WISCの結果を受け取ったあと、
- この数値は大丈夫なのだろうか
- 支援が必要なのだろうか
- 誰に、どこに相談すればいいのだろう
と、もやもやした気持ちが残っていませんか。
ゆう結果を見ても、何をすればいいかわからないことは多いです。
私は公認心理師として、これまで500件以上のWISC検査と、3,000人以上の保護者の方の相談に関わってきました。その経験からお伝えできるのは、検査結果を受け取ったあとに迷うのは、決して珍しいことではないということです。
むしろ、すぐに「これでバッチリわかった」と感じる方の方が少数派です。多くの保護者の方が、結果用紙を前に「で、結局どうすれば?」と立ち止まり、そこから一歩を踏み出すまでに時間をかけています。
この記事では、
- 「相談した方がいいかも」と感じる3つのサイン
- WISCについて相談できる4つの場所
- 共働き家庭にとって現実的な選択肢
- 相談前に整理しておくと役立つこと
を順に整理していきます。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- WISCの結果を見て「これで大丈夫?」と不安が残っている方
- どこに相談すればいいか、選択肢がよくわからない方
- 共働きで時間が取りにくく、現実的に動ける相談先を探している方
- 検査機関の説明では納得しきれず、別の専門家にも聞いてみたい方
WISCの基本情報や結果の見方から知りたい方は、こちらの記事もあわせて参考にしてください。


WISCの結果に「もやもや」を感じるのは自然なこと
検査を受けた保護者の方から、次のような声をよく伺います。
- 数値の説明は受けたけれど、家でどうすればいいかわからない
- 「個人内差が大きい」と言われたが、それが何を意味するのか曖昧
- 結果は普通の範囲なのに、日常で困っている部分の説明がつかない
こうしたモヤモヤは、お子さんへの愛情があるからこそ生まれるものです。



「もう少し詳しく知りたい」と感じるのは、自然なことだと思います。
そもそも、WISCの結果は数値だけを見て答えが出る検査ではありません。日常の様子と組み合わせて初めて意味が立ち上がってくる検査です。
そのため、「数値の説明を聞いたのに、もやもやが残る」という状態は、検査そのもののせいではなく、結果を日常に落とし込む作業がまだ途中だから、と捉えてみてください。
WISCの信頼性や「意味ない・当てにならない」と感じてしまう背景については、こちらの記事で詳しく解説しています。


「相談した方がいいかも」と感じる3つのサイン
では、どんなときに相談を考えるのが良いのでしょうか。私が現場でよくお会いする保護者の方を見ていると、大きく3つのサインがあるように感じます。
数値と日常の様子が結びつかない
たとえば、
- IQは平均的なのに、宿題に異常に時間がかかる
- ワーキングメモリの数値は高いのに、口頭の指示を聞き逃しやすい
- 処理速度が高いのに、テストで時間が足りない
といったように、結果と実生活がつながらないことがあります。これは、検査では拾いきれない要素が日常に影響しているからです。たとえば、注意の持続、不安の強さ、集団場面での緊張、生活リズム、家庭環境など、検査室では現れにくい要因はたくさんあります。
結果と日常がズレているということは、「検査では見えない何かが、お子さんに影響している可能性」を示しています。そのズレを言語化することで、支援のヒントが見えてくることがあります。
指標の差(凸凹)が気になる
5つの指標の間に差(個人内差・凸凹)があると、
- 差が大きいと言われたけど、それは問題なのか
- 得意な部分をどう活かせばいいのか
- 苦手な部分にどう対応すればいいのか
と疑問が浮かびやすくなります。凸凹そのものは多くの子どもに見られるものですが、その凸凹がお子さんの日常にどう影響しているかは、個別に見ないとわかりません。
同じ「指標の差が大きい」という結果でも、お子さんごとに困っている場面はまったく違います。一般的な解説書を読むだけでは、「うちの子の場合はどうなのか」がなかなか見えてこないのです。
「気になる」という直感そのもの
明確な困りごとがなくても、「なんとなく気になる」「違和感がある」という感覚そのものが、立派なサインです。
「数字は問題ないと言われたけれど、なぜか引っかかる」「先生は大丈夫と言うけれど、家での様子が気になる」。こうした感覚は、毎日お子さんを見ているからこそ生まれるものです。
💡 保護者の直感は、見過ごしてはいけないものです
毎日一緒に過ごしている保護者の方が感じる「違和感」には、検査では拾えない情報が含まれていることが少なくありません。「気のせいかも」と片付けず、一度言語化してみるだけでも整理が進みます。



「気になる」を持ち込むことが、相談のスタートで大丈夫です。
結果の基本的な見方をもう一度確認したい方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。


WISCについて相談できる4つの場所
では、実際にどこへ相談するという選択肢があるのでしょうか。主に4つの場所が考えられます。
1. 検査を受けた機関
まずは検査を受けた機関に再度相談する、というのが基本の選択肢です。
- メリット:検査時の様子を踏まえた説明が受けられる
- 向いている人:結果の解釈について追加で聞きたいことがある
ただし、追加の面接時間が限られていたり、再度の予約がなかなか取れないこともあります。また、検査者によっては数値の説明が中心になり、生活への落とし込みまで踏み込んでもらえないことも、現場では見られます。
2. 学校(担任・スクールカウンセラー)
- メリット:日常の学校生活を踏まえた相談ができる
- 向いている人:学習面や友人関係での配慮を考えたい
家庭と学校の認識をすり合わせる意味でも、重要な相談先です。「合理的配慮」をお願いしたい場合や、通級・支援級の利用を検討する場合は、学校での相談が出発点になります。



担任の先生に検査結果を共有するだけでも、関わり方が変わることがあります。
3. 医療機関(児童精神科など)
- メリット:発達面・情緒面の専門的な評価を受けられる
- 向いている人:診断や治療が必要かどうか判断したい
ただし、初診の予約が数か月待ちになることも珍しくありません。「すぐに相談したい」というニーズには応えにくいのが現状です。診断や治療は、急がず時間をかけて検討する想定で動くことが大切です。
4. 民間カウンセリング
- メリット:時間をかけて丁寧に整理してもらえる
- 向いている人:継続的に相談したい、保護者自身の気持ちも整理したい
料金はかかりますが、その分じっくり向き合える環境が用意されていることが多いです。検査結果の解釈だけでなく、保護者の気持ちの整理や、家庭での具体的な関わり方まで踏み込んだ相談ができるのが特徴です。最近では、オンラインで利用できるカウンセリングも広がっています。
共働き家庭にとっての「現実的な相談先」
ここまで4つの相談先をご紹介しました。でも、実際にはこんな悩みもあるのではないでしょうか。
- 平日昼間に医療機関や検査機関に行く時間が、現実的にない
- スクールカウンセラーは予約枠が限られていて、なかなか会えない
- そもそも、夫婦で話し合う時間すら取りにくい



共働きで子育てをしていると、時間の確保自体がとても難しいですよね。
私自身も子育てをしていて、平日に時間を作ることの大変さは身をもって感じています。だからこそ、相談を後回しにしてしまう気持ちもよくわかります。
「相談した方がいい」と頭では分かっていても、毎日の仕事と家事と子育てに追われていると、自分のための時間を作るのは罪悪感さえ伴います。「もう少し落ち着いてから」と先延ばしにしているうちに、半年、1年と過ぎてしまうのも珍しくありません。
そうした中で、最近広がっているのがオンラインカウンセリングという選択肢です。
📝 オンラインカウンセリングの特徴
- 夜の時間や週末にも予約が取れることが多い
- 自宅から、スマホ一つで相談できる
- 移動時間がいらず、子どもを連れていく必要もない
- 顔出しなしの音声相談を選べるサービスもある
これは、子どもが寝たあとの時間に、自宅のソファから相談できるということです。「平日昼間に時間を作る」ハードルが、ぐっと下がります。
オンラインカウンセリングについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。


WISCの結果、夜の時間にスマホから相談できます
公認心理師・臨床心理士など、検査結果の解釈に強い専門家を選んで相談できるサービスです。
相談前に整理しておくと役立つ3つのこと
どの相談先を選ぶにしても、事前に少し整理しておくと、限られた時間の中でも具体的なアドバイスを受けやすくなります。
気になる指標と、日常のどの場面で困っているか
「ワーキングメモリが低い」だけでなく、
- 口頭で複数の指示を出すと混乱する
- 九九を覚えるのに時間がかかる
- 会話の途中で話の流れを見失う
といったように、具体的な場面とセットで整理しておくと、相談がぐっと深まります。
保護者自身の困り感
お子さんのことだけでなく、保護者の方ご自身がどこに困っているかも大切な情報です。
- どう関わればよいかわからない
- つい強く叱ってしまう自分が嫌になる
- 夫婦で意見が合わずに疲れている
こうしたことも、遠慮なく相談の場に持ち込んでいただいて大丈夫です。保護者の気持ちが整理されると、お子さんへの関わり方も自然と落ち着いてくることが多いです。



親の気持ちの整理が、子どもへの関わりの土台になります。
「どんな状態になりたいか」というゴールイメージ
たとえば、
- 子どもが宿題で困らなくなる
- 親子の会話が少しでも穏やかになる
- 「これでいい」と思える日が増える
といった、ぼんやりでも構わないゴールイメージがあると、相談の方向性が定まりやすくなります。「困りごとを解決する」よりも「こうなれたらいいな」の方向で考えると、出てきやすいと思います。
💡 相談前メモのすすめ
スマホのメモアプリに、上の3つを箇条書きで残しておくだけでも違います。完璧に整える必要はありません。「とりあえず書き出した」状態で持ち込むだけで、相談の質は変わります。
まとめ
WISCの結果に不安を感じたときに大切なのは、一人で抱え込まないことです。
📝 この記事のポイント
- 結果にもやもやを感じるのは自然なこと
- 「数値と日常が結びつかない」「凸凹が気になる」「直感的な違和感」は相談のサイン
- 相談先は4つ(検査機関・学校・医療機関・民間カウンセリング)
- 共働き家庭には、夜・週末に使えるオンラインカウンセリングが現実的
- 気になる場面・自分の困り感・ゴールイメージを整理して持ち込むと深まる
結果用紙を眺めて「どうしよう」と立ち止まっている時間は、決して無駄ではありません。立ち止まれるのは、お子さんを丁寧に見ているからこそです。
そして、一人で抱えなくていい場面では、誰かに頼っていただきたいと思います。専門家に話すことは、答えを丸ごと預けることではなく、整理を手伝ってもらうようなものです。話しているうちに、自分の中で見えてくるものがある。それが相談の本当の効能だと、私は感じています。



立ち止まったその場所から、一歩ずつ進めれば大丈夫です。
ひとりで抱え込まず、専門家に話してみるのも一つの選択肢です
夜の時間にスマホから、検査結果の解釈に強い心理士を選んで相談できます。
こちらの記事もおすすめです


元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター

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