この記事では、
小学校に通う子どもが知能検査を勧められたときの親の心構え
について詳しく説明していきます。
もしも、ある日突然、小学校に通う自分の子どもの担任の先生や養護教諭から、知能検査を受けることを勧められたらどのような気持ちになるでしょうか?
いきなり言われたらショックを受けるかもしれませんが、知能検査では子どもの成長のために必要な情報をたくさん得られますよ!
自分の子どもが問題行動ばかり起こしていたり、勉強に遅れが目立っていたりして、日ごろから「うちの子大丈夫かしら?」と心配していたとしても、突然学校の先生に知能検査を受けることを勧められたら、戸惑い、いら立ち、恥ずかしいなどの感情が生じるでしょう。
しかし、知能検査は子どもの成長に役に立つ情報を得られますので、そのことを親がきちんと理解しつつ、検査結果についても動揺せずに冷静に受け止めることが大切です。
そこで、今回は、
- 知能検査について知りたい!
- 小学校で知能検査を勧められるのはどのような子ども?
- 知能検査を受ける前の子どもに掛けてあげる言葉とは?
- 検査結果を聞くときの親の心構えとは?
といった疑問や悩みに答えていきます。
お子さんの知能検査の受検を勧められて不安になっている方は是非参考にしてください。
知能検査とは
みなさんが知能検査と聞くと、「IQ」(知能指数)という言葉が頭に思い浮かぶ方が多いと思います。
IQは、平均が100で、それより高いか低いかで知能水準が表されるため、ぱっと見て分かりやすいところが特徴の一つです。
知能検査を実施すると、IQが分かりますが、実は他にもいろいろなことが分かります。
知能検査の定義、知能検査から何が分かるのかということを説明していきます。
知能検査の定義
知能検査は、次のように説明されています。
知能検査とは、主に物事の理解、知識、課題を解決する力といった、認知能力を測定するための心理検査の一つ。認知発達の水準を評価し、その人の得意分野、不得意分野を分析することで、発達支援や学習指導の方向性を検討するなどの目的で利用される。
LITALICO発達ナビ から引用
知能検査は、その子が同じ年代の子どもと比べて知能が高いのか低いのかということが分かるだけでなく、その子の得意ことと苦手なことを調べることができます。
知能検査は、IQだけを調べるためのものではないという点に注意です(後ほど詳しく説明します)。
知能検査結果から何が分かるか
知能検査はいくつか種類があります。
日本において小学生の子どもに向けて使用される代表的な検査としては、田中ビネー式知能検査、WISC-Ⅴ(ウィスク‐ファイブ)、KABC-Ⅱ(ケーエービーシー‐ツー)などがあります。
このうち WISC-ⅤとKABC-Ⅱの結果でIQが出されます(田中ビネー式知能検査は「精神年齢」が分かる)。
いずれの検査もいくつかの「下位検査」と呼ばれる様々な課題に取り組むことになります。
検査の種類によって異なりますが、例えば「積み木の模様を見本どおりに素早く並べる」、「言葉の意味を答える」、「間違い探し」、「パズルを完成させる」、「素早く記号を模写する」などの課題があり、それぞれ取り組んでいくことになります。
それらの下位検査は、いくつかのカテゴリーに分類されていて、そのカテゴリーの全てを合計した結果がIQになります。
IQは、知能の全体を表しているに過ぎません
その子の得意なことや苦手なことを調べるためには、IQの数字なんかよりも、カテゴリーや下位検査の数字の意味を理解する方が重要になります。
下位検査のうち「積木模様」や「行列推理」について詳しく説明した記事があるので参考にしてください。
知能検査を小学校で勧められる子どものタイプ
小学校の先生は、どのようなお子さんに知能検査の実施を勧めるのでしょうか?
先ほど少し説明したとおり、知能検査はIQを測定するためだけではありません。
知能検査実施の目的は、子どもによって大きく異なります。
私が勤めている心理相談室でも知能検査の実施はよく行うのですが、具体的には次のようなお子さんに対して実施することが多くあります。
- 知的障害が疑われる(療育手帳の取得等が目的)
- 同年代の子どもに比べて理解力が低い(どの程度の知的能力かを把握することが目的)
- 落ち着きに欠ける/興味や関心に偏りがある(発達障害が疑われる場合)
- 得意なことと苦手なことの差が大きい(発達障害が疑われる場合)
- 知能と学力に差が大きい(学習障害が疑われる場合)
これらの中で、純粋にIQを知りたいのは、知的障害かどうかを調べたいときに限られます。
ただし、知能検査でIQが低かったとしても、それだけで知的障害と診断されるわけではありません。
知的障害は、「知能検査のIQの数値の低さ」に加えて、「日常生活に適応できていないこと」、「それが18歳までに生じていること」などの基準に沿って、医師が診断することになります。
もしも、IQがとても低い場合は(IQ=70以下)、療育手帳の取得や、特別支援学級又は通級などの変更が検討されるかもしれません。
ただし、知能検査を受けるのはこういったケースばかりではありません。
決して知的障害が疑われるわけではないけど、日常生活や学校生活でうまく生活を送ることができず、知能のバランスが悪いようなときに知能検査を実施することがあります。
最近では、特に発達障害が疑われるようなお子さんに対して知能検査を実施することが増えてきた実感があります。
あくまでも知能検査は、知的水準を測定するために開発されたものであって、発達障害を調べるために作られてはいません。しかし、知能検査を実施することで知能のバランスが分かることもあり、その結果をうまく使うことによって効果的な指導方法などが分かってくるというメリットがあって、発達障害の子どもにも積極的に行われています。
小学校で知能検査を勧められるとしたら「WISC」を受けることになることが多いでしょう。
詳しくは次の記事でも紹介しています。
知能検査前の子どもに掛ける言葉
学校の先生から知能検査の受検について勧められた場合、その時点ではお子さんには何も知らされていないことが多いでしょう。
親としては、そのことを子どもにどのように説明しようか悩むかもしれませんが、その説明については学校の先生や検査の実施者に任せてもらって構いません。
検査者が、知能検査を実施するためには、検査を受ける子どもに対して、検査をする理由を説明しなければならないことになっています。
そのとき、ただ単純に「IQを調べるためだよ」と直接的に説明することはありません。
「君の得意なところと苦手なところを調べるための検査だよ。」などと説明する場合が一般的です。
親は、子どもに検査を受けさせるために、その理由を説明したり励ましたりしなければならないと責任を感じてしまうかもしれませんが、そうしたことは学校の先生や検査者に任せてしまって大丈夫です。
もしも親として声を掛けるのであれば、「検査の結果が楽しみだね。」、「得意なことが分かったら、それを伸ばしていこうね。」、「苦手なところがあったら、お父さんやお母さんも気を付けるからね。」といったくらいに説明できれば十分です。
知能検査結果を聞くときの親の心構え
お子さんが知能検査を受け終えたら、その2週間から1か月後くらいに結果の説明があるはずです。
これをフィードバックと言います。
大抵の場合、検査を実施した人(例えば,心理士やスクールカウンセラーなど)が直接説明してくれるはずです。
検査結果用紙を見せながら説明してくれる場合もあれば、用紙は見せてもらえない場合もあるので、メモを用意しておくとよいと思います。
このとき、気を付けてほしいことがあります。
「IQは気にするな」
ということです。
検査者から、最初に「IQは〇〇で、平均よりも低い段階でした」などと言われるかもしれません。
もしもその数字が予想以上に低かった場合にはショックを受けてしまい、その後の説明が耳に入ってこなくなってしまうでしょう。
しかし、すでに書きましたが、IQは知能の全体を表している数値に過ぎず、それ以上の何物でもありません。
重要なのは、IQではなくて、それを構成するいくつかのカテゴリーや下位検査の結果です。
また、知能検査の結果であるIQの数値は、お子さんが受検したその日その時の体調や気分によって結果が左右されますし、当然真面目に受けたのか意欲があったのかどうかでも変わってきます。
つまり、一度の知能検査で得られた数字が全てではないということです。
IQの数字に惑わされず、お子さんの得意なことや苦手なことを理解するように努めましょう!
大人が知能検査を受ける際の心構えについても解説していますので、次の記事を参考にしてください。
小学校の知能検査結果の活用法
検査結果について、IQの数字はシンプルで分かりやすいのですが、検査の種類によって、出てくる言葉や数値は異なります。
カテゴリーや下位検査の結果の読み方は、かなり専門的な知識が必要になるので、一般の方が専門用語や数値の意味などを知る必要はありません。
検査者に口頭で分かりやすく説明を求めて、お子さんの得意なことと苦手なことや、日ごろどのような点に気を付けて接すればよいか、学習の仕方のポイントなど、具体的に教えてもらいましょう。
重要なことは「お子さんが、より良い生活を送ることができるようになるためのヒントを得ること」です!!
なお、苦手なことが分かったら、その点をサポートするような学用品を準備すると、学校生活が過ごしやすくなります。
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まとめ
今回は、小学校に通う子どもが知能検査を勧められたときの親の心構えについて学びました。
もしも学校の先生から知能検査の受検を勧められたら、動揺することなく、なぜ受ける必要があるのかを先生に尋ねましょう。
そして、是非前向きにとらえていただき、検査結果の全てを活用するような気持ちで受け止めてください。
お子さんの得意なことや苦手なことが分かると、学習の取り組ませ方や、指導の方法など、どのような工夫をすれば効果的かが見えてきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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