子どものスマホの使い方で悩むことありますよね?
心理相談室にも、子どものスマホ使用の悩みで相談に来る方いらっしゃいます。
最近では、中学生の90%以上がスマホを所持しているとのデータもあり、子どものスマホ依存の問題が話題として取り上げられることも増えてきました。
特に、子どもはスマホを自分でコントロールすることが難しいので、親がきちんとした対策を取らなければなりません。
そこで、本記事では、子どものスマホ依存の影響と対策について詳しく解説します。
- スマホ依存が子どもに与える影響を知りたい!
- 子どもをスマホ依存にさせない方法を教えて!
- 困ったときにはどこに相談に行けばいいの?
子どものスマホ依存が心配な方は、ぜひ参考にしてください。
なお、依存症全般について解説した記事がありますので、併せてご覧ください。
スマホ依存とは
スマホ依存には、まだ明確な定義がありませんが,次の定義が参考になります。
スマートフォンの使用を続けることで昼夜逆転する、成績が著しく下がるなど様々な問題が起きているにも関わらず、使用がやめられず、スマートフォンが使用できない状況が続くと、イライラし落ち着かなくなるなど精神的に依存してしまう状態
邦大学医療センター大森病院メンタルヘルスセンターによる
子どもがスマホを必要に応じて使ったり、好きで遊んだりするだけでは依存とは言いません。
単に「好き」でやっているだけでは依存とは言わず、スマホを使用することで日常生活に支障が生じているのに、のめり込みすぎてやめられない状態のことを依存と言います。
「ゲーム」という言葉を「スマホ」に置き換えて読んでみるとスマホ依存の状態を想像しやすくなります。
スマホの依存の現状
まず、総務省の「情報通信白書」によると、日本における情報通信機器の保有状況について、パソコンやタブレットはここ数年横ばいですが、スマホは上昇を続けていて、2019年では83.4%が保有していました。
同年のインターネット利用率(個人)は80.9%で、端末別のインターネット利用率は、スマホ(59.7%)が最も 高く、PC(52.5%)の利用率を上回りました。
次に、KDDI等による2021年の調査では、「コロナ禍でスマートフォン利用時間が増加し、ゲーム障害、ネット依存傾向の割合は1.5倍以上増加」したという報告がなされています。
さらに、子どもを対象とした最近の調査では、2018年に富山大学が富山県内の中学生に行ったアンケート調査があります。
20項目の質問であるネット依存度テスト(IAT-20)を用いて、「非依存」、「低依存」、「高依存」に分けてさまざまな項目を比較したところ、高依存と判断された学生は、全体の4.6%(男子5.4%、女子3.6%)で、学年が上がるほど高依存の割合が増えました。
以上のように、年々スマホの所有率や使用時間は増えていき、それに伴って大人も子どももスマホ依存の割合が増えていると考えられます。
スマホ依存は、社会的な問題にもなっていて、特に子どものスマホ依存については、家族や学校などが協力して対応することが大切です。
スマホ依存が与える影響
スマホ依存は、子どもの身体や心に様々な悪影響を及ぼします。
また、それに伴って、学校生活や社会生活にも支障が生じます。
スマホ依存が与える影響として、次の6つの項目について説明していきます。
- 姿勢の悪化
- ドライアイ
- 睡眠障害
- 抑うつ
- 学業不振
- 家庭内暴力
早速見ていきましょう!
姿勢の悪化
長時間スマホを手に持って画面を見ることになります。
そのため、スマホを持った手は疲れて少しずつ下がってしまい、それに伴って顔をスマホに近づけようとして、猫背気味になります。
また、長時間同じ姿勢をとってしまうため、腰痛、首や肩のこりといった症状も現れます。
姿勢の悪化が長期化すると、運動機能や体力の低下にもつながります。
ドライアイ
スマホの画面を集中して見ることで、目のまばたきの回数が少なくなります。
それによって、ドライアイの症状が現れます。
ドライアイになると、目の疲れ、目がゴロゴロする、目が乾いた感じがする、目に不快感があるといった症状が出てきます。
睡眠障害
寝る前に布団の中でスマホの画面を見ることで、入眠に影響が生じます。
スマホ画面を通して、様々な情報が入ってきて脳が休まらない状態になるためです。
また、スマホ画面から出ているブルーライトを長時間見続けることで、体内時計が狂ってしまい、睡眠のリズムにも影響を与えます。
睡眠障害になると、本格的な治療が必要になります。
スマートウォッチで行う睡眠管理については、次の記事を参考にしてください。
抑うつ
スマホ依存は、心にも影響を与えますが、その代表的な症状として抑うつが挙げられます。
抑うつとは、気分が落ち込んで何もやる気がなくなったり、活動性が低下したり疲れやすくなったりするなど、心のエネルギーが低下している状態を意味します。
治療せずに放っておくと、うつ病に発展するおそれもあります。
学業不振
スマホ依存が進むと、これまで説明したような身体や心に影響が生じてしまい、日常生活にも支障が現れます。
学生にとって最も顕著であるのが、勉強に対する意欲が低下するとともに、睡眠不足などによって集中を保つことができなくなり、それが学業不振につながります。
日々の勉強をやらなくなり、テスト前であっても頑張ろうとする気力を保てなくなります。
その結果、成績低下してしまい、親や先生から注意を受けると、そうした煩わしさから逃げようとして、ますますスマホにのめり込むこともあります。
家庭内暴力
スマホ依存が心に与える影響として「抑うつ」を説明しましたが、他にもイライラしやすくなったりソワソワしやすくなったりする子どももいます。
すると、ちょっとしたことでカッとなって衝動的な粗暴行為に及びやすくなります。
特に、家庭内で親からスマホの使用を注意されると、怒りを抑えられなくなって、家庭内暴力に及ぶこともあります。
家庭内暴力に及びやすい子どもの特徴については、次の記事も併せてお読みください。
スマホ依存になる原因
スマホ依存の対策に入る前に、なぜスマホ依存になるか、その原因を押さえておきましょう。
スマホ依存につながる原因は様々あります。
まずは、スマホが利便性や遊興性が高く、のめり込みやすい点です。
最近は、小さい頃からスマホやタブレットを操作する機会があり、身近にあって慣れ親しんだものになっていますし、誰でも気軽にどこでも持ち運べる点が挙げられます。
スマホ一台で電話、SNS、動画視聴、ゲームなど、いろんなエンターテインメントで遊ぶこともできます。
次に、スマホにのめり込むことで、寂しさや虚しさといった感情から逃れやすくなる点です。
他の依存と共通するところですが、スマホ依存も、生活の中で虚しさや気がかりを感じた人が、「寂しさ」「孤独」「不安」といったネガティブな感情を紛らわそうとするところから始まると考えられます。
日常生活の中で、子どもが不快な感情を抱くようになると、その原因の解決に立ち向かうことが困難な場合、気軽に楽しく操作できるスマホにのめり込み、一時的に嫌な気分から逃れようとします。
さらに、家庭や学校で人間関係がうまくいかず場合に、スマホを使うことでSNSなどに居場所を求めやすい点です。
スマホを使えば、気軽にSNSなどで共通の趣味のある人や同じ悩みのある人を見つけることができ、自分の居場所を見つけやすいところがあります。
日頃の人間関係の煩わしさから容易に逃げることができます。
親ができる子どものスマホ依存の対策
スマホ依存になると様々な影響が生じてしまいますし、スマホ依存が進んでしまうと、日常生活に支障をきたすようになりますし、専門的な治療も必要になります。
そのため、親が子どもがスマホ依存にならないようにするために、できる対策をとることが大切です。
具体的な方法として、次の5つの方法を説明していきます。
- スマホの使用のルール化
- スマホの制限設定
- スマホ依存対策商品の使用
- 子どもの話の傾聴
- 専門機関への相談
スマホの使用のルール化
スマホ依存の予防の対策として、最も大切なことは、家庭でのスマホの使用についてのルール化です。
実は、親が子どものインターネットの使用についてきちんと管理をすることについては、法律でもきちんと定められています。
第六条 保護者は、インターネットにおいて青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、その保護する青少年について、インターネットの利用の状況を適切に把握するとともに、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用その他の方法によりインターネットの利用を適切に管理し、及びその青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努めるものとする。
2 保護者は、携帯電話端末等からのインターネットの利用が不適切に行われた場合には、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意するものとする。
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律
親が、保護者としての責務を果たすためにも、子どものスマホ利用のルール化をすることは有効です。
ルールとしては、スマホの使用時間、時間帯、SNSやアプリの種類などがあります。
ルールを決める上では、次のポイントを意識することが大切です。
- ルールの必要性を伝える。
- 子どもと話し合って決める
- ルールを守れなかったときのペナルティを決める。
- 保護者も子どもと同じルールを守る。
- ルールの見直しをする。
- ルールは文字にして誰でもすぐに見えるようにする。
スマホの制限設定
「フィルタリング」や「スクリーンタイム」という言葉はご存知でしょうか?
フィルタリングとは、親が、子どもの違法・有害なウェブサイトへのアクセスを制限し、安心してインターネットなどのを利用できるように手助けするサービスです。
これによって、子どもがアダルト系やギャンブル系の有害なサイトを見る危険を回避することができます。
スクリーンタイムとは、子どものスマホに使用時間や使用制限を設定することで、スマホの使いすぎを防ぐことのできる機能のことです。
いくら家族で話し合ってルール化したとしても、つい気持ちが緩んで使い過ぎてしまうことがあります。
使い方によっては犯罪被害に巻き込まれることもあるため、スマホ自体に制限をかけることは、スマホの使いすぎをとめることに効果的です。
スマホ依存対策商品の使用
スマホの使いすぎを防ぐものとして、様々な商品が考案され、販売されています。
少しだけ紹介していきます。
一つ目が、「タイムロッキングコンテナ」です。
スマホ自体を透明なケースに入れて、物理的に一時的に使えなくする商品です。
ケースはタイマー付きの鍵をかけることができるので、例えば「就寝1時間前には鍵をかけてタイマーをセットして朝まで使えない状態にする」といったことができます。
最後に、スマホ依存予防ではありませんが、ブルーライトカットガラスフィルムをお勧めします。
スマホのブルーライトの影響を少なくすることで、体内リズムを正常に保ったり、目の疲れを軽減したりする効果が期待できます。
似たような商品がたくさん出されており、多少の性能の違いはありますが、この商品はブルーライトを約90%カットできるものであり、コスパにも優れていますのでお勧めです。
きれいに貼りやすいところも気に入っています。
子どもの話の傾聴
子どもがスマホ依存に進む前には、多くの場合子どもが学校や社会生活がうまくいっていなくて、寂しさや虚しさといった感情が生じていることがあります。
親は、子どもの気持ちについてきちんと耳を傾けて、子どもの気持ちを受け止めましょう。
子どもは、親に話を聞いてもらえた、理解してもらえたという感覚を得ることができれば、安心感を抱くことができるようになります。
ただ、思春期の子どもは、親から離れて一人前の大人に近づく時期でもあり、親に自分の話をしたくない、自分の気持ちを知られたくないという気持ちが強くなりやすい時期です。
そうした場合には、親は無理して子どもの話を聞き出すことはせず、学校の先生や親戚など、近くにいる頼れる大人に相談するとよいでしょう。
そうした人がいない場合は、次の専門機関に相談することを検討しましょう。
専門機関への相談
スマホ依存の専門機関となると、そうした治療を専門とする精神科病院くらいしかありませんが、スマホ依存に進む前の予防の段階であれば、「精神保健福祉センター」がおすすめです。
各都道府県に設置されていて、精神科医や精神保健福祉士や保健師が勤務して、様々な精神障害についての相談に応じてくれます。
スマホ依存についても相談に乗ってくれますし、子どもを連れいていけば面接をしてくれることもあります。
その他、スマホ依存により不登校や家庭内暴力などの問題行動が見られるようであれば、「児童相談所」、「都道府県警の生活安全課」、「法務少年支援センター」などの機関が対応してくれます。
どの相談機関も無料ですので、スマホ依存の問題が大きくなる前に早めに相談することをお勧めします。
おすすめのオンラインカウンセリング
自分のことや家族のことでお悩みの方は、一度オンラインカウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか?
他人に相談することに多くの人は抵抗がありますが、私のブログをお読みになっていただいている方は、悩みを解決するために一歩進むことのできる方です。
実際のカウンセリングルームや精神科病院などにいくのは勇気がいりますし、家族の理解も得にくいと思いますので、そうした方には「オンラインカウンセリング」をおすすめしています。
ネットで検索すると様々なオンラインカウンセリングが出てきますが、「うららか相談室」は、私と同じ公認心理師や臨床心理士といった信頼性の高い心理の資格をお持ちの方が相談に乗ってくれます。
多種多様な相談内容にも対応しているので、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、子どものスマホ依存の影響と対策について説明しました。
子どものスマホ依存は影響が大きいので、親がしっかりと対策を立てて予防しましょう!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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