WAISの結果を読んで、自分の得意と苦手はわかった。でも「で、これをどう活かせばいいの?」と、立ち止まっていませんか。数字の意味を知るだけでは、明日の仕事や暮らしは変わりません。大切なのは、その先の一歩です。
ここでお伝えしたいのは、苦手は、無理に直さなくていい。補えばいいということです。この記事では、仕事と子育てに追われる親が、WAISの結果を日々に活かす具体的な工夫をご紹介します。私は公認心理師として、検査結果を生活につなぐお手伝いをしてきました。同じ親として、できることから一緒に考えていきましょう。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- WAISの結果を、仕事や暮らしにどう活かすか知りたい方
- 仕事のミスや段取りの苦手に、具体的な対策がほしい方
- 仕事と家事・子育ての両立に、いつも疲れている方
- 苦手を責めるのをやめて、楽になりたい方
なお、評価点や下位検査の「読み方」そのものは、こちらの記事でくわしく解説しています。まだ読み方が不安な方は、先にこちらをどうぞ。

まず大切なこと|「苦手を直す」より「環境を整える」

WAISの結果を活かすとき、いちばん大切な考え方があります。それは、苦手な力を頑張って上げようとするより、苦手があっても困らない環境を整えるという発想です。
たとえば、忘れ物が多いなら、記憶力そのものを鍛えるより、メモやリマインダーで補うほうが、ずっと早く楽になります。苦手は性格でも努力不足でもなく、あなたの特性です。責める必要は、まったくありません。
ゆう苦手と戦うより、上手につき合うほうが楽になりますよ。
🔸 一つだけ、気をつけたいこと
WAISの数字を見れば、その人の行動がすべて予測できる、というわけではありません。同じ数字でも、得意・苦手のあらわれ方は人それぞれです。結果は「あなたを決めつけるもの」ではなく、「困りごとの背景を理解する手がかり」として使ってくださいね。
苦手別|仕事と暮らしでできる工夫
ここからは、苦手な指標ごとに、仕事と暮らしでできる具体的な工夫を見ていきましょう。できそうなものから、一つずつ試してみてください。
ワーキングメモリーが低めのとき
口頭の指示を覚えにくい、複数のことを同時に進めると混乱する。そんなときは、頭で覚えようとせず、外に出すのがコツです。メモ、スマホのリマインダー、ボイスレコーダーが強い味方になります。仕事では「指示は書面でお願いします」と伝えるのも有効です。家庭では、子どもの予定や持ち物をカレンダーアプリで家族と共有すると、抜けが減ります。
処理速度が低めのとき
作業に時間がかかる、急かされるとミスが増える。このタイプは、速さで勝負しない工夫が大切です。締め切りは少し前倒しで設定し、チェックリストで手順を固定しましょう。タイマーで作業を区切るのも効果的です。「丁寧にやっている」のは、決して悪いことではありません。家事も、完璧を求めず「ここだけは」と力の入れどころを絞ると、ぐっと楽になります。
知覚推理が低めのとき
図や地図を読むのが苦手、見通しを立てにくい。そんなときは、視覚情報を言葉に置きかえると理解しやすくなります。手順を箇条書きでリスト化したり、口頭で補足してもらったりしましょう。家具の組み立てや道順なども、言葉の説明を頼りにすると進めやすくなります。
言語理解が低めのとき
長い説明を理解するのに時間がかかる、言葉でのやりとりが負担。このタイプは、情報を整理してもらうと楽になります。「結論から話してください」とお願いしたり、長文より箇条書きや図でもらったりするのがおすすめです。自分の得意な方法で情報を受け取る、という発想が役立ちます。



道具に頼るのは、ずるではありません。かしこい工夫です。
指標ごとの工夫は、本でさらにくわしく知ることもできます。難しい専門書ではなく、生活に寄り添ってくれる一般向けの本を選びました。
得意を活かす|強みから考える働き方・暮らし方


苦手への対処も大切ですが、WAISの本当の力は、あなたの「得意」を教えてくれるところにあります。高い指標は、あなたの強みです。そこを活かす場面を選ぶと、無理なく力を発揮できます。
- 言語理解が高い……説明や文章が得意。マニュアル作成や、人に教える役割で活きる
- 知覚推理が高い……空間や段取りの把握が得意。計画づくりや図解で力を発揮
- ワーキングメモリーが高い……複数の情報の同時処理が得意。調整役や暗算が必要な場面に強い
- 処理速度が高い……素早く正確な作業が得意。事務処理やルーティンをてきぱきこなせる
そして、もう一つの工夫が「得意で苦手を補う」ことです。たとえば、記憶が苦手でも言葉の力が高いなら、こまめにメモやマニュアルを作って補えます。自分の強みを、苦手を支える道具にできるのです。
📝 これはあくまで一般化した事例ですが
処理速度が低めで、事務作業に時間がかかり悩んでいたある方は、言語理解の高さを活かして、職場で業務マニュアルづくりを担うようになりました。苦手な「速さ」で勝負するのをやめ、得意な「言葉で整理する力」に軸足を移したのです。すると周囲から頼られる場面が増え、自信を取り戻していきました。苦手と得意の組み合わせ方で、働きやすさは変わるのです。
自分の活かし方を、一緒に考えたい方へ
得意の活かし方も、苦手の補い方も、一人で考えると行き詰まりがちです。公認心理師などの専門家に、オンラインで相談できます。自宅から話せるのも心強いポイントです。
親が自分を大切にするために|抱え込まないという工夫
最後に、親であるあなた自身のことをお話しさせてください。仕事に家事に子育てにと、毎日たくさんの役割を背負っていますよね。そんな中で、自分の苦手まで一人で抱え込むのは、本当に大変なことです。
だからこそ、「頼る」「任せる」「休む」も、立派な工夫です。苦手なことは、家族やパートナーに「これは苦手だから手伝ってほしい」と伝えてみる。完璧な親でなくて大丈夫です。自分の特性を知ったあなたは、もう自分を責めなくていいのです。



あなたが少し楽になることが、家族の笑顔にもつながります。
結果の凸凹の読み方をもう一度確認したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。読み方と活かし方を行き来すると、理解が深まります。


そして、自分の活かし方や気持ちの整理を、専門家と一緒に考えたいときには、オンラインのカウンセリングという選択肢もあります。一人で抱え込まず、まずは話してみることから始められます。
頑張りすぎてしまう、あなたへ
自分の特性とどうつき合い、どう楽になるか。あなたのペースで、専門家と一緒に考えていけます。誰かに話すだけでも、心は少し軽くなります。
まとめ
WAISの結果を、親の仕事と暮らしに活かすポイントを振り返ります。
- 苦手は無理に直さず、環境を整えて補うのが基本
- WAISの数字だけで行動は決まらない。背景を理解する手がかりとして使う
- ワーキングメモリーはメモや書面、処理速度はチェックリストやタイマーで補う
- 知覚推理は言葉で、言語理解は要点を整理して受け取ると楽になる
- 得意(高い指標)を活かす場面を選び、得意で苦手を補う発想を持つ
- 「頼る・任せる・休む」も大切な工夫。親が自分を責めなくていい
WAISの結果は、あなたを縛る成績表ではありません。仕事も暮らしも、少しだけ生きやすくするための工夫の手がかりです。完璧を目指さず、できることから一つずつ。その歩みの隣に、伴走できる人がいることを、どうか忘れないでくださいね。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター

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