身近にちょっとしたことでイライラして、いつも怒っているような人はいませんか?
もしかするとあなた自身、仕事や育児に追われる中で、ちょっとしたことで怒ってしまい、後悔することもあるかもしれません。
実は、自己肯定感の低さが怒りと深く関係していることをご存じでしょうか?
自信のなさや不安がストレスとなり、怒りとして表れることがあるのです。
本記事では、アンガーマネジメントの視点を用いて、自己肯定感が低い人が怒る理由を10タイプに分け、それぞれのタイプの人との付き合い方について解説します。
- ついイライラしてしまい、自己嫌悪に陥る人
- 怒りっぽい人が身近にいて、対応に困っている人
- 自己肯定感を高め、もっと穏やかに過ごしたい人

この記事は、安藤俊介先生の「アンガーマネジメントで読み解く なぜ日本人は怒りやすくなったのか?」を参考にしています。

自己肯定感が低くて怒る人

周りからすると、なぜこんなことで怒るのか、いちいち機嫌を損ねるのか、と疑問に思うことがあります。
そうした人は、もしかすると自己肯定感が低いために、怒りやすい人かもしれません。
こうした人たちは、彼らなりに怒る理由があり、本人が考える正当な理屈もあります。
その理由や理屈は、周囲からすると理解不能と思うかもしれませんが、本人からすれば至って正当です。
こうした人たちを次の10タイプに分けて、それぞれの特徴と付き合い方について解説します。
- ダメ出しする人
- とにかく褒めない人
- マウンティングしてくる人
- 謝らない人・謝れない人
- 不機嫌アピールする人
- 論破しようとしてくる人
- あおり運転する人
- 陰口を言いふらす人
- 自分のことでないのにムキになって怒る人
- 価値観を押し付けてくる人
ダメ出しする人
人を褒めるよりも、けなすことが得意。加点主義ではなく、減点主義で物事を見たり、人を評価したりする。
人にダメ出しする人は、自分自身がずっとダメ出しされながら育っています。
怒るときは相手にダメ出しすることが当たり前だと信じて疑いません。
このタイプの基本的な発想は、加点主義よりも減点主義です。
何ができている、足りているかよりも、何ができていないのか、何が足りないかに意識が向かいます。
減点主義で物事を見ると、上から目線になりがちです。
上から目線でいられることに優越感を覚える人がいます。
自分が他人の欠点を指摘するということは、自己肯定感を上げてくれるからです。
このタイプの人に対する対応としては、減点主義でしか物事を見ることを知らないので、他の見方、物事は加点主義で見ることができることを伝えましょう。
また、他者にダメ出しをするのではなく、人を認める方が人から慕われるという姿を繰り返し見せることで、その考え方を緩めさせることもできます。

物事の捉え方を変える方法としては、リフレーミングの手法が有効です。

とにかく褒めない人
できていることは当たり前だから、特に何かを言う必要がないと思っている。一方で、できていないことについては遠慮なく怒る。褒められた経験がなく、人を褒める感覚がわからない。
他者を褒めない人は、自分が褒められた経験があまりないので、褒められても素直に受け止められません。
自分が褒められてもなぜ褒められたのかピンときません。
そのため、相手も褒める必要がないと思っているか、そもそも何をどう認め、褒めてあげればいいのかもわかりません。
できていることは当たり前なので、わざわざ自分から積極的に褒める必要がないとも思っています。
決して認めていないわけではないのですが、それは口に出していうほどのことではない、言わなくてもわかっているだろうくらいに思っています。
また、できていないことは目ざとく見つけて、遠慮なく怒ります。
このタイプの人には、できていること、認めてもらう必要のあることは、こちらから言葉にして投げかけましょう。
繰り返し承認を求められることで、これは承認しなければいけないこと、褒める必要があるということを、感覚的に掴めるようになっていきます。
子どもを上手に褒める方法について解説した記事があるので参考にしてください。

マウンティングしてくる人
自分が相手よりも上である、優位であることを示そうとする。自分が下と思う相手に切り替えされると、強い怒りを持って屈服させようとする。
自己肯定感の低い人は、自分で自分の価値を認められない人、自分で自分に価値があると思えない人です。
こうした人は、簡単に自分の価値を上げようとして、ステータスに頼ろうとします。
例えば、高級車に乗る、高級ブランドを身につける、有名学校に通う、有名企業で働くといったものです。
いわゆるキラキラしていると思われるものを手に入れることで、自分の価値が上がると考えています。
自分ではなく、自分の子どもの学歴さえも、自分の価値を上げるものだと考えています。
マウンティングしてくる人に対応する一番の手段は、相手と同じ土俵に乗らないことです。
同じ土俵にいなければ、そもそも勝負にならないので、気にしないでいられます。
もしも、マウンティングされてうっとうしいと感じる人は、少なからず自分が同じ土俵に片足を置いてしまっているかもしれません。
マウンティングされて凹む人も自己肯定感が低い人といえます。
謝らない人・謝れない人
頑なに自分の非を認めない。自分の非を認めても、それは自分が悪いのではなく、周りや状況が悪いと責任転嫁する。謝ることで自分の価値が下がると思っている。
このタイプの人は、謝って自分の非を認めることで、自分の価値が下がると思い込んでいます。
これは、ある種のプライドの高さといえます。
自己肯定感の低い人は、もともとのプライドが低い人なので、高くしようと力まないとプライドを維持することができません。
こうした人に対しては、謝らなくてもいいし、反省もしなくていいので、次からどうしてほしいかを具体的に伝え、その内容を理解してもらえればOK、と考えるようにしましょう。
不機嫌アピールする人
自分が不機嫌であることを露骨にアピールする。自分が不機嫌さをアピールすることで、周りが気遣ってくれたり、助けてくれたりすると思っている。
不機嫌アピールする人は、自分の感情に自分で責任の取れない人です。
精神的にはとても未熟な人といえます。
自分が不機嫌であることは、他の人の問題ではなく、自分自身の問題です。
ただ、自分はどのようにこの感情と向き合えばいいか、対処すればいいかわかりません。
不機嫌アピールする人が生まれる原因としては、周りにも責任があります。
もしもどうやっても不機嫌アピールができない、しても仕方ない、誰も助けてくれないという環境であれば、不機嫌アピールはしません。
周りにいる人たちができる最善の方法は、不機嫌アピールしても何一ついいことがないと学んでもらうことです。
不機嫌アピールする人を少しでも構ってしまうと、不機嫌さを増長させてしまいます。
論破しようとしてくる人

建設的な議論よりも相手を言い負かす、言いくるめることに価値があると思っている。器が小さく、相手の意見を踏まえて考えることができない。
相手を論破する人は、相手と対話を持つよりもはるかに簡単です。
自分の守りたい立場を決めて、何を言われてもその立場から主張を続けていれば、かなりの確率で相手を言い負かすことができます。
一方で、対話はとても大変です。
自分とは違う意見や価値観を受け入れ、その上でお互い建設的になるように合意を作りながら、慎重に議論しなければならないからです。
論破してこようとする人、特に怒りの感情に任せて言い負かそうとしてくる人に対しては、正面から受け止めずに受け流すようにしましょう。

相手から何を言われても、聞き流すのが基本です。
あおり運転する人
乗っている車の価値、運転技術の優劣が自分の価値と勘違いしている。価値のある人間だと思い込んでいる自分に対し、意に沿わないことをした人には猛烈に攻撃する。時に犯罪行為になることもある。
あおり運転をする人には、さまざまな理由がありますが、高い車に乗っている人が偉い、大きい車に乗っている人が強い、運転の上手い人がすごいといったように、車の価値や運転技術の優劣を自分の価値と思い込んでいます。
運転手は匿名であり、身元がバレないという安心感から虚勢をはりやすくなります。
また、普段、自分に自信を持てない人が虚勢を張ることができれば、相手を攻撃しやすくなります。
もし、あなたがあおり運転にあった場合、やらなければならないことは、「逃げる」ことだけです。
こちらが何もしていないのに逃げ出すだけだと、何か釈然としない気持ちになるかもしれません。
しかし、現実的な対処策に目を向けることが優先です。
陰口を言いふらす人
面と向かって意見を言う勇気のない人。自分の幸せを考えるよりも、他人の不幸のことを優先して考えている。
陰口を言う人は、面と向かって言いたいことを言うことはできません。
直接言っても自分の言い分は通らない、口論になったら勝ち目がないと思っています。
だから、陰で言いたいことを言うのです。
また、陰口を言う人は、その裏に強い嫉妬心が隠れています。
嫉妬心にとらわれている人は、その理屈は分かりません。
嫉妬の対象となる人が近くにいると、自分の自己肯定感を下げ続ける存在として、強い嫌悪感を持ちます。
あなたが陰口の被害にあった時、明らかなうそ、事実と違うことについては、丁寧に事実で反論しましょう。
また、どうしても付き合うのがうっとうしければ距離を置くようにしましょう。
自分のことでないのにムキになって怒る人
自分のことを言われているわけでもないのに、さも自分が言われているかのように怒る。自分からぶつかりに行く当たり屋のような人。
このタイプの人は、自分の人生には直接は関係ないと思われることでも、ムキになって怒ります。
少しでも自分の価値観、ひいては自分が傷つくようなこと、自分の価値をおとしめるようなことを受け入れることができません。
全く部外者であっても、本人は勝手に自分ごとにして、自分が口を挟まなければ気が済みません。
当たり屋のようなものなので、周りとしては、どう当たられないかを工夫したいところです。
しかし、実際に職場や学校など身近にいると、全く避けることは難しいです。
そこで、当たられるのは「ある程度は仕方ない」と割り切りましょう。
仮に、当たられたとしても、そういう人がいるということを知っているだけで、心のダメージを小さくすることもできます。
価値観を押し付けてくる人
自分の価値観が正しいと、その価値観を押し付ける。相手が拒否すると、執拗に怒る。多様性の時代についていけない。
自己肯定感の低い人は、自分と違う価値観を受け入れることが得意ではありません。
自分の価値観を守るのにいっぱいで、他人の価値観を受け入れる余裕がないのです。
つまり、自分の価値観を押し付けてくる人は、多様性を受け入れられない人です。
こちらとして気をつけたいことは、「価値観を押し付けるなという価値観」を押し付けないことです。
自分の価値観を押し付けてしまうと、それはこのタイプの人と同じことをしていることになります。
また、価値観を押し付けてくる場合、素直に聞いた方がいいものは受け入れ、受け入れる必要がないものについては別の方法、やり方があることを伝え、そちらを選ぶように方向づけましょう。

まとめ
今回は、自己肯定感が低い人が怒る理由を10タイプに分け、それぞれのタイプの人との付き合い方について解説しました。
自己肯定感が低いことによる怒りは、本人にとっても周囲にとっても負担となります。
その怒りのパターンを理解し、対処法を知ることで、少しずつ穏やかな気持ちを取り戻すことができます。
もしもあなたが自身が「怒りたくないのに怒ってしまう」「もっと自分をコントロールしたい」と感じるなら、まずは自分の怒りのタイプを知ることが第一歩です。
小さな気づきが、心の余裕につながるはずです。
アンガーマネジメントについては、次の記事も参考にしてください。
ご相談やご質問がある場合は、お気軽にお問い合わせまでご連絡ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。