今回の記事では、
感情をコントロールする方法
について詳しく説明していきます。
子育て中の方にとって,子どもの世話に忙しく、わがままに振り回されていると感じると、ちょっとしたことでイライラしたり,ムカムカしたりしてしまうことありませんか?
仕事や子育てに疲れているとイライラしがちですよね。
そうしたイライラの感情に流されて、思わず大きな声を出してしまうことあると思います。
その後になって、イライラしてしまったことを反省しても、似たような場面になると同じことを繰り返してしまう方いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、今回は、
- 子育て中に生じやすい感情って何?
- 感情に向き合う方法を知りたい!
- 感情をコントロールできるようになりたい!
という悩みや疑問に答えていきます。
子育て中でイライラしがちな自分に悩んでいる方は、是非参考にしてください。
子育て中に生じやすい感情
子育て中に生じる感情は様々なものがあります。
子どもがすくすくと健康に育って、親の期待に沿って行動してくれれば、「うれしい」、「幸せ」、「喜び」などのポジティブな感情が生じるでしょう。
一方で、子どもの世話でくたくたになっていたり、子どものわがままに振り回されたりするようになると、「イライラ」、「ムカムカ」、「怒り」、「不満」など、子育てを一人でやらなければならない状況では「不安」、「悲しさ」、「孤独感」といったネガティブな感情が生じやすくなります。
子育て中に生じる感情がポジティブであれば、子どもに優しく接することができますが、ネガティブな感情の場合、その感情を上手にコントロールできなければ、子どもの心を傷つけるような接し方をしてしまうかもしれません。
だからこそ、ネガティブな感情に向き合って、それをコントロールできるようになることが大切です。
感情に対する誤解
「感情」にはメリットもデメリットもあるのですが、現代社会では、邪魔で不都合なものとして扱われがちです。
特に、ネガティブな感情は、子育てへの悪影響に限らず、他者に迷惑を掛けるような行動にもつながりやすく、「厄介者」のように捉えられています。
こうした風に感情を捉えている人は、できるだけ感情から目を背け、本当ならある気持ちをないことにしたり、我慢したりしがちです。
そのときは一見冷静で落ち着いて振る舞うことができるかもしれませんが、後になって、うつや不安などといった形になって出てきてしまうことが少なくありません。
感情は目で見ることはできませんが、しっかりとその感情に向き合って感じ切ってあげないと、いくら時間がたったからといって勝手に消えていくものではありません。
日常生活で嫌なことがあって、それを忘れようとし続けていても、ふとした瞬間にそのときの感情が高まってくることがありますが、それと同じように嫌だったときに生じた感情を整理してあげないと、ずっと心のどこかに残ってしまいます。
また、感情についての研究によると、事故で脳に損傷が生じて感情へのアクセスができなくなった人たちは、感情の生き生きとした動きを味わえないだけでなく、判断や決断ができなくなり、対人関係でもうまく機能することができなくなってしまうとのことです。
感情は、論理的ではないと思われがちで嫌われやすく、人によっては感情に目を向けず、ネガティブな感情に蓋をしてしまいがちです。
しかし、実は判断や行動をその場に適したものにつなげていく働きがあり,感情に向き合って丁寧に扱っていくことが重要だと言えます。
感情に向き合うとは
それでは、どのようにすれば感情に向き合うことができるのでしょうか?
感情に向き合えるようになるためには、いくつかのステップが必要です。
- 感情語を増やす
- 感情に気付く
- 感情をアウトプットする
- 感情に向き合う
感情語を増やす
自分の感情に向き合うためには、自分の中でどのような感情が生じたのかに気が付くことできなければなりません。
そのときに、「感情語」をたくさん知っているかどうかがポイントになります。
私の勤める心理相談室には、感情に問題を抱える方が多くいらっしゃいます。
そうした方の多くは、感情についての言葉の表現が苦手です。
例えばですが、よくありがちな相談として、次のような相談があります。
スーパーで、子どもがお菓子を買ってほしいとわがままを言うので、注意をしたら、子どもが大声で泣き始めて、ムカムカした。
この母親は、子どものわがままに対して「ムカムカ」したと述べていますね。
それが、このときの母親の感情です。
しかし、このときの母親の感情は「ムカムカ」だけだったのでしょうか?
もしかしたら、スーパーで他のお客さんの前で、子どもがわがままを言うので「恥ずかしい」という感情が生じたかもしれませんし、「イライラ」とか「怒り」といった感情が出ていた可能性もあります。
感情に問題のある人は、感情語のボキャブラリーが少ないため、自分の中で生じた感情の違いに気付くことが苦手です。
すると当然自分の感情にきちんと向き合うことができなくなります。
だからこそ、感情語が少ない人は,感情に関する言葉をたくさん覚えていくことが大切と言えます。
日本語には感情を表す言葉がたくさんありますし、感情の程度も言葉で表すことができます。
例えば、「怒り」という感情語がありますが、「怒り」より強い言葉に「激怒」や「激高」、少し意味合いが変わりますが「憤怒」という言葉もあります。
こうした感情語については、色々な人と感情について話し合ったり、様々な書籍を読むことを通じて身に付けていくことができます。
また、感情語をまとめたサイトもあり、そうしたサイトから言葉を学んでいくこともよいでしょう。
感情に気付く
感情語を増やしながら、自分の中で生じた感情に気付く練習もしていきましょう。
自分の感情に気付くためには、「今、ここにいる自分の気持ち」に目を向けることが大切です。
例えば、子どものわがままに振り回されているとき、「今、私はイライラしている」とか、「今、泣きたいくらい、つらい」などと今の自分の気持ちに焦点を当てましょう。
もちろん、感情が高ぶりすぎていて、自分の感情に気付くといった余裕がないこともあるでしょう。
そうしたときには、後で振り返ってよいのですが、そのときのコツとしては「その時その場所」で生じた感情に目を向けることです。
感情は、一時的に高ぶるものであって、時間の経過や場面が変われば、すぐに変化してしまいます。
感情を振り返るときには、時間や場面を特定することが、感情を正しく気付くために大切なことです。
感情をアウトプットする
自分の感情に気付いたら、その感情を言葉にしてアウトプットしましょう。
アウトプットの方法はいくつかあります。
日記に自分の気持ちや感情の変化を書いてみましょう。
また、文章にして書くことが難しければ、心に浮かんだ感情語をノートやメモに殴り書きするだけでも効果的です。
どのような方法であれ、自分の頭の中だけにとどめず、実際に言葉して書き出すことが大切です。
感情を言葉にして外に出すと、目で見えるようにもなって、客観的に扱いやすくなり、ネガティブな感情であっても向き合いやすくなります。
外に出した感情については、他の人に伝わらないように慎重に扱いましょう。
特に、自分が上手に扱うことのできていないようなネガティブな感情について、安易に他者に知られてしまうと、過度に心配されたり不快にさせたりしてしまい、かえって自分の気持ちが傷つくような体験につながるおそれがあります。
感情に向き合う
皆さんお気付きだと思いますが、ここまで一つ一つ進めることによって、すでに自分の感情と向き合うことができているはずです。
子育て中に生じるネガティブな感情であっても、「今、ここにいる私」の感情に目を向けて、適切な感情語を当てはめて、声や文字にしてアウトプットすることができれば、その感情に向き合うことは自然にできるようになります。
心理相談室でも、この流れで感情に気付くトレーニングを行います。
感情をコントロールする方法
感情をコントロールする方法は、いろいろとありますし、感情の種類や画面や状況によっても方法は異なります。
ここでは、子育て中に生じやすい感情に絞って、その感情をコントロールする方法を説明していきます。
怒り
子どもがきょうだいや物を叩いたとき、うそをついたときなど、思わずかっとなって怒りの感情が高まることがあるでしょう。
怒りの感情は一時的なものですが、怒りに任せて行動してしまうと暴力的なものになりかねないため、確実にコントロールできるようになることが望まれます。
怒りの感情は,少しの時間でピークを迎えるので、その時間さえしのぐことができれば、落ち着かせることができ、突発的な行動も抑えることができるようになります。
怒りのコントロールについては、アンガーマネジメントトレーニングが有効です。
イライラ・ムカムカ
まさに目の前の子どもがわがままを言うなどして、「イライラ」や「ムカムカ」の感情が高まることが多いのではないでしょうか。
そうした場合には、その場で抑えられないほど強い感情であれば、先ほど紹介した「怒り」の対処方法であるアンガーマネジメントを用いることが効果的です。
子どもの目の前では何とか抑えられても、その後もイライラやムカムカが続くような場合には、先ほどまで説明してきた「感情に向き合う」方法により、感情を書き出してみたり、誰かに相談したりすることによって、そうした感情を和らげることができます。
また、マインドフルネスやアロマテラピーなど、自分に合った方法で感情をコントロールすることもできます。
不安,寂しさ,孤独
これらの感情は、子どもを目の前にして急に高ぶるというよりは、一人で子育てをしなければならないプレッシャーや経済的な問題などにより、慢性的に生じるネガティブな感情です。
こうした感情をそのままにしておくと、うつ病などの精神障害になるおそれがあります。
また、お酒を飲んだり、スマホでSNSやゲームをしたり、パチンコなどのギャンブルにハマったりするなど、自分の好きなことや趣味などに没頭すれば一時的に忘れることができるかもしれません。
しかし、もともとの問題が解決しなければ、そうした感情は続いてしまいますし、感情から目を背ける方法としてそうした行動を続けていれば、それは依存という別の問題を引き起こすことにもなりかねません。
したがって、不安、寂しさ、孤独などの感情に対しては、それが生じる問題を明確にして、その問題を一つ一つ解決していくことが大切になります。
当然、解決方法はケースバイケースであり、子育てや経済問題など様々な問題が複雑に絡み合っていることもあるため、具体的な方法をここで取り上げることは難しいですが、それらの問題解決に有効な方法としては、やはり専門家に相談するということです。
日本人の多くの方が、子育ての悩みに限らず、家庭のことを他人に相談することについて、「恥ずかしい」という感情が生じやすいようです。
そうした人たちのために、子育ての相談などについては、対面での相談だけでなく、メール相談、電話相談やZOOMなどを用いたウェブ相談などの方法が用意されています。
以前に比べて子育て相談の窓口は増えてきましたし、公的機関が無料で行っているところもたくさんありますので、ぜひ積極的に活用してください。
おすすめのオンラインカウンセリング
自分のことや家族のことでお悩みの方は、一度オンラインカウンセリングを検討してみてはいかがでしょうか?
他人に相談することに多くの人は抵抗がありますが、私のブログをお読みになっていただいている方は、悩みを解決するために一歩進むことのできる方です。
実際のカウンセリングルームや精神科病院などにいくのは勇気がいりますし、家族の理解も得にくいと思いますので、そうした方には「オンラインカウンセリング」をおすすめしています。
ネットで検索すると様々なオンラインカウンセリングが出てきますが、「うららか相談室」は、私と同じ公認心理師や臨床心理士といった信頼性の高い心理の資格をお持ちの方が相談に乗ってくれます。
多種多様な相談内容にも対応しているので、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、子育てで生じる感情に向き合うことの大切さや、特にネガティブな感情をコントールする方法について説明してきました。
親が感情に向き合って、その感情を丁寧に扱っていくことができれば、子どももそれを見てまねをして、感情を扱うことが上手に育っていきます。
親も子供も一緒に成長していきましょう!
なお、「子どもの感情の育て方」について紹介した記事がありますので、併せてお読みください。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント