「スクールカウンセラーって、相談しても意味あるの?」 「学校でプリントは見るけど、どんな人が来るのかわからない」 「うちの子の悩みに、本当に応えてもらえるのだろうか」
スクールカウンセラー(SC)は、学校に配置されている心理の専門家です。不登校・いじめ・友人関係・発達特性のことなど、子どもや保護者の悩みに無料で相談に乗ってくれる存在です。
しかし、SCは学校によって配置日数も人数も異なり、担当する人によっても得意分野や経験に幅があるため、「うまく活用できた人」と「相談しても何も変わらなかった人」に分かれてしまうのが実情です。
私は18年間、少年鑑別所で心理技官として子どもの心理アセスメントに携わり、現在は子ども家庭支援センターでSCと連携しながら不登校・発達障害の支援を行っています。
その経験から言えるのは、「合うSCに出会えたとき、SCはとても心強い存在になる」ということです。
この記事では、
- スクールカウンセラーとはどんな存在で、何を相談できるのか
- SCに相談するとどんな効果が期待できるのか
- 「良いSC」を見分けるための4つの基準
- SCがうまく活用できないときの選択肢
を、現役の心理士の視点からわかりやすくお伝えします。
1. スクールカウンセラーとは|実態と相談できる悩み

スクールカウンセラーの基本
スクールカウンセラー(SC)は、学校に配置される心理の専門家です。教員ではなく「第三者の立場」から、子どもや保護者の心の相談に応じる役割を担っています。
文部科学省は、SCの業務を次の3つに整理しています。
- 児童生徒へのカウンセリング
- 教職員に対する助言・援助
- 保護者に対する助言・援助
令和6年度(2024年度)には、文部科学省の予算で全公立小中学校(約27,500校)への配置が進められています。配置形態は地域によって異なりますが、中学校に1〜3人、近隣の小学校へ週1日程度の派遣、というケースが多く見られます。
SCに必要な資格
SCになるための条件は自治体ごとに異なりますが、多くの場合、次のいずれかの資格が求められます。
- 公認心理師(国家資格)
- 臨床心理士(指定大学院を修了して取得する民間資格)
「心理カウンセラー」「メンタル心理カウンセラー」など民間の名前は世の中に多数ありますが、SCに採用されるためには上記の信頼性の高い資格を持っていることがほぼ必須です。
つまり、SCは一定水準以上の心理学の訓練を受けたプロである、という前提でかまいません。
SCにはいろいろな経歴の人がいる
ひとくちにSCといっても、実際に学校で働いている人の経歴はさまざまです。
- 大学院を修了したばかりの駆け出し心理士
- 病院や相談機関で経験を積んだ後にSCに就いたベテラン心理士
- 個人で心理相談室を開業しながらSCも務めるフリーランスの心理士
- 大学教授がボランティアに近い形で関わっているケース
経歴に幅があるため、得意分野や経験の厚みもSCによって違います。これは「当たり外れがある」という意味ではなく、子どもとの相性や悩みのテーマに合わせて、SCを上手に選んでいいという意味でもあります。
ゆうSCは全員プロですが、得意分野や経験は人それぞれ。「合うSCに出会えるか」が大切なので、合わないと感じたら別の相談先を検討する選択肢もあります。
SCに相談できる悩み
SCには、子どもの学校生活に関わる幅広い悩みを相談できます。
- 不登校・登校しぶり
- いじめ被害・加害
- 友人関係のトラブル
- 親子関係の悩み
- 学習面の不安
- 発達障害・発達特性に関すること
- 精神疾患の疑い、自傷行為などの問題行動
特に近年は、不登校や発達特性に関する相談が増えています。文部科学省の令和6年度調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人で、12年連続で増加しており、SCの役割はますます重要になっています。
(出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2025年10月29日発表)
📖 不登校全般の原因や親の対応を知りたい方はこちら


2. スクールカウンセラーに相談する流れ
「相談したいけど、どう申し込めばいいかわからない」という声はよく聞きます。流れを整理しておきます。
相談の申し込み方法
毎年、年度初めに学校から配布されるプリントに、SCの氏名・出勤日・相談方法が書かれていることが多いです。まずはそのプリントを確認しましょう。
申し込み方法は大きく2通りです。
- 担任や養護教諭に相談して、SCにつないでもらう方法
- SCに直接予約の電話を入れる方法
担任を経由すると、子どもの学校での様子を共有してもらえるメリットがあります。一方、担任には言いにくい話の場合は、直接予約を入れることもできます。



担任に「実はSCに相談したくて」と一言伝えるだけで、学校全体での見守り体制が整いやすくなります。
初回面接(インテーク)
予約の日時に面接室を訪ねると、SCとの初回面接(インテーク面接)が始まります。1回あたり約1時間が目安です。
最初の面接では、
- どんなことで悩んでいるか
- いつ頃から、どんな経過か
- どうなりたいと思っているか
をSCに伝えます。話したくないことを無理に話す必要はありません。話せる範囲で構いません。
SCはここで「アセスメント(見立て)」を行い、その悩みにどう関わっていくかの方向性を一緒に考えてくれます。1回で気持ちが整理される方もいれば、継続して相談を続ける方もいます。
2回目以降の流れ
継続相談になると、SCは子どもや保護者と1対1で面接を進めていきます。必要に応じて、
- 心理検査(知能検査・性格検査・発達検査)の提案
- 担任や養護教諭との連携
- 他の専門機関の紹介
なども行います。
相談の頻度
「毎週でも相談したい」と思う方もいますが、SCが学校にいる日数は限られているため、現実的には月1〜2回になることが多いです。
実は、これくらいの頻度のほうがちょうどいい場合もあります。SCからのアドバイスを生活の中で試し、その結果を次回持ち寄って一緒に振り返る——この時間があるからこそ、変化につながりやすいのです。
3. スクールカウンセラーに相談する4つの効果


「話を聞いてもらうだけでしょ?」と思われがちですが、合うSCに出会えると、相談を通じて次のような効果が期待できます。
効果① 子どもや保護者の心のケア
心理の専門家に話を聞いてもらうこと自体に、心のケア効果があります。
胸の中にたまっている不安・不満・怒り・戸惑いを、利害関係のない第三者に言葉にして吐き出すだけでも、気持ちは少し軽くなります。
特に、家族や友人には話しづらいことも、SCには話せることがあります。「遠すぎず、近すぎず」の距離感だからこそ、本音を出せる場合があるのです。
効果② 子どもの知能や性格の特性を把握できる
SCの中には、心理検査を扱える人がいます(自治体によっては学校内では実施しない場合もあります)。
代表的な検査には次のようなものがあります。
- 知能検査(WISCなど):得意なこと・苦手なことを把握し、学習や生活に生かす
- 性格検査:感情のコントロールや対人関係の傾向を把握する
- 発達検査:ASDやADHDなどの特性傾向を把握する
検査結果から、たとえば「耳で聞くより、目で見て覚えるのが得意なので、声かけだけでなくメモも添えるとよい」といった、具体的なアドバイスが得られます。
📖 WISC検査について詳しく知りたい方はこちら


効果③ 親が「気づき」を得る
子どもの相談に通っているうちに、親自身が新しい「気づき」を得ることがよくあります。
たとえば、子どもの暴言が気になって相談していた方が、面接の中で「夫婦の口論を子どもがそばで聞いていた」ことに思い当たり、夫婦の関わり方を見直すきっかけになる——というケースです。
家庭の中にいると見えにくいことが、第三者と話すうちに整理され、見えてきます。
これは「親の責任」を問うものではなく、家族全体のシステムを少しずつ調整していく作業です。親の関わり方が少し変わるだけで、子どもの状態が大きく変わることは現場で何度も見てきました。
効果④ 学校の協力を引き出せる
SCは学校の職員なので、相談で得た情報を担任や養護教諭と共有できます(守秘義務が及ぶ範囲のなかで、必要な情報のみ)。
この連携がうまくいくと、
- 担任が子どもの様子を理解した関わりに変わる
- 教室での座席配置などに配慮してもらえる
- 必要に応じて別室登校や支援級の検討につながる
など、学校側の対応が大きく変わります。
「その子の専門家である保護者」「教育の専門家である学校教諭」「心理の専門家であるSC」の3者が同じ方向を向いて協力することが、悩みの早期解決の鍵です。
4. 良いスクールカウンセラーの見分け方
ここからは、相談を続けるかどうかの判断材料として、「良いSC」の特徴と見分け方をお伝えします。
実際に会ってみないとわからない部分もありますが、初回面接や2〜3回会った時点で、ある程度判断できるポイントがあります。
特徴① 誠実に向き合ってくれる
良いSCは、相談者の話にじっくり耳を傾け、気持ちに共感しながら、解決に向けて一緒に考えてくれます。
良いSCのサイン
- 話を遮らずに最後まで聞いてくれる
- 「それは大変でしたね」と気持ちを受け止めてくれる
- 一般論ではなく、その家庭の状況に合った具体策を一緒に考えてくれる
- 解決策を一つだけ押しつけず、複数の選択肢を提示してくれる
逆に、相手に好かれようとして学校や担任の悪口を言うSCや、話を聞くだけで何も提案がないSCは、注意したほうがよいかもしれません。
特徴② 守秘義務の取扱いが適切
SCには守秘義務があります。同時に、学校の職員として子どもの安全に関わる情報は学校に伝える義務もあります。この2つの義務のバランスをきちんと説明できるSCは信頼できます。
良いSCの伝え方の例
「あなたの話は基本的に守ります。ただ、命や安全に関わる重要なことは学校に伝える必要があります。学校に知られたくないことは、無理に私に話さなくて大丈夫ですよ。」
こうした正直な伝え方ができるSCは、相談者を尊重している証拠です。
逆に、「全部内緒にしておくから何でも話して」と言うSCは要注意です。本当に何も伝えないかもしれませんが、こっそり学校に報告しているかもしれません。心理士に限らず、約束を守れない人は信頼関係の土台を作れません。
特徴③ アセスメントとカウンセリングのスキルがある
心理士の仕事には、大きく2つのスキルが必要です。
- アセスメント:悩みの原因を見立て、解決の道筋を考えるスキル
- カウンセリング:相談者の悩みを解決するための治療的な面接スキル
良いSCは、相談者の話を聞いた上で、その家庭に合った具体的な提案を複数してくれます。
「傾聴」と「受容」という心理学の言葉を、「ただ黙って聞くだけ」と誤解しているSCもいます。話を聞くことは大切ですが、話を聞くだけで何の見立ても提案もないのは、専門性を発揮していない状態です。
「相談したって意味ない」と感じる原因の多くは、ここにあります。
特徴④ 学校・専門機関と連携している
子どもの悩みは、SCひとりで解決できるものはほとんどありません。学校の先生や、外部の専門機関とつながりながら支援していくのが基本です。
良いSCは、
- 担任や養護教諭と日常的にコミュニケーションを取っている
- 自分の専門外のことは、児童相談所・教育センター・医療機関などにつなぐことができる
- 「これは私の専門外なので、◯◯にも相談してみましょう」と言える
逆に、自分一人で抱え込んで他とつながらないSCは、自分の関わりを批判されたくないという自信のなさが背景にあることがあります。そういうSCに当たった場合、相談が長期化して停滞しがちです。
良いSCを見分けるチェックポイント
これまでの4つの特徴を、実際に判断するための観察ポイントに整理します。
良いSCを見分けるチェックリスト
- ✅ プリントなどに経歴・資格・得意分野が記載されている、もしくは尋ねれば自信を持って答えてくれる
- ✅ 話を遮らずに最後まで聴いてくれる
- ✅ 一緒にいて安心できる雰囲気がある
- ✅ 学校の先生と自然に協力している様子が見える
- ✅ 学校内の保護者の間で口コミ評価が良い
- ✅ 予約が比較的埋まっていて、信頼されている様子がある
逆に、初回や2〜3回会っても「この人にあと何回会っても変わらなさそうだな」と感じるなら、相談先を変える選択肢を考えてもいいでしょう。
5. SCが合わない・頼れない時の選択肢


SCはとても良いリソースですが、すべての悩みをSCだけで解決できるわけではありません。次のような場合、別の選択肢も視野に入れてください。
こんなときは別の選択肢を検討
- 担当のSCと相性が合わないと感じる
- 月1〜2回では頻度が足りないと感じる
- 子どもが学校に行けず、SCに会いに行くこと自体ができない
- 親自身がまず話を聞いてほしいけれど、学校とは少し距離を置きたい
- SCの担当が変わってしまい、一から関係を作り直すのが負担
📖 SCの担当者交代に戸惑った方はこちら


学校以外の相談先
SC以外にも、不登校や子どもの悩みを相談できる窓口は数多くあります。学校・公的機関・民間と、選択肢を整理した記事もあります。
📖 不登校で頼れる相談先を整理して知りたい方はこちら


オンラインカウンセリングという選択肢
「学校とは少し距離を置いて、第三者にゆっくり話を聞いてほしい」「夫婦で相談したい」「夜の時間しか話す余裕がない」——そんな方には、オンラインカウンセリングも選択肢になります。
オンラインなら、自宅から、自分のペースで、気になるカウンセラーを選んで相談できます。


公認心理師・臨床心理士などの専門家に、ビデオ・電話・テキストで相談できるサービスです。不登校・発達障害・親子関係などに対応したカウンセラーが多数在籍。子どものことはもちろん、親御さん自身のつらさも相談できます。
子育ての不安や疑問、一人で抱えないでください。
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6. まとめ|SCは「合う人に出会えれば」とても心強い味方
最後に、この記事の内容を整理します。
この記事のまとめ
- SCは公認心理師・臨床心理士などの資格を持つ心理の専門家で、無料で子ども・保護者の悩みに対応してくれる
- 不登校・いじめ・友人関係・発達特性など、幅広い悩みを相談できる
- SCに相談する効果は4つ:心のケア・特性の把握・親の気づき・学校の協力
- 良いSCの特徴は4つ:誠実な姿勢・守秘の適切な扱い・専門スキル・連携力
- SCには得意分野や経験の幅があるため、合うSCに出会えるかが鍵
- 合わない・頼れない時は、別の相談先やオンラインカウンセリングも視野に
SCは「使い方次第」で、子どもと家族にとってとても心強い味方になります。「相談したけど意味なかった」と思った経験がある方も、別のSCや別の相談先であれば違う体験ができるかもしれません。
ひとりで抱え込まず、まずは一歩、相談につながってみてください。
不登校・発達障害・問題行動の悩み
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
