WISC結果が出たら何をする?保護者がやるべき5つのステップを心理師が解説

WISC5結果をどう活かす

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WISCの結果用紙を受け取った翌日、あなたは何をしましたか。

「フィードバックを聞いたときはわかった気がしたけれど、家に帰ったら何をすればいいかわからなくなった」——そういう声を、相談の場でとても多く聞きます。引き出しにしまったまま、数週間が過ぎてしまったという方も少なくありません。

WISCの結果は、受け取った後に行動して初めて意味を持ちます。この記事では、公認心理師の私(ゆう)が、結果を受け取った翌日から実際に動ける「5つのステップ」を、具体的な言葉と手順でお伝えします。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • WISCの結果を受け取ったが「次に何をすればいいか」がわからない方
  • フィードバックは聞いたが、日常にどう落とし込むか迷っている方
  • 学校にどのタイミングで・どう伝えればいいか知りたい方
  • 家庭での工夫を今日から始めたいが、何から手をつければいいか迷う方

WISCの基本(5つの指標・IQの意味など)はこちらの柱記事にまとめています。先に確認したい方はご覧ください。

目次

Step1|フィードバック直後にやること

ゆう

「わかった気がする」で終わらせない。その場でメモすることが第一歩です。

聞きながらメモする3つのポイント

フィードバック面談は多くの場合30〜60分で終わります。専門用語が多く、その場ではわかった気がしても、家に帰ると「何が言いたかったのか」がぼんやりしてしまうことがよくあります。

📌 面談中にメモすべき3点

  • ①最も高い指標と最も低い指標:「どの力が得意で、どこに負担がかかりやすいか」の核心
  • ②「日常でこういう場面に出やすい」という具体的な説明:抽象的な数値より、場面の言葉で覚える
  • ③専門家からの「おすすめの関わり方」:その場でもらえる最も実践的なアドバイス

腑に落ちなければ「もう一度聞く」でいい

フィードバックを受けた後で疑問が出てきた場合、検査を実施した心理士や医師に「もう一度確認させてください」と連絡することをためらわないでください。結果は保護者が理解して初めて支援に活かせるものです。「一度で全部理解しなければ」というプレッシャーは必要ありません。

Step2|結果を「その子の言葉」に翻訳する

ゆう

数値のまま持っていても使いにくい。「○○ちゃんはこういう子」という言葉に変換します。

結果用紙の数値を見ながら、以下の問いに答える形でメモを作っておくと、学校への説明や家庭での工夫に使いやすくなります。

📝 「その子の言葉」への翻訳シート

  • 一番得意な処理は?(例:「視覚的に情報を整理する」「言葉でじっくり考える」)
  • 一番負担がかかりやすい場面は?(例:「複数の指示を同時に覚えるとき」「時間制限があるとき」)
  • 日常で「困っていた理由」が今ならわかることは?(例:「板書が遅かったのは処理速度のせいだった」)
  • これから使える「得意の回路」は?(例:「視覚が強いので図で説明すると入りやすい」)

指標ごとに「日常でどんなことが起きやすいか」の詳しい対応表は、こちらも参考にしてください。

Step3|家庭で「1つだけ」変える

ゆう

一度に全部やろうとしなくていい。今日から1つだけ変えてみてください。

結果を受け取ると「あれもこれも変えなければ」と感じてしまいがちですが、それは続きません。まず1つだけ、3週間試してみることを目安にしてください。

💡 低い指標別「今日から1つ試す工夫」

低い指標今日から試せる1つの工夫
言語理解(VCI)言葉の説明を、図・絵・実物に変換して伝える
視空間(VSI)図や地図より、手順を言葉のリストで伝える
流動性推理(FRI)「なぜ?」より「このパターンだよ」と型で教える
ワーキングメモリ(WMI)指示は一度に一つ。やることをホワイトボードに書く
処理速度(PSI)「ゆっくりでいい」を意識的に声かけする。急かさない

📋 これはあくまで一般化した事例ですが…

小学4年生のFさん(男子)は、ワーキングメモリが低く「朝の準備・宿題・夕食後の片付け」が毎日バラバラになっていました。保護者がWISCの結果を受けて「一度に複数のことを言わない」「やることをホワイトボードに3つ書く」という工夫を1つだけ始めたところ、1ヶ月後には「自分でホワイトボードを確認して準備できる日」が増えていきました。

Step4|学校に伝える——タイミングと伝え方の手順

ゆう

「数値を見せる」より「困り場面+お願い」のセットで伝えると動いてもらいやすくなります。

伝えるタイミング

学校への共有は、結果を受け取ってから2〜4週間以内を目安にすると、学期の途中でも対応してもらいやすくなります。担任への相談は個別面談の機会を使うか、連絡帳で「一度お時間をいただけますか」と打診するところから始めましょう。

伝え方の3ステップ

📌 学校への伝え方 3ステップ

  • ①「検査を受けた」という事実と「目的」を先に伝える:「能力が低いという話ではなく、どう関わればこの子が学びやすくなるかを知りたかった」という文脈で
  • ②「困っている場面」を具体的に伝える:「板書を写し終わる前に消されると間に合わない」「一度に複数の指示があると抜けてしまう」のように場面で話す
  • ③「お願いしたい配慮」を1〜2つに絞って伝える:「最後の5分は板書を残してほしい」「指示は一つずつにしてほしい」のように具体的に

2024年4月からすべての学校(私立含む)で合理的配慮の提供が義務化されています。「特別扱いをお願いするのは申し訳ない」という遠慮は必要ありません。子どもが公平に学べるための「環境の調整」として、正当に求める権利があります。

学校との連携がうまくいかないとき、スクールカウンセラーや発達支援センターに同席を依頼することも選択肢です。相談先の選び方はこちらで整理しています。

学校への伝え方、一緒に整理しませんか?

「どう伝えればいいかわからない」「先生に動いてもらえるか不安」——そんなとき、専門家に相談しながら準備できます。うららか相談室では公認心理師・臨床心理士にオンラインで相談できます。

Step5|3〜6ヶ月後に振り返る

ゆう

工夫が「合っているか」は、やってみないとわかりません。振り返りがセットです。

家庭での工夫や学校への配慮が始まったら、しばらく様子を見て「子どもにとって楽になったか」を振り返ることが大切です。工夫が合っていれば、子どもの表情や発言が変わってきます。逆に変化がなければ、別のアプローチを試す時期です。

振り返りの目安と確認ポイント

🔍 振り返りチェックポイント

  • 以前は毎日あったトラブル(忘れ物・宿題の混乱など)が減っているか
  • 「できた」「わかった」という言葉が増えているか
  • 学校から「最近落ち着いています」などの変化の報告があるか
  • 子ども自身が「これをやるとやりやすい」と気づき始めているか

再検査のタイミングについて

WISCは短期間で繰り返すことは推奨されていません(一般的に2年以上の間隔が望ましい)。ただし、子どもの状態が大きく変化した場合や、支援の効果を確認したい場合は、専門家に相談の上で再検査を検討することができます。

IQが低かった場合の長期的な見通しについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

「どのステップで詰まっているか」話すだけでも整理できます

5ステップのどこにいるか、何が難しいか——専門家に話すことで、次の一手が見えてくることがあります。うららか相談室では、オンラインで公認心理師・臨床心理士に相談できます。

まとめ

📝 この記事のポイント(5ステップの要約)

  • Step1:フィードバック面談で「高い・低い指標」「場面の言葉」「アドバイス」をメモする
  • Step2:数値を「その子の言葉」に翻訳し、得意な処理・負担になる場面を言語化する
  • Step3:家庭で工夫を「1つだけ」3週間試す。一度に全部やらない
  • Step4:学校には「数値」より「困り場面+配慮のお願い」をセットで。2〜4週間以内が目安
  • Step5:3〜6ヶ月後に振り返り、工夫が合っているか確認する

結果用紙は「読むもの」ではなく「使うもの」です。5つのステップのどれか1つから、今日動き始めてみてください。

ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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