この記事では、
単身赴任になった夫が家族のためにできること
について詳しく説明していきます。
年度末になると、会社から転勤の辞令が出され、今の家から転勤先が遠い場合、家族全員で引っ越すか、単身赴任をするかという極めて難しい選択を迫れることになります。
もしも夫の単身赴任を選択する場合、妻の負担がかなり大きくなります。
そうした場合、夫が妻や子どもの心理面をサポートすることが非常に大切です。
そこで、今回は、
- 夫の単身赴任で妻や子供はどのような心理状態になるの?
- 夫が家族のためにできることとは?
といった疑問や悩みに答えていきます。
単身赴任の辞令を受けた方にとって参考になりますので、是非ご覧ください。
夫の単身赴任が与える妻や子どもへの心理的影響
夫が転勤の辞令を言い渡されたときから、家族の生活は一気に変わってしまいます。
もちろん夫の転勤に妻や子どもがついていくこともできますが、持ち家があったり、子どもが小学生に通っていて今の生活に馴染んでいると、家族で転居することは難しくなります。
そうした場合、家族が夫の単身赴任という事実を受け入れることは簡単にはいきません。
夫の単身赴任を決めるまでには、夫婦で何度も話し合い、子どもとも話し合い、そうした中で、家族には不安、悲しみ、戸惑い、憤りといった感情が揺れ動きます。
さらに、いよいよ単身赴任となって、夫が自宅を離れることになると、妻や子どもにとって様々な心理的な影響が生じます。
妻と子どものそれぞれの影響を見ていきましょう。
妻への影響
夫が単身赴任をすることになると、妻が一人で家庭を守らなければならなくなり、それにより心理面に大きな影響を受けます。
3点に絞って説明していきます。
1つ目は、「ワンオペ育児」が起こす心理的影響です。
子どもがまだ小さい場合、妻はいわゆる「ワンオペ育児」となります。
妻が働いている場合には、仕事と家事・育児を一人でこなさなければならなくなります。
近くに親族がいて援助を求めやすかったり、ママ友の協力を得られたりするのであれば、少しは負担が減るかもしれませんが、十分ではありません。
妻は、夫と離れていることから生じる「孤独感」や「不安」、ワンオペ育児を強いられていることへの「怒り」や「不満」や「いら立ち」といった感情が生じやすくなります。
ワンオペについては、次の記事も参考にしてください。
2つ目は、子どもの問題行動が起こす心理的影響です。
子どもが小さい頃には世話をすることの負担がありますが、子どもは成長するにつれて、学校や社会で様々な課題にぶつかっていきます。
子どもによっては、そうした課題にぶつかる中で、不登校や登校しぶり、親への反発、スマホやゲームへの没入、金銭持ち出しや家出などの問題行動が生じることがあります。
妻は、そうした子どもに対して一人で向き合って対応しなければならなくなり、「不安」や「戸惑い」などの感情が生じます。
子どもの問題が長期化すると、「無力感」や「無気力」、人によっては「諦め」や「投げやりな気持ち」なども表れてきます。
3つ目は、緊急時・突発時の心理的影響です。
世の中、ある日突然何が起きるか分かりません。
地震や火災などの災害に遭ったり、強盗や侵入盗などの犯罪に巻き込まれたりするかもしれません。
そのような何か重大な出来事が起きた場合,妻は一人で対応しなければならなくなります。
妻は、防犯や防災への意識を向けなければならず、「不安」や「焦り」といった感情や大きなストレスが生じやすくなります。
子どもへの影響
子どもにとって、いつもそばにいた父親がいなくなるということは,その心理面に大きな影響を与えます。
子どもの年代別に説明していきます。
まず、幼稚園児や保育園児です。
父親の単身赴任についてよく理解できない年頃です。
それでも、父親が自宅にいないことは分かっていて、なんとなく「寂しさ」や「物足りなさ」といった感情を抱きます。
その分、母親に甘えようとしたり、わがままを言ったりするようになり、父親のいないことで生じる気持ちを行動で埋めようとします。
次に、小学生低学年生です。
父親の単身赴任について何となく理解することができるようになる年頃です。
普段父親が自宅にいないことに「寂しさ」や「悲しさ」が生じますし、一緒に遊んでくれないことに対して「不満」などの感情も表れるかもしれません。
そうした感情を抑えられずに母親の前で表したり、帰宅してきた父親にぶつけるかもしれません。
続いて、小学生高学年生です。
父親の単身赴任については十分に理解することができる年頃です。
父親が自宅にいられないことについて頭で理解しつつも、「寂しさ」や「悲しさ」などの感情を抱いているでしょう。
同時に、父親自身も寂しさを感じているだろうと考えられるようになっていて、自分の気持ちを素直に表すことはしなくなりますが、その分、身体の不調や何かしらの行動につながることがあります。
最後に、中学生です。
当然に、父親の単身赴任についての意味を十分に理解している年頃です。
この頃の子どもは、いわゆる「第二次反抗期」に差し掛かっていて、親と一緒に過ごすことよりも、友人と一緒に過ごす時間を優先するようになっています。
今まで親の言うことに素直に従ってきた子どもでも、親や大人に反発することが増えるようになります。
そうしたときに、父親がすぐに介入することが難しいため、子どもは増長しやすく(調子に乗りやすく)なります。
子どもの発達段階別の悩みや課題については、次の記事も併せてお読みください。
共働き夫婦の子育てのためにできる5つのこと
夫の単身赴任は、妻や子どもに様々な心理的な負担を掛けることになります。
だからこそ、夫は妻や子どもの心のケアのためにできることをやらなければなりません。
とはいえ、家族と離れているとできることは限られます。
そこで、単身赴任中の夫でもできることを、次の6点にまとめて説明していきます。
- スマホなどでコミュニケーションを取る
- 妻に感謝の気持ちを伝える
- 子どもに関心を向ける
- 防犯・防災の備えをしっかりする
- 帰宅時に家事と育児をする
- 単身赴任制度をフル活用する
1つずつ見ていきましょう。
スマホなどでコミュニケーションを取る
妻や子どもの不安や寂しさの気持ちを埋めるためには、コミュニケーションを取り続けることが何よりも効果的です。
夫は、新しい職場や生活環境の中で時間をやりくりすることが難しいかもしれませんが、妻や子どもの心のケアを意識しなければなりません。
できるだけ毎日数分でも良いので、話をする機会を作りましょう。
スマホやタブレットがあれば、ラインやZOOMなどのアプリを使って、顔を見せあいながら話をすることができます。
その際、どうしても話題が単身赴任中の夫の生活になりやすいですが、できるだけ妻や子どもの生活についても話題にするように気を付けましょう。
夫は、妻や子どもの話に耳を傾けて、妻や子どもの気持ちを受け止めることが、不安や寂しさなどの気持ちの解消につながります。
自宅の部屋にいる家族の様子を見ながら通話をするなら、アレクサ搭載のスマートスピーカーがおすすめです。
妻に感謝の気持ちを伝える
先ほども説明しましたが、夫の単身赴任中、妻は仕事と家事・育児、また防犯や災害などから子どもを守らなければと気負っていて、精神的・身体的に大きな負担が生じています。
夫ができることとして、妻の話を聴いて受け止めるとともに、妻が一人で頑張ってくれていることについて、きちんと感謝の気持ちを言葉にして伝えることが大切です。
夫婦であっていくら心が通じ合っていると感じていても、きちんと言葉にしなければ、自分の気持ちを相手に正確に伝えることはできません。
電話やメールを用いて感謝の気持ちを伝えることもよいでしょう。
記念日に、ちょっとしたプレゼントと感謝の気持ちを書いた手紙を添えて渡すこともよいですね。
子どもに関心を向ける
単身赴任で家族と離れて仕事中心の生活を送っていると、どうしても子どもへの関心が薄くなりがちです。
子どもが問題を起こすことなく生活できている場合には特にその傾向が強まります。
子どもは、離れて暮らす父親に心配を掛けまいとして、悩んでいることや困っていることを口にしないかもしれません。
夫は、自分から妻に子どもの生活ぶりについて話を聴きましょう。
夫は、妻から聞いた子どもの話を聞いておいた上で、子どもとの会話を通じて、子どもの気持ちを理解するようにも努めましょう。
子どもが学校でどのような生活を送り、どのようなことができるようになったのか、どのような友だちと仲良くしているのかなど、具体的なエピソードを聞きましょう。
妻も、夫が子どもに関心を向けてくれることに安心感を抱くことができるようになります。
防犯・防災の備えをしっかりする
犯罪や災害にいつ巻き込まれるか予測がつきません。
そうしたことを予防したり、万が一起きてしまったときの対応に備えたりすることが大切です。
それぞれの対策として次のようなものが考えられます。
自宅を警備会社に登録するなどしてセキュリティー面を強化する。
玄関をピッキングされにくい鍵に代える。
子どもがネット被害に遭わないようにフィルタリング設定をする。
家族でハザードマップを確認し、避難場所を決める。
災害時の連絡手段を決めておく。
家具などの転倒防止対策をする。
こうした日ごろからの備えが、妻の不安を少しでも軽減することにつながります。
子育ての悩みのサポート機関を確認する
もしも子どもが問題行動に及ぶようになると、妻の心理的な負担は非常に大きくなります。
そうした場合に備えて、夫は、子どもの悩みに応じた相談機関を調べておくとよいでしょう。
ただし、妻は、自分からそうした相談機関に連絡をすることに消極的になるかもしれません。
そうした場合には、夫が妻から子どもの問題行動の内容や状況を聞き取った上で、夫がその相談機関に電話をしてアドバイスをもらうようにしましょう。
夫が、子どもの問題行動に真剣に向き合って行動する姿を示すことが、妻の不安や悩みを和らげることにもつながります。
子育ての悩みであれば「オンラインカウンセリング」を利用することもおすすめです。
帰宅時に家事と育児をする
夫が自宅に帰ることのできる日には、積極的に家事や育児に参加しましょう。
夫は、久しぶりに自宅に帰ることができたとき、ゆっくりしたい気持ちがあるかもしれません。
しかし、それ以上に妻は仕事と家事・育児で疲れ切っています。
夫が自分でできることをするだけでも、妻の気持ちはほっとするでしょうし、身体の負担を軽くしてあげることができます。
何よりも、夫から家事や育児をするという行動が、妻を大切にしているというメッセージにもつながります。
家事や育児を頑張る夫の心理について解説した記事があるので参考にしてください。
単身赴任制度をフル活用する
公務員や会社員には、単身赴任をする人や家族をサポートする制度があります。
特に金銭面をサポートする制度が色々あります。
公務員や会社員によって異なりますが、おおむね次のような制度があります。
単身赴任手当(月額30000円+自宅までの距離に応じて加算された額)
単身赴任手当(相場:45000円前後)
家賃補助(転居先自宅と家族の住む賃貸住宅)
帰省旅費手当(月1回から数回分)
転勤支度金(実費や固定で30000円など様々)
金銭的な問題が少し解消されるだけでも、妻の不安は軽減されます。
おすすめのオンラインカウンセリング
自分のことや家族のことでお悩みの方は、一度オンラインカウンセリングサービスを検討してみてはいかがでしょうか?
他人に相談することに多くの人は抵抗がありますが、私のブログをお読みになっていただいている方は、悩みを解決するために一歩進むことのできる方です。
実際のカウンセリングルームや精神科病院などにいくのは勇気がいりますし、家族の理解も得にくいと思いますので、そうした方には「オンラインカウンセリング」をおすすめしています。
オンラインカウンセリングについては次の記事で詳しく説明しています。
ネットで検索すると様々なオンラインカウンセリングが出てきますが、「うららか相談室」は、私と同じ公認心理師や臨床心理士といった信頼性の高い心理の資格をお持ちの方が相談に乗ってくれます。
多種多様な相談内容にも対応しているので、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、単身赴任になった夫が家族のためにできることについて説明してきました。
夫が単身赴任にならないのが一番ですが、会社によっては避けられない人もいるでしょう。
そうした場合には、できるだけ妻や子どもの気持ちに目を向けて、心理面を中心にサポートできるようにしていきましょう。
夫婦関係に悩んでいる方は次の記事を参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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