子どもの言葉の発達が気になる|公認心理師が伝える目安と関わり方

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「同じくらいの子はもっとおしゃべりなのに、うちの子はどうして……」。夜、子どもが眠ったあとに、そんな心配がふっと頭をよぎることはありませんか。

公認心理師の「ゆう」と申します。子ども家庭支援センターで、発達や子育ての相談をお受けしています。私自身も子を持つ親として、我が子の育ちに一喜一憂してきました。

この記事では、言葉の発達の目安と個人差、気になったときに見てほしい視点、そして家庭でできる関わり方を、並走する立場でお伝えします。読み終えるころには、「まず何をすればいいか」が少し見えてくるはずです。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • 同じ年ごろの子と比べて、我が子の言葉がゆっくりに感じる方
  • 語彙が少ない、話の説明が苦手など、就学後もことばが気になる方
  • 「様子を見ましょう」と言われたけれど、何を見ればいいのか分からない方
  • 家庭でできる関わり方を、専門家の視点で知りたい方
目次

言葉の発達には、その子なりの順番とペースがある

相談に乗ってくれる女性

言葉の発達には、大まかな目安があります。ただ、そこから外れているからといって、すぐに問題だとは限りません。まずは全体像を、肩の力を抜いて眺めてみましょう。

一般的な発達の目安を、地図として持っておく

ひとつの目安として、1歳前後で意味のある単語が出はじめ、2歳ごろに「わんわん きた」のような二語文が増えていきます。3歳を過ぎると色や仲間分けの言葉が分かり、就学のころには出来事を順序立てて話せるようになっていきます。

ただ、これはあくまで「地図」であって「時刻表」ではありません。同じ道でも、歩く速さはその子によって違います。目安は、比べて落ち込むためではなく、進む方向を確かめるために使ってください。

発達に個人差がある理由

言葉は、聞く力、話す意欲、周りとのやりとりなど、いくつもの要素が重なって育ちます。どこがゆっくり育つかは子どもごとに違うため、発達のペースにも自然と幅が出ます。

言葉を貯めてから一気に話し出す子もいれば、少しずつ増やしていく子もいます。ゆっくりであること自体は、その子の個性の範囲であることも少なくありません。

言葉の育ち方は、大きく3つのタイプに分かれる

これはあくまで一般化した見方ですが、言葉の出方には傾向があります。我が子がどれに近いか、想像しながら読んでみてください。

  • おしゃべり大好きタイプ:早くからよく話し、言葉で気持ちを表す
  • ひとり言もくもくタイプ:内側に言葉を貯め、あるとき一気にあふれ出す
  • 突然大人顔負けタイプ:静かだったのに、急にしっかりした文で話しはじめる

どのタイプが良い・悪いということはありません。もくもくタイプの子を、おしゃべりタイプの物差しで測ると、必要以上に心配になってしまいます。その子のタイプに合った物差しで見ることが、最初の一歩です。

これはあくまで一般化した事例ですが

あるお母さん(Aさんとします)は、3歳を過ぎても単語が少ない我が子を、ずっと心配していました。周りの子と比べては、夜になると落ち込む日が続いたそうです。でもよく見ると、その子は言われたことはちゃんと理解し、指さしで気持ちを伝えていました。言葉を「貯めている」時期だったのです。年長になるころ、堰を切ったように話しはじめたと聞きました。すべての子が同じように進むわけではありませんが、話す言葉の数だけでは見えないものが、その手前にたくさんあるということです。

ゆう

比べる相手は「昨日のわが子」で大丈夫ですよ。

「気になる」と感じたとき見てほしい3つの視点

言葉の「量」ばかりに目が向きがちですが、大切なのは、その手前にある「やりとりの土台」です。話す言葉が少なめでも、次の3つが育っていれば、言葉はあとから伸びていくことが多くあります。

言葉の意味を理解している?

「くつを持ってきて」「ゴミを捨てて」など、日常の言葉を理解して動けているでしょうか。話す言葉より、理解している言葉のほうが先に育ちます。理解が進んでいれば、大きな心配は要らないことが多いです。

話しかけると、相手に注意を向ける?

話しかけたとき、相手の顔や目のあたりに注意を向けられるかを見てみましょう。言葉は、人と気持ちを通わせたいという思いの上に育ちます。視線ややりとりが自然に交わせているかは、大切なサインです。

名前を呼ぶと、反応が返ってくる?

名前を呼んだとき、振り向いたり返事をしたりと、何らかの反応が返ってくるでしょうか。呼びかけに気づいて応じる力は、会話のいちばん土台になる部分です。

3つとも「できている」なら、言葉が出るのを待てる土台は育っています。逆に、いくつか気になるものがあっても、それは責める材料ではなく、関わり方を工夫するヒントです。次の章で一緒に見ていきましょう。

一人で抱え込む前に、専門家に話してみませんか

「様子を見て」と言われたけれど不安、という気持ちごと聞いてもらえます。自宅からオンラインで、公認心理師などの専門家に相談できます。

家庭でできる、言葉を育てる関わり方

男の子を抱っこする男性

特別な訓練は要りません。言葉は、毎日のやりとりの中でいちばん育ちます。今日から少し意識するだけでできることを、3つに分けてお伝えします。

日常会話で意識したいこと

子どもが言いたそうにしているとき、先回りして言葉にしてあげたくなります。でも、少しだけ待ってみてください。言葉を探す時間そのものが、力を育てます。

単語で話したら、「わんわん、いたね」と少し足して返します。言い直しをさせるより、正しい形をそっと聞かせるほうが、子どもは安心して話せます。

絵本や遊びを通じて、言葉に触れる

絵本の読み聞かせは、言葉に触れるいちばん身近な方法です。低学年でも、読むのが苦手な子には読み聞かせが効果的です。「これ何?」と聞かれたら、新しい言葉を覚えるチャンス。一緒に図鑑で調べてみましょう。

しりとりやかるたのような言葉遊びもおすすめです。楽しみながら言葉を思い出す経験は、記憶に残りやすくなります。学齢期の子には、こうした遊びが語彙を増やす近道になります。

難しく考えなくても大丈夫です。買い物の道すがら「赤いお花、見つかるかな」と声をかけるだけでも、立派な言葉のやりとりになります。生活そのものが、いちばんの教材です。

「話したい気持ち」を育てる関わり方

いちばん大切なのは、技術ではなく「話したい」という気持ちです。話して受け止めてもらえた経験が、次に話す意欲につながります。

うまく話せなくても、内容が伝わればまずはそれで十分です。「聞いてくれてうれしい」が伝わる相づちを、意識してみてください。

発音のあいまいさや、吃音(どもり)が気になるときは

発音のあいまいさは、成長とともに整っていくことも多くあります。ただ、気になる状態が続くときや、言葉のつまり(吃音)が見られるときは、まず小児科・耳鼻咽喉科・言語聴覚士(ことばの専門家)に相談するのが基本です。吃音そのものについては、こちらの記事でくわしく解説しています。

そして、吃音そのものより、話すことへの緊張や、気持ちの落ち込みが続くときは、心のケアという選択肢もあります。近くに相談先が見つからないときは、オンラインの精神科・心療内科という方法もおぼえておいてください。

ゆう

「専門家」は、本当に困る前でも頼っていい存在ですよ。

気になる状態が続くときの相談先と次の一歩

ここまで読んで、「やっぱり気になる」という気持ちが残る方もいると思います。その感覚は、とても大切にしてほしいものです。

身近な相談先としては、市区町村の子育て相談窓口、保健センター、子ども家庭支援センターなどがあります。学齢期であれば、スクールカウンセラーや担任の先生も入り口になります。まずは「気になっている」と声に出すことから始まります。

言葉の心配の背景に、発達の特性が隠れていることもあります。ただ、それはあなたの関わりが足りなかったからではありません。特性は、その子の生まれ持った個性の一部です。関わり方の全体像は、発達が気になる子との接し方をまとめた記事もあわせてご覧ください。

なお、診断は医師の領域です。この記事は診断をするものではないので、気になる場合は専門医にご相談ください。

「この子のペースでいい」と、心から思えるように

不安を言葉にできる相手がいるだけで、心はずいぶん軽くなります。自宅から、専門家にオンラインで相談できます。

まとめ

今日の内容を、もう一度ふり返ります。

  • 発達の目安は「地図」。比べて落ち込むためでなく、方向を確かめるために使う
  • 言葉の育ち方には3つのタイプがある。その子に合った物差しで見る
  • 「理解・注意・応答」の土台が育っていれば、言葉はあとから伸びやすい
  • 家庭では、待つ・少し足して返す・話したい気持ちを育てる、が基本
  • 吃音や発音は、まず小児科・耳鼻科・言語聴覚士へ。気持ちの負担には心のケアも
  • 気になる状態が続くときは、身近な窓口や専門家に「声に出す」ことから

言葉がゆっくりでも、あなたのまなざしは、ちゃんとその子に届いています。焦らなくて大丈夫。今日のわが子のペースに、そっと寄り添っていきましょう。

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ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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