、東京都は現時点でも「4回を上限とする」独自ルールを維持しています。今回の問題が直接解決されたわけではありません。

雇い止めにあったSCが東京都を提訴(2024年10月〜)

2024年10月、雇い止めにあった元・現都スクールカウンセラー10人が、東京都に対して訴訟を起こしました。原告の10人は、5〜26年間にわたって都のSCとして任用を更新してきた方々です。

📋 訴訟の主な内容

  • 原告:元・現スクールカウンセラー10人
  • 請求内容:職員としての地位確認+総額約7,880万円の損害賠償
  • 主な主張:勤務実績を一切考慮せず面接のみで選考したことは不当。更新を期待するのは合理的であり、更新拒絶は客観的な理由を欠く
  • 2025年10月時点で第5回口頭弁論まで進行中

法廷では、面接のマニュアルが存在するかどうかも争点になっています。都側は「マニュアルは存在しない」と主張しながらも「質問例はある」と認めており、その開示を求める動きも続いています。

ゆう

裁判の結果は、全国の非正規公務員の雇用のあり方にも影響する可能性があります。引き続き注視していきたいと思います。

保護者としてできること

この問題は、SCを利用している子どもや保護者にとっても他人事ではありません。制度の問題が続く中で、保護者としてできることを整理しておきます。

💡 保護者としてできる3つのこと

  • SCが変わったら、一から関係を作り直す心構えをもつ
    担当が変わることは、残念ながら今後も起こりえます。新しいSCに子どもの状況を丁寧に伝え直す時間を、焦らず取っていきましょう。
  • 学校以外の相談先も知っておく
    SCだけに頼らず、教育センター・子ども家庭支援センター・オンラインカウンセリングなど、複数の相談先を把握しておくと安心です。
  • 制度への関心を持ち続ける
    今回の訴訟のように、市民の声や関心が制度を変えるきっかけになることがあります。保護者として「知っている」ことも力になります。

SCをうまく活用するためのポイントや、合わないと感じたときの別の選択肢については、こちらの記事も参考にしてください。

まとめ

今回は、東京都のスクールカウンセラーが雇い止めされた理由と新しいスクールカウンセラーに変わったときの注意点について説明しました。

お子さんの通う学校のスクールカウンセラーが今春から新しい人になっているかもしれません。

多くのスクールカウンセラーが子どもの悩みの解決に向けて真剣に考えてくれているので、新しいスクールカウンセラーになったとしても心配することなく相談を続けていただければと思います。

ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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