女性は妊娠中や出産直後になると、理由もなくイライラしたり、ささいなことで涙が出てきたりすることがあります。
これを「マタニティブルー」と呼びます。
マタニティブルーになると、家庭内で夫婦ケンカにつながったり、職場の同僚や友人とトラブルになったりして、ますます気分が落ち込んで辛くなってしまいます。
そうしたときの対処法を知っておくと、体力的にも精神的にもしんどい周産期を乗り越え、生まれてきた赤ちゃんと幸せで安心した時間を過ごすことができるようになります。
本記事では、マタニティブルーを乗り越える5つの方法について詳しく説明します。
- マタニティブルーになって辛い
- 周産期のイライラや不安を上手に対処したい
- 生まれてくる赤ちゃんと幸せに過ごしたい
マタニティブルーとは
マタニティブルーとは、妊娠中や出産後といった周産期に起こるイライラや不安感のことを指します。
気持ちや感情が不安定になりやすく、また、身体的にも影響が出やすいのも特徴です。
正式には、出産後の不安症を「マタニティブルーズ」と言いますが、この記事では妊娠中と出産後の不安症をまとめて「マタニティブルー」と呼びます。
まずは、マタニティブルーの症状や原因、なりやすい人について、それぞれ解説していきます。
マタニティブルーの症状
マタニティブルーの症状には、メンタルに生じる不調と自律神経から生じる身体的な不調があります。
- 気持ちが落ち込む
- 不安感に襲われる
- イライラする
- 感情をコントロールできない
- 急に泣きたくなる
- 出産や育児に対する強い恐怖や不安
- 何もなくても自己嫌悪してしまう
- 忘れっぽくなる
- やる気が起きない
- 物事に集中できない
- 不眠
- 味覚異常
- 食欲不振
- 過食・拒食
- 倦怠感
- 動悸
- 息切れ
- 頭痛
マタニティブルーのイメージとしては、メンタル面の不調が有名ですが、不眠・倦怠感・頭痛などの身体的な負担を感じる方もいらっしゃいます。
マタニティブルーの原因
妊娠や出産を経ると、心身や環境に大きな変化が起こります。
そのような中でマタニティブルーが生じます。
その原因は一つではなく、いくつかの要因が複雑に絡み合って起こる生理現象です。
主な要因としては、次の5つが考えられます。
- 女性ホルモンバランスの大幅な変動(女性ホルモンは気持ちを落ち着ける作用があるが、激減することで感情コントロールが困難になる)
- 妊娠や出産することで起こる身体的変化(つわり、お腹が大きくなるなど)
- 心理的ストレスの増加(出産・育児への不安、夫婦関係におけるストレス、両親からの期待、将来的な金銭的不安)
- 生活スタイルの変化(一時的に実家に帰るなど生活場所の変化、友人と会いにくくなることへの不安、趣味が続けられないことによるストレス)
- 妊娠・出産に伴う体力低下や睡眠不足(妊娠、出産による筋力や体力の低下、赤ちゃんのお世話による睡眠不足など)
マタニティブルーになりやすい人の特徴
マタニティブルーは、誰にでもなる可能性があります。
母親の約30%以上がマタニティブルーになったことがあると言われています。
その中でも、特にマタニティブルーになりやすい人の特徴として以下のものが挙げられます。
- PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快症候群)になったことのある人
- 責任感が強い人
- 真面目で不器用な人
- 悩みを相談するのが苦手な人
- 人前で平気を装いやすい人
マタニティブルーセルフチェックリスト
妊娠中または出産後で次のような症状がある方は、マタニティーブルーになっているかもしれません。
⬜︎ | 急に機嫌が悪くなって自分で気持ちをコントロールできないことがある |
⬜︎ | 休んでも体の疲れが抜けず、疲労感を抱き続けている |
⬜︎ | ふとしたとき、何もないのに悲しい気持ちになって泣いてしまうことがある |
⬜︎ | 突然、強い不安感や絶望感を抱くことがある |
⬜︎ | 赤ちゃんのお世話に自身が持てず、妊娠前に戻りたいと思う |
⬜︎ | 頭痛や不眠、倦怠感などの症状がある |
マタニティブルーはいつからいつまで?
マタニティブルーについて、多くの人は妊娠後期や出産直前で起こるイメージを持っているのではないでしょうか。
しかし、実際にはマタニティブルーはイメージと違うタイミングで起こることもあります。
マタニティブルーが起こりやすいタイミングや、マタニティブルーがいつまで続くのか、その期間についても押さえておきましょう。
マタニティブルーが起こりやすいタイミング
マタニティブルーは、産前、産後どちらでも起こるものと考えられていて、中には両方を体験したという方もいます。
産前だと、妊娠初期から中期になりやすいとされています。
これは、妊娠初期から中期は女性ホルモンの変化が大きい上、つわりなどで身体的にも負担を感じやすいためです。
また、出産予定日までまだ遠く先行きの見えない不安を感じる方が多いことも一因です。
出産後は、おおむね産後1か月の間が最もマタニティブルーを起こしやすいと言われています。
多くは3〜10日頃に発生するようです。
体内のエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが急激に低下する中で、新生児を育てなければならず、心身的に一番疲弊しやすい時期です。
まとめると、
これらの時期が最もマタニティブルーが起こりやすい時期です。
マタニティブルーが続く期間
マタニティブルーは、3〜4日程度で収まる方が多いようです。
ただし、心身への負担の感じ方は人によって大きく異なるため、2週間〜1か月程度の期間不安定な状態が続いたという方もいます。
マタニティブルーの期間については個人差が大きいというのも特徴といえます。
マタニティブルーと産後うつの違い
マタニティブルーと一緒に知っておきたいのが、「産後うつ」という病気の存在です。
マタニティブルーが一時的な心身の不調なのに対して、産後うつは病気です。
マタニティブルーは多くの場合、治療を必要としない一過性の不調ですが、産後うつは精神科医による専門的な治療が必要な精神疾患です。
元々産後は精神疾患が生じやすい時期であり、最も多いのが産後うつ病です。
産婦の10〜15%に見られ、治療につながらないケースも多いとされています。
重度の抑うつ、不安、焦燥、不眠などが続き、放置すると将来的な育児ネグレクト、児童虐待、自傷などのリスクにもなりえます。
マタニティブルーが2週間以上続き、日常生活にも支障が生じる場合には、産後うつを疑っていて、速やかにかかりつけの医師に相談しましょう。
マタニティブルーを乗り越えるための5つの方法
マタニティブルーの原因はさまざまであり、人によって異なることを説明しました。
マタニティブルーを乗り越えるための方法もさまざまありますが、今回は誰にでも効果的な方法を紹介します。
- 十分な睡眠をとってゆっくりと休む
- 軽い運動をする
- 感情をため込まない
- マタニティブルーは誰にでも起こることを知っておく
- 身近な人に相談する
十分な睡眠をとってゆっくりと休む
睡眠はメンタルヘルスケアの方法として最も効果的なものの一つです。
妊娠中や産後で十分な睡眠時間を確保できないと、心も体も疲れてしまい、慢性的な疲労につながってしまいます。
とにかく「寝たいときは寝る」くらいの気持ちでたっぷりと寝ましょう。
ただ、産後になると赤ちゃんのお世話で寝る暇もなくなってしまいます。
そうした場合は、まとまった時間眠れるように、夫や両親などの協力を得ましょう。
仕事が忙しいなどの理由で夫など家族の協力を得られなければ、必要に応じてベビーシッターを頼むこともありです。
ベビーシッターを雇うことが難しければ、自分が辛い時は赤ちゃんの世話は最低限にする、自分たちの食事は弁当や冷凍で済ます、赤ちゃんが寝ている時は無理しないで自分も寝るなど、なんとか時間を作って睡眠時間を確保しましょう。
軽い運動をする
身体を動かしたりストレッチしたりすることも効果的です。
時間があって体調に問題がないなら、軽いウォーキングやスイミングなどの運動を短時間で良いので取り組んでみましょう。
適度な運動がメンタルヘルスケアやストレス軽減につながります。
また、外に出るのが辛かったり時間がなかったりしたら、自宅でヨガやストレッチにより、体の緊張をほぐすだけでも、不安などの感情を和らげることができます。
運動をした後は体が冷えないように、シャワーを浴びたり汗を拭いたりして、健康管理に気をつけましょう。
感情をため込まない
マタニティブルーになるとちょっとしたことで不安やイライラが生じて、身近な人にあたってしまうこともあります。
そうした気持ちを抑えようとすればするほど不快な感情は高まってしまい、ついには感情爆発してしまいます。
そうならないようにするためにも、不安など辛いときには遠慮なく家族にその気持ちを伝えましょう。
ただ、人によっては、自分からなかなか言えないかもしれません。
もしも、自然と涙が出てしまって止まらないような時は、家族にSOSを伝えやすいタイミングです。
思っていること、感じていることを、素直に伝えて、家族の助けをもらうことで、自分の気持ちを軽くできるようにしましょう。
それでも誰にもいえなければ、マインドフルネスなどの心理技法を使って、自分の気持ちに向き合って、感情を穏やかにする方法も活用してみてください。
マタニティブルーは誰にでも起こることを知っておく
気持ちが落ち込んでいるとき、「何をやってもうまくいかない」「そんな自分が嫌い」といった感じで、自分自身に原因を向けがちです。
マタニティブルーの原因は女性ホルモンの低下や心身の変化が原因であり、誰にでも起こりうるものであることを改めて理解しましょう。
そうすれば「この時期はマタニティブルーで女性ホルモンが不安定だから落ち込んでも仕方ない。」と納得できます。
それに、短期間で治ることもわかっていれば、目の前の出口に向けてなんとかしのぐことができるはずです。
身近な人に相談する
夫や両親、ママ友など身近な人に相談したり知ってもらったりすることも大切です。
自分の気持ちを話すだけでも気持ちが楽になりますし、マタニティブルーを知ってもらうことで、どうしても辛い時にすぐに支援をしてもらいやすくなります。
また、マタニティブルーが続いている時、もしかすると産後うつに移行している可能性もありますが、それを自分で気がつくことは難しいです。
身近な人に自分の変化をよくみてもらって、もしも産後うつであればできるだけ早い治療につながるようにフォローしてもらいましょう。
マタニティブルーを相談できる専門家
マタニティブルーで辛いときには、身近な人に相談することも大切ですが、自分自身の心のケアのために専門家に相談することも効果的です。
マタニティブルーと産後うつの違いについても見極めてくれるので安心です。
助産師
助産師は、妊娠から出産、育児まで、母子の健康を支える専門家です。
出産時のサポートだけでなく、妊娠期や出産後の健康指導、乳房ケア、新生児ケアなど行います。
マタニティブルーについての知識も豊富で、適切なアドバイスを受けることができます。
保健師
保健師とは、地域に住む住民の保健指導や健康管理、乳幼児健診などを行う専門家です。
地域住民の心と体の健康を守るため、幅広い知識を身につけています。
当然、妊娠や産後にかかるメンタルヘルスケアも専門としています。
公認心理師
公認心理師とは、心の悩みを有する人に対して心理的な支援を行う専門家です。
対象者は広く、カウンセラーによって専門分野が異なりますが、ストレスケアやリラクゼーション法などの心理技法に基づいた心理的支援を行います。
出産や育児を経験している公認心理師であれば、自らの経験をもとに辛い気持ちに寄り添って傾聴し、ストレス軽減につながるカウンセリングを実施してくれます。
マタニティブルーを相談できるオンラインカウンセリング
妊娠時や産後に体調が悪かったり時間がなかったりして自宅から出られなければ、専門家に相談したくてもその場所に行くことができません。
そんなときは、オンラインカウンセリングサービスの利用がおすすめです。
インターネット上にはさまざまなオンラインカウンセリングサービスがありますが、このブログで特におすすめしているのは「うららか相談室」です。
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まとめ
今回は、マタニティブルーを乗り越える5つの方法について説明しました。
妊娠や出産は、人生の中でも1、2を争う大きなイベントといえます。
そう考えると、大きな変化に対応できずマタニティブルーが起きてしまうのは仕方のないことかもしれません。
女性ホルモンや心身の不調が原因となるマタニティブルーは誰にでも起こり得るものです。
そうした時には、今回紹介した対処法を取ってみてください。
- 十分な睡眠をとってゆっくりと休む
- 軽い運動をする
- 感情をため込まない
- マタニティブルーは誰にでも起こることを知っておく
- 身近な人に相談する
また、専門家に相談したい場合には、オンラインカウンセリングサービスがおすすめです。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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