「子どもの不登校を、ずるいと感じてしまう自分がいる。こんなふうに思ってしまう私は、おかしいのだろうか……」
そんな気持ちを、誰にも言えずに抱えていませんか。
毎朝、他の子が学校へ向かうのを見ながら、我が子は家でゲームをしている。仕事を休んで付き添う日々。きょうだいへの申し訳なさ。そういう積み重ねの中で、「なぜうちの子だけ」と感じてしまうのは、ごく自然なことです。
この記事では、「ずるい」という感情が生まれる心理的な背景と、その罪悪感を少し手放すための考え方をお伝えします。あなたがその感情を持つのは、子どもを大切に思っているからこそです。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 子どもの不登校を「ずるい」と感じてしまって、自己嫌悪に陥っている方
- きょうだいや他の子と比べて、不公平だと思ってしまう方
- 子どもを責めたくないのに、つい冷たくしてしまう方
- 「こんなことを思う自分はダメな親だ」と感じている方
「ずるい」と感じてしまう自分は、おかしくない

まず、はっきりお伝えしたいことがあります。
子どもの不登校を「ずるい」と感じることは、おかしなことでも、悪いことでもありません。
支援の現場で多くの保護者と向き合ってきた中で、この感情を口にできる方はほとんどいません。「こんなことを思ってはいけない」と、心の奥に押し込めてしまうんですね。でも、実際には同じように感じている方がとても多いのです。
「ずるい」という感情が出てくるのは、あなたが毎日必死に踏ん張っているからです。仕事、家事、きょうだいの世話、学校への対応……。それだけの荷物を背負いながら、子どもを支えようとしているからこそ、心に余裕がなくなる。その結果として出てくる感情です。
ゆう感情は、あなたの人格とは別のものです。感じることと、どう行動するかは、切り離して考えていいんです。
大切なのは、その感情を持つ自分を責め続けることではなく、なぜそう感じるのかを少し理解してみることです。
なぜ「ずるい」と感じるのか|3つの心理的な背景
「ずるい」という感情は、いくつかの心理的な仕組みから生まれています。自分の中で何が起きているのかを知るだけで、少し楽になることがあります。
① 公平感が崩れている
人は本能的に「公平であること」を求めます。他の子は学校に行っているのに、我が子は行かなくていい。きょうだいは我慢しているのに、この子だけ特別扱い……。そういう「不公平だ」という感覚が、「ずるい」という言葉になって出てくることがあります。
これはあくまで一般化した事例ですが、Aさん(42歳・会社員)はきょうだい2人を育てながら不登校の長男を支えていました。「下の子は毎朝文句ひとつ言わずに学校へ行く。なのに上の子は昼まで寝ている。どうしてもずるいと思ってしまって、下の子にも申し訳なかった」と話してくれました。
きょうだいへの引け目が、不登校の子への「ずるい」という感情につながることは、珍しいことではありません。
② 自分が犠牲になっている感覚がある
仕事を調整する、付き添いのために有休を使う、夜中まで悩んで眠れない……。子どもの不登校は、親の生活にも大きな負荷をかけます。「私はこんなに頑張っているのに」という思いが積み重なると、「それに比べて子どもは……」という比較が生まれやすくなります。
これは子どもへの不満というよりも、追い詰められた自分自身の疲労のサインです。「ずるい」と感じはじめたときは、あなた自身が限界に近づいているサインかもしれません。
③「休む=楽をしている」という誤解がある
「学校を休んで家にいるなんて、気楽でいいな」と感じてしまうことはありませんか。でも、不登校の子どもの多くは、休んでいる間も楽ではありません。
💡 不登校中の子どもが抱えていること
- 「学校に行けない自分はダメだ」という強い自己否定感
- 友達に置いていかれる、将来どうなるんだろうという不安
- 親に心配をかけているという罪悪感
- 何もできていないのに時間だけが過ぎていく焦り
ゲームをしているように見えても、その裏側では複雑な感情を抱えていることがほとんどです。「楽そうに見える」のは、子どもが必死に気持ちを紛らわせているからかもしれません。
不登校中のゲームについては、こちらの記事でくわしく解説しています。


「ずるい」と感じてしまう自分を、誰かに話してみませんか
自分を責める前に、専門家に気持ちを整理してもらうのも一つの方法です。
「ずるい」という感情が子どもとの関係に影響するとき


「思うだけなら仕方ない」と頭ではわかっていても、感情は態度ににじみ出ることがあります。
たとえば、朝なかなか起きられない子どもに対して、つい声が冷たくなる。食事のときに目が合っても、素直に話しかけられない。そういった小さな変化を、子どもはとても敏感に受け取ります。
子どもは「親が自分のことをどう思っているか」に非常に敏感です。「親に嫌われているかもしれない」と感じると、回復がさらに遅れることがあります。
だからこそ、「ずるい」という感情を持つ自分に気づいたとき、それを子どもにぶつけるのではなく、別の場所で吐き出すことが大切です。



感情を持つのは自然なこと。でも、それを安全に出せる場所を持っておくことが、親自身を守ることにもなります。
不登校の子どもにイライラしてしまうときの対処法は、こちらの記事も参考にしてみてください。


罪悪感を少し手放すための3つの考え方
「ずるいと感じてしまう自分」を責め続けても、状況は変わりません。ここでは、その感情と少し距離を取るための考え方をお伝えします。
① 感情を持つことと、行動することは別だと知る
「ずるいと感じた=子どもを傷つけた」ではありません。感情は自然に湧いてくるもので、それをどう行動に移すかは別の話です。「感じてしまった」ことへの罪悪感は、必要以上に背負わなくていいのです。
② 不登校は「怠け」ではなく「回復の時間」だと理解する
不登校の子どもの多くは、何らかの限界を超えてしまった状態にあります。学校という場所で消耗しきった心と体を、家という安全な場所で少しずつ立て直している時間です。「楽をしている」のではなく、「回復に必要な時間を過ごしている」という見方に変えてみてください。
不登校の回復プロセスについては、こちらの記事でくわしく解説しています。


③ 親もケアされていい存在だと認める
「ずるい」と感じてしまうほど追い詰められているなら、あなた自身が限界に近いサインかもしれません。子どもを支えるためにも、あなた自身が誰かに話を聞いてもらうことが大切です。
💡 気持ちを吐き出せる場所の例
- 信頼できる友人や家族に話す
- 不登校の保護者の会・オンラインコミュニティに参加する
- スクールカウンセラーや支援機関に相談する
- オンラインカウンセリングで専門家に話を聞いてもらう
「子どもの相談ではなく、自分の気持ちを整理したい」という使い方でオンラインカウンセリングを活用する保護者の方は多くいます。一人で抱え込まずに、使える場所を使ってみてください。
不登校になったとき、親としてどこに相談すればいいかをまとめた記事はこちらです。


まとめ
- 不登校を「ずるい」と感じてしまうのは、おかしなことではない
- その感情は、公平感の崩れ・疲労・誤解という3つの背景から生まれやすい
- 不登校の子どもは「楽をしている」のではなく、回復の時間を過ごしている
- 感情を持つことと、行動することは別。感じた自分を責めすぎなくていい
- 追い詰められているなら、親自身も誰かに話を聞いてもらっていい
「ずるい」と感じてしまう自分に気づいたとき、それはあなたが限界まで頑張っているサインです。その感情を否定せず、まず自分自身をいたわることから始めてみてください。
一人で抱え込まず、専門家に話してみませんか
子どものことでも、親自身の気持ちの整理でも。オンラインで気軽に相談できます。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター

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