ちょっとしたことを気にして落ち込んだりつらくなったりしませんか?
会社の上司から書類上の間違いを指摘されただけで、自分がダメな存在であると感じる人。
学校で友達に挨拶をしたのに返事がなかっただけで、嫌われたと思ってしまう人。
こうした「気にしすぎ」の性格を治そうとしても簡単に治せるものではありません。
そこで、本記事では、気にしすぎる性格を受け入れて、自分が楽になる方法について詳しく説明していきます。

この記事は、精神科医の長沼睦雄先生の「気にしすぎる自分がラクになる本」を参考にしています。

「気にしすぎ」とは?

気にしすぎる人は、ちょっとしたことでクヨクヨと考えてしまいがちです。
「クヨクヨ」している状態は、気持ちの良いものではありません。
だけど、そのクヨクヨは、自分を成長させるための少し苦い良薬なのです。
ここでは、「気にしすぎによって起こるクヨクヨ」の正体について解説していきます。

私もちょっとしたことでクヨクヨしがちです。一緒にその正体を突き止めていきましょう。
「気にしすぎてクヨクヨ」の正体
まずは、気にしすぎてクヨクヨするというのが、どのような心の状態なのかということについて考えていきます。
小さなことが気になって仕方なく、それによってクヨクヨしているときは、思考はストップしがちです。
動き出したとしても、同じ一つのことをグルグルと考えてしまいがちです。
このような心のあり方は、「うつうつとした気持ち」と「不安」に支配されている状態といえます。
また、こうした負の感情が続いてしまうと、不快な感情や気になることの溜め込みが何度も起こり、心の中に未処理の重い感情がどんどんと溜まっていってしまうことにもなりかねません。

こうした心の状態がクヨクヨの正体です。
「クヨクヨ」はどこから来るのか
次に、クヨクヨがどこから来ているのかを説明します。
最初に押さえておきたいのは、クヨクヨ思い悩む「きっかけ」と「原因」は異なることです。
きっかけ:日常生活の中で起こる悲しい出来事や仕事における自分のミスなど、自分にとって不利だったり、マイナスに感じるような出来事
原因:起きた出来事を過度にマイナスな出来事と決めつけてしまう「思考のクセ」を持っていること

誰にでも「きっかけ」は起きることがありますが、そこからクヨクヨと思い悩む人はマイナス思考の人です。

気にしすぎを生み出す思考パターン
「ささいなことを気にして、クヨクヨしてしまう・・・」
こうした心の状態に陥りやすい思考はいくつかのパターンがあります。

一覧にしたので見てみましょう。
思考パターン | 内容 |
---|---|
負のフィルター | 負のフィルターがかかると物事の欠点、不足、良くない出来事にしか目につかなくなってしまう。 |
マイナス思考 | 全てのことをマイナスに考える思考のクセ。良いことであっても全てマイナスの考えにすり替わる。 |
べき思考 | 「〜するべき」という考えを持つことが、それができていない今の自分を否定することにつながる。 |
白黒思考 | 何を考えても白か黒か、イエスかノーかの極端な考えになりがち。グレーゾーンに目がいかず、すぐに物事を全否定しがちになる。 |
思い込み | 相手の心を読めるかのように思い込んで、他人が自分に対して否定的であると結論づける。 |
一般化のしすぎ | 一度起きた悪い出来事を毎回起こる出来事だと思い込む。 |
過大解釈・過小評価 | 自分の悪いところを必要以上に大きく捉え、自分の良いところを極端に過小評価する。 |
決めつけ・レッテル貼り | 自分や他人のイメージを勝手に決めつける。 |
責任転嫁 | 他人に責任を押し付ける |

その他、HSP気質の人もマイナスの思考パターンに陥りがちです。

クヨクヨしてしまう原因
クヨクヨしやすいのは性格だけの問題ではありません。
クヨクヨの背景にはいろんな原因が複雑に絡み合っているのです。

筆者は、次の3つの視点でクヨクヨの原因を解説しています
- トラウマ
- 自己愛性パーソナリティ障害
- 自律神経の働き
トラウマ
トラウマとは心的外傷のことです。
代表的なものとしては幼少期の親からの虐待体験がありますが、それだけではなく、たとえば親の入院や祖父母の死去、震災体験などもトラウマになり得ます。
そうしたつらい体験がトラウマとなり、その後も長くその人の心に影響を与え続けます。
こうしたトラウマが起こるときには、心の中にマイナスの感情がある場合が多々あります。
そうしたマイナスの感情を表に出さずに、ぐっと押さえてしまうことでトラウマは生まれます。
幼い頃に理不尽な扱いを受けたり、つらい体験をしたりして、そのことへのマイナスの感情を外に出せずに未解消なまま残ってしまったのがトラウマといえます。
こうしたトラウマが、気にしすぎやクヨクヨの原因となる、マイナス思考で物事を決めつけてしまう考え方の大きな原因になります。
また、トラウマのある人は、トラウマ記憶からくる予期不安にもおそわれます。
「また失敗したらどうしよう」「こんな痛い思いをしたらどうしよう」というマイナスの考え方を心の中に養っていくことにつながっていきます。
自己愛性パーソナリティ障害
自己愛性パーソナリティ障害は、小さなことを気にしてクヨクヨ悩んでしまう人が持ちやすいパーソナリティの一つと言えます。
このパーソナリティは、自分自身を愛する本来の「自己愛」とは全く別物であり、自分を過小評価して、愛することができないからこそ出現する、心の歪みです。

筆者は、「高いプライドと、低い自信」が同居している不安定な状態と説明しています。
こうした人の心の中には、頭が良くて、なんでもできる理想の「思い描いている自分」と、何をしてもうまくいかない、みじめで無価値な「とりえのない自分」の両方がいます。
弱い自分を守るためには、周囲に対して見栄を張り、自分が価値のある人間であることを見せかける必要があります。
だからこそ、自己愛性パーソナリティの人は、周りから認められることに異様なほどのこだわりを持つようになります。
普通の人たちよりも承認を求める気持ちが強い分、他者からの批判に過度に反応してしまいます。
その結果、「クヨクヨ」や「グルグル」から抜け出せなくなってしまうのです。
自律神経の働き
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
交感神経:やる気や元気、怒りのスイッチを入れる作用
副交感神経:そのスイッチを切る役割

この二つの神経のバランスが不安定になってうつ状態に陥ったりするのが「自律神経失調症」です。
ストレス状態が慢性的に続き、交感神経が優位な状態が継続すると、神経は常に緊張・興奮した状態になります。
それが、イライラや不安感につながります。
その後、交感神経の働きが弱くなって、副交感神経が優位になると、ちょっとしたことであっても面倒くさいと感じてしまい、何をやるにもやる気力が湧かなくなってしまいます。
このような「もう何もやる気がしない」という状態では、物事を良い方向に考えることができなくなります。
特に嫌なことや落ち込むようなことが起きたわけでもないのに、何もやる気が起きない、もしくは何をしてもイライラしてしまう場合には、自律神経の乱れが、心の乱れを作っている可能性があります。

筆者は、第3の自律神経と呼ばれる「腹側迷走神経」の影響にも触れています。

気にしすぎてしまう人に大切にしてほしいこと

ここまで説明してきたように、気にしすぎて、クヨクヨ悩んでしまうのは、マイナスの思考のクセが大きく影響しています。
ここでは、クヨクヨと考えやすい人が、どういう心構えや対処法を持っていると楽なのか、もっと人生をうまく歩いていけるのかを紹介します。
受け入れることから全ては始まる
単純にマイナス思考をやめようとするだけでは、心にとって負担になってしまいます。
それではどうしたら良いでしょうか?
それは、自分自身を受け入れることです。
悪いところも、良いところも、判断や抵抗せずに今の自分をありのままに受け入れるのです。
とはいえ、ただ「受け入れろ」と言われても、何をすればいいのか想像しにくいと思う方もいるでしょう。
そもそも、受け入れるとはどのようなものなのでしょうか?
それは、「気づき、認め、許すこと」です。

そのためには、客観視の視点と内省の視点が必要です。
- 客観視の視点:他人の目を持って自分を客観的に見ること
- 内省の視点:自分が何を今思っているか、自分の感情はどうかといったように自分の内面を見ること
トラウマを消す、受け入れる力
自分を受け入れることのもたらす効果は、マイナスで考える思考のクセから抜け出すだけではありません。
自分を受け入れ、許すことで、過去に抱いたトラウマの問題や愛着障害の問題までも、少しずつですが解消していくことができます。
ただ、自分のトラウマ体験を受け入れるのはつらいことです。
つらい体験に今の自分が飲み込まれてしまうと感じることもあるでしょう。
そこで、筆者は、過去のつらい体験を思い出すときには、一人称(私)ではなく、二人称(あなた)を使って、自分のつらい体験を客観的に見ることを勧めています。
「あなた(自分のこと)は、あのとき、お母さんにああ言われて悲しかったんだ。」
「あなたは、もっとお母さんに大事にしてほしかったんだ。」
というように自分が感じていた気持ちを心の中で言葉にして認めましょう。

トラウマを見つけることができたら、認め、受け入れ、許しましょう。
「悩む自分」のことも大事にするために
世の中には、クヨクヨすることをあまり良くないと感じる人がいます。
そのため、自分の中のクヨクヨを隠そう、見ないようにしようとして、疲れている自分に気づこうともせず、「から元気」で生きている人もいます。
クヨクヨ悩んでしまうのは、本人にとってはつらいことです。
クヨクヨした気持ちから離れられなくなっているかもしれません。

そうしたときは、悩んでもいいんですよ。
人間は悩むものです。
大切なのは、気にしすぎて、クヨクヨしてしまう自分を責めたり嫌ったりしないことです。
うまくいかないからといって、自分を受け入れようとすることをやめないようにしましょう。
つらい、悲しい、もうだめだ・・・そうしたときは頑張らないで、考えないで、ゆっくり休みましょう。
気にしすぎな自分を受け入れる方法
ここからは、自分を受け入れるための具体的な方法やワークについて紹介していきます。
言葉を使ったり、身体を動かしたり、頭でイメージしたりする方法などがあります。
自分を受け入れるための方法を実践するにあたって最も重要なことがあります。
それは、
です。

この気持ちがなければ、効果は上がりにくいですし、効果が現れる前に途中でやめたくなってしまいます。
瞑想が自分の心を受け入れる下地となる
まず、おすすめは瞑想です。
瞑想は深いリラクゼーション効果があります。
また、自分自身への「気づき」を促し、自分を受け入れることを助ける効果もあります。
瞑想のコツは、「何も考えないようにすること」です。
雑念が浮かんできたら「今は関係ない」と思って、とらわれることなく、無視しましょう。
ところ、心理療法の一つである、マインドフルネスも瞑想と重なるところがあるのでおすすめです。

言葉の力で、ありのままを受け入れる
言葉の力は、自分を受け入れるときに力を発揮します。
自分を受け入れたいのであれば、それを言葉にして口に出すことで、その言葉を自分の心の中にしっかりと落とし込むことができるようになります。

筆者は、この時のポイントとして「完了形」で言葉に出すことを指摘しています。
自分を受け入れたいと思うのならば、
ではなく、
と言葉にしましょう。
完了形の言葉を使うことで、心の動きも行動も、言葉に引っ張られるように変わっていきます。
人との関係の中で実践してみる
自分を受け入れるワークとしては、人に話すというものもあります。
簡単そうに見えますが、気にしすぎてしまう人には難しいワークです。
「恥ずかしい」、「嫌われるのではないか」という気持ちが先行してしまって、なかなか人に自分の気持ちを話すことに抵抗を感じるかもしれません。

勇気を持って話してみてください。
仲のいい友達などに、自分の中のマイナスの感情を思い切って聞いてもらいましょう。
人に話すことで、自分の中の思い込みや決めつけを見つめ直すことができるようになります。
「気にしすぎ」を生かす視点が人生を変える

気にしすぎる人は、そのこと自体をつらいと感じてしまいがちですが、その「気にしすぎ」は才能の一つであると言えます。
小さなことを気にしすぎる人は、別の見方をすれば、細かなことにも気がつき、配慮が行き届き、そのため、慎重に物事にあたることのできる人ということができます。
また、クヨクヨと悩む人は、他人の心の痛みを理解し、心を寄せることができる人でもあります。

クヨクヨを強みとして捉えて、自分らしい人生を送りましょう!
まとめ
今回は、気にしすぎる性格を受け入れて、自分が楽になる方法について説明しました。
クヨクヨと考えがちな人は、自分を受け入れることで楽になることができます。
ただ、自分の全てを受け入れるには長い時間がかかりますし、今回紹介した方法やワークを一人で行うのは限界があります。
そうしたときには専門家の力を借りましょう。
共働きで忙しい方には、オンラインカウンセリングがおすすめです。
その中でも国内最大手の「うららか相談室」であればセルフケアやメンタルケアなどの相談を受けてくれるので安心です。

- 国内最大のオンラインカウンセリング
- 600名を超える専門家に相談できる
- カウンセリング方法を4種類から選べる
- 誰にも知られず、匿名での相談が可能
\まずは無料会員登録から!/
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。