個人面談の案内が届いて、「家での困りごとを、先生にどう話せばいいのだろう」と手が止まっていませんか?
「大げさだと思われないか」「面倒な保護者だと思われないか」と迷うのは、お子さんのことを真剣に考えているからです。面談で伝えることは、先生へのお願いである前に、お子さんを一緒に支える仲間を増やすことです。
この記事では、短いメモを一枚持っていく方法を、例文つきで紹介します。子ども家庭支援センターで発達や不登校の支援をしている公認心理師として具体的にお伝えします。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 個人面談で、家での困りごとをどう伝えるか迷っている方
- 診断名はないけれど、発達の特性が気になっている方
- 「大げさと思われないか」と不安になっている方
- 面談の準備を、短時間で済ませたい方
「大げさと思われないかな」と迷うあなたへ|担任に伝えるのは、ごく自然なこと

二学期の個人面談は、11月から12月に行う学校もあります。時期は学校ごとに違いますので、お手元の案内をご確認ください。予約や準備を考え始める時期と重なる方も多いと思います。
面談を前にして、多くの保護者の方が同じことで迷います。「こんなことを話したら、気にしすぎと思われないか」「家での様子を伝えたら、先生を責めているように聞こえないか」。私自身も親として、先生に何かを伝えるときは、言葉を選んで緊張します。
先生に相談することは、親の落ち度ではありません。子どもを支えるための、ごく自然な行動です。学校での様子は先生が、家での様子は親が、それぞれ一番よく知っています。二つを重ね合わせることで、お子さんの全体像が見えやすくなります。
ゆう大げさかな、と迷うのは自然です。
先生は、クラス全体の子どもたちを見ています。一人ひとりの家庭での様子まで知ることは、どうしても難しいものです。家での情報が届くことで、先生も関わり方を考えやすくなります。伝えることは、先生を助けることにもつながります。
診断名がなくても、伝えて構いません。診断名をつけるのは医師の領域ですので、親が確かめてから話す必要はないのです。必要なのは診断名ではなく、「どんな場面で、何に困っていて、何が助けになったか」という具体的な情報です。
なお、知能検査(WISC)などを受けて結果をお持ちの方は、WISCの結果を学校に伝える方法の記事が参考になります。この記事は、検査や診断がない段階の方を中心に書いています。
伝え方メモの作り方|「家での様子・得意・困りごと・お願い」の4点
面談の時間は、限られていることが多いです。その場で思い出しながら話すと、大切なことが抜けてしまいます。そこでおすすめなのが、A4一枚、あるいはスマホのメモ程度の「伝え方メモ」です。書くことは、次の4点だけです。
📝 伝え方メモの4点と書き込み例
- 家での様子:「帰宅後はぐったりして、機嫌が崩れやすいです」
- 得意・好きなこと:「図鑑や生き物の話になると、集中して話せます」
- 困りごと:「朝の支度で手が止まり、声をかけないと進みません」
- お願いしたいこと:「次の予定を、前もって伝えていただけると助かります」
書き込み例は、あくまで一例です。お子さんの様子に合わせて、言葉を置き換えてください。それぞれのポイントを、順に見ていきます。
① 家での様子は、学校では見えにくい部分を伝える欄です。学校では頑張れていても、家に帰ってから疲れが出る子は少なくありません。「家で荒れる」「寝つきが悪い」など、気になる様子を一、二行で書けば十分です。
② 得意・好きなことは、必ず入れてください。困りごとだけを伝えると、先生の中でお子さんの印象が「困った面」に偏ることがあります。得意なことは、先生がお子さんと関わるきっかけにもなります。
③ 困りごとは、「性格」ではなく「場面」で書くのがコツです。「落ち着きがない」ではなく、「宿題を始めるまでに時間がかかる」のように、見える行動で伝えます。「うちの子は〇〇障害だと思う」といった断定は、書かないでください。診断は医師が行うものです。気になる場合は、専門医にご相談ください。
④ お願いしたいことは、一、二個に絞ります。たくさん並べると、先生も受け止めきれません。「家ではこうしたらうまくいった」という工夫とセットで書くと、お願いが具体的になり、先生も試しやすくなります。



全部埋めなくても大丈夫です。
🔁 「場面」で書き換える例
- 「落ち着きがない」→「宿題の途中で、何度も席を立ちます」
- 「やる気がない」→「声をかけられるまで、取りかかれません」
- 「だらしない」→「持ち物を、毎回どこかに置き忘れます」
評価の言葉を、見えた行動に置き換えると、先生にも状況が伝わりやすくなります。お子さんへのレッテルも避けられます。
📝 事例|メモを持って面談に行ったBさん
これはあくまで一般化した事例ですが、小学3年生の子どもを育てるBさんは、面談で何をどう話すか決められず、前日まで悩んでいました。そこで、4点を短いメモにして持っていくことにしました。
面談では、冒頭に「家での様子をメモにしてきました」と渡しました。先生は目を通したあと、「学校でも似た場面があります」と話してくださったそうです。同じ場面を二人で見ていると分かり、Bさんは肩の力が抜けたと言います。
感覚の敏感さが気になる場合は、感覚過敏の子との接し方の記事も、メモを書く手がかりになります。
面談当日の切り出し方と、伝えるときのコツ


メモができたら、あとは当日です。上手に話そうとしなくて大丈夫です。メモがあるので、話が途中で止まっても、見せればそれで伝わります。
💬 切り出しの一言(例)
- 「いつもありがとうございます。家での様子を、メモにまとめてきました」
- 「学校でも同じことがあるか、教えていただけますか」
- 「家で効果があった方法を、お伝えしてもよいでしょうか」
ここでのコツは三つあります。一つ目は、先に感謝を伝えることです。二つ目は、「教えてください」という姿勢で聞くことです。三つ目は、先生を責める言い方ではなく、「一緒に考えたい」という言い方にすることです。
メモを渡すときは、「読んでいただくだけで大丈夫です」と添えると、先生も気楽に受け取れます。メモは、先生に何かを求める「依頼書」ではなく、お子さんを知ってもらうための「紹介状」くらいの気持ちで構いません。
面談の時間が短いときは、伝える順番を決めておくと安心です。優先するのは、③の困りごとと、④のお願いです。①の家での様子と②の得意なことは、メモを渡して読んでもらうだけでも伝わります。
そして、聞く時間も大切にしてください。「学校では、どんな場面が得意そうですか」「困っていそうな場面はありますか」と尋ねると、家と学校の違いが見えてきます。先生の話が、思いがけないヒントになることもあります。



メモがあれば、話は短くて済みます。
先生から「しばらく様子を見ましょう」と言われることもあります。そのときは、「どのくらいの期間、どんな点を見ていただけますか」と聞いてみてください。期間と見る点を決めておくと、様子見が「そのまま」にならずに済みます。
お子さんが面談のことを知らないと、不安になる場合もあります。年齢にもよりますが、「先生に、家で頑張っていることを話してくるね」と、前もって伝えておくのも一つの方法です。お子さん本人の気持ちも、確かめながら進めてください。
先生にどう伝えるか、一人で迷っていませんか
頭の中を整理してから面談に臨みたいときは、うららか相談室で話してみる選択肢もあります
面談のあとにできること
面談は、一回で終わりではありません。伝えたあとの小さな動きが、先生との関係を育てていきます。
- お礼を伝える:連絡帳などで、「お時間をいただきありがとうございました」と一言添える
- 変化を知らせる:家でうまくいった工夫や、よい変化を、折を見て共有する
- 様子を見直す:一、二ヶ月後に、学校での様子を先生に尋ねてみる
一度で全部を伝えきる必要はありません。面談のあとも、気づいたことがあれば、そのつど連絡帳などで伝えれば大丈夫です。



一度で全部、伝えなくていいんです。
面談のあと、「もっと言えばよかった」「余計なことを言ったかも」と振り返って落ち込む方もいます。でも、その場で完璧に話せる人はいません。伝えようとした事実そのものが、お子さんへの大切な一歩です。反省会はほどほどにして、自分をねぎらってあげてください。
もし、先生に伝えてもうまく伝わらないと感じたときは、一人で抱え込まないでください。学校のスクールカウンセラーに相談する方法もあります。くわしくはスクールカウンセラーは意味ない?実態・効果・良いSCの見分け方で解説しています。
また、困りごとが強く、生活に支障が出ているときや、発達について詳しく知りたいときは、医療機関への相談も選択肢になります。診断が必要かどうかは、専門医にご相談ください。相談先の選び方は、次の記事でまとめています。


まとめ
- 先生に伝えることは、親の落ち度ではなく、子どもを支えるための自然な行動
- 診断名や検査結果がなくても、具体的な場面と工夫を伝えれば十分
- メモは「家での様子・得意・困りごと・お願い」の4点だけでよい
- 当日は感謝から入り、「一緒に考えたい」という姿勢で話す
- 面談のあとも、小さな共有を重ねていけばよい
面談は、先生とあなたが「お子さんのチーム」になるための時間です。上手に話せなくても、メモ一枚あれば、気持ちはきっと伝わります。迷いながら準備しているその時間が、すでにお子さんへの支えになっていますよ。
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話すことで、伝えたいことが見えてきます
面談の前に、気持ちを整理したいときは、うららか相談室で話を聞いてもらうのも一つの選択肢です


元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター

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