発達障害のあるお子さんの特徴の一つに「感覚過敏」というものがあります。
感覚処理が困難であるということは、子供が家庭や学校などの日常生活で直面する課題に大きな影響を与えてしまいます。
また、感覚過敏は、子供一人ひとり異なるものであって、感覚の多様性を踏まえて支援をすることが必要です。
そこで、本記事では、発達障害のある子供の感覚過敏について理解し、それを踏まえた支援のポイントについて解説します。
- 発達障害と感覚過敏の関係を知りたい
- 感覚過敏の子供の支援の仕方を教えてほしい
- 子供の感覚過敏が生活や学習に影響を与えている
発達障害のあるお子さんへの接し方について詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
発達障害の感覚の敏感さと鈍感さ
人は自分が同じものを見たり聞いたりした時には、他の人も自分と同じように見えたり聞こえたりしていると考えてしまいがちです。
しかし、実際には人それぞれ感覚は異なっていて、誰一人同じように見えたり聞こえたりすることはないとも言えます。
特に、発達障害のある子供は、感覚処理に特徴があると言われていて、極端に敏感・鈍感であるなど凸凹さが目立ちます。
ここでは、次の3種類の感覚について説明します。
- 特殊感覚
- 体性感覚
- 内蔵感覚
特殊感覚(視覚・聴覚・嗅覚・味覚など)
発達障害のお子さんは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平衡覚などの感覚それぞれに敏感さと鈍感さが混在します。
つまり、音や光、匂いや味などの刺激に対して過敏な反応を示すことがあるということです。
こうした特殊感覚は、視力や聴力などといった客観的に測定しやすい機能の評価が可能ですが、そうした指標では評価できない敏感さや鈍感さが見られることがあります。
教室の蛍光灯の光や、理解室の匂いが苦手な子がいたりします。
体性感覚(触覚・圧覚・皮膚感覚など)
体性感覚とは、触覚・圧覚・皮膚痛覚・温冷覚といった体の表面に現れるものから、位置覚・運動覚・振動覚・深部痛覚といった体の内部に生じるものまであります。
こうした感覚についても、感覚の敏感さや鈍感さが見られることがあります。
触覚や皮膚痛覚の敏感さは気づかれやすいですが、振動する感覚を極端に好む・嫌うということが起こったり、位置覚がうまく動いていないと自分の身体の広がりを認識できにくく、何かにつまずく・ぶつかるということが増えたりします。
長女は、肌感覚が敏感で、幼少期に「足の裏につく砂」が大嫌いで浜辺を素足で歩けませんでした。
内蔵感覚(臓器感覚:膨満感・空腹感など)
内蔵にも感覚があり、内蔵感覚(臓器感覚)と呼ばれます。
例えば、腹部の膨満感や空腹感、嘔吐や動悸などの感覚、内臓の痛みなどです。
こうした内臓感覚にも敏感さや鈍感さの問題が起きることがあります。
ストレスで胃腸が痛むことがあるように、内蔵感覚は不安や恐怖などと関係することもあり、生活に与える影響はかなり大きいです。
感覚過敏が日常生活に与える影響
発達障害のあるお子さんが感覚過敏を有していると、それが日常生活に影響を与えてしまいます。
感覚過敏は「生きづらさ」につながりやすい課題の一つと言えます。
特に、都会などの刺激が多い生活空間で暮らしている場合に、感覚過敏があることで苦労することが増えがちです。
学習や集中力への影響
感覚処理の困難さは、学校内での学習や集中力に影響を与えることがあります。
例えば、教室の騒音が気になる、蛍光灯の光が気になる、エアコンの音が気になるなど、多くの人が気にしないような刺激のために気が散って集中できなくなるといったことがよく見られます。
感覚過敏のお子さんの学習の支援には次の記事を参考にしてください。
行動や情緒への影響
感覚過敏な子供は、ストレスや不安を感じやすくなり、問題行動に及ぶことがあります。
例えば、にぎやかすぎる教室に1時限目から6時限目までいることで、疲れ切ってしまったり、ストレスがたまったりしてしまい、不快な感情が生じやすくなります。
そうした感情を適切に処理できないと、感情的な行動に及んで、対人トラブルを起こすことがあります。
子供の感情コントロールの育て方について次の記事で解説しています。
二次障害
感覚過敏によって、お子さん自身が疲れ切ってしまい、不快な感情を抑えられずに問題行動に及んでしまうと、その子を理解してくれていない大人から厳しく指導されるでしょう。
その子自身も、なんとか自分の行動を改善しようとして、周りからの刺激を我慢しようとしますが、周囲からの配慮が得られなければいずれは感情が爆発してしまい、再び周りから厳しく注意されてしまいます。
こうした悪循環を発達障害の二次障害と呼びます。
発達障害の二次障害については、次の記事で詳しく解説しています。
感覚過敏のある子供の支援のポイント
感覚の問題を背景とする生活の困難さには、様々なパターンがあります。
多くの場合、こうした人に対して行う介入や支援は、比較的シンプルなものです。
次のようなことに配慮すれば安心です。
- 不適切な、過剰な刺激を減らすこと
- 適切な感覚の刺激を増やすこと
- 疲労を考慮に入れて活動や休息の量を調整すること
これらに配慮した上で、お子さん一人一人のニーズに寄り添って対応することが欠かせません。
感覚過敏があって苦手な刺激が多いお子さんを「わがままな子」とレッテルを貼るのではなく、「困っている子」と受け入れて対応することが何よりも大切です。
感覚過敏で困っているお子さんの特性を十分に理解して、その子に合った方法で支援しましょう。
「感覚の多様性」を前提として人付き合いをしていくことが非常に大切です。
発達障害のお子さんの苦手なことを得意なことに変換していく方法については次の記事を参考にしてください。
まとめ
今回は、発達障害のある子供の感覚過敏について理解し、それを踏まえた支援のポイントについて解説しました。
感覚過敏の程度はお子さんによって異なります。
「感覚の多様性」を理解して、一人一人のニーズに合わせた支援を行うことが大切です。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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