子どもが寝た後、静かな部屋でスマホを眺めながら、ふと思う。
「こんなに孤独だとは、思っていなかった。」
仕事はある。パートナーもいる。子どももいる。それなのになぜか、誰にも分かってもらえない感覚が拭えない。「子育てが大変」とは聞いていたけれど、こんなにひとりで抱えることになるとは思っていなかった——そんな気持ちを、夜中にそっと検索したあなたに、この記事を届けたいと思います。
その孤独感は、あなたが弱いからでも、おかしいからでもありません。今の子育て環境が、孤独を生みやすい構造になっているのです。
公認心理師の「ゆう」です。子ども家庭支援センターで日々、親御さんの相談に関わっています。以前の職場でも含め、長年にわたってさまざまな家族の孤立に向き合ってきました。「誰にも言えなかった」という言葉を、何度聞いてきたか分かりません。あなたの感覚を、ここで一緒に整理しましょう。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 子育ての孤独感を誰にも言えず、ひとりで抱えている方
- 「こんなに孤独なのは自分だけ?」と感じている方
- 共働きなのに孤立していると感じ、しんどくなっている方
- 子育ての孤独感が続いて、気力や体力の限界を感じている方
子育ての孤独感——6割の親が経験しています

まず、数字をお伝えします。
2025年に実施されたある調査では、子育て家庭の約6割が、子育て中に孤独感を経験したと回答しています。また別の調査では、7割以上の女性が子育て中に孤独・孤立を実感したという結果も出ています。
厚生労働省のデータでも、「子育てにおいて孤立感を感じる」と答えた母親は、専業主婦で53.5%、共働きでも46.6%に上ります。
つまり、子育ての孤独感は「特別に弱い人がなるもの」ではなく、今の日本で子育てをすれば、多くの親が経験するものです。あなたがおかしいのではありません。
ゆう「自分だけ」という感覚こそが、孤独感の一番つらいところです。
それでも「なぜ自分はこんなに孤独なのか」という問いは残ります。次に、その構造的な理由を見ていきましょう。
なぜ子育てはこんなに孤独なのか——構造的な4つの理由
子育ての孤独感は、個人の性格や努力の問題ではありません。現代の子育て環境そのものに、孤独を生みやすい構造があります。
理由① 核家族化と地域のつながりの希薄化
かつての子育ては、祖父母・近所・地域が自然に関わるものでした。今は核家族が主流となり、「子育ては夫婦だけで完結させるもの」という構造が当たり前になっています。助けを求める先が、最初から少ない状態です。
理由② 「子育てをしながら働く」という二重の消耗
共働きの家庭では、仕事でも感情を使い、帰宅後も子育てで感情を使います。「職場でも家でも気を張り続ける」状態が続くと、自分の気持ちを誰かに話す余裕すら失われていきます。
「話したい気持ちはあるのに、話す時間も相手もいない」——これが共働き家庭の孤独の実態です。
理由③ SNSによる「比較の孤独」
疲れ果てた夜にスマホを開くと、楽しそうな家族の投稿が流れてくる。「みんなは上手くやっているのに、なぜ自分だけ」という感覚が生まれやすくなっています。
SNSに映るのは、日常の「切り取られたいい瞬間」です。しかし深夜にひとりでそれを見ているとき、そのことを忘れてしまいやすい。比較が孤独をさらに深めます。
理由④ 「子育ての悩みは言いにくい」という空気
「子どもがいるのに贅沢な悩み」「もっと大変な人がいる」——そういった空気を感じて、子育ての孤独や苦しさを口にできない方が多くいます。
特に小学生以上の子を持つ親は、「もう手がかかる年齢じゃないでしょ」と思われがちで、思春期の子との関係・不登校・問題行動など、深刻な悩みほど人に言えなくなっていきます。
💡 孤独を感じやすい状況チェック
- 子育ての悩みをパートナーに話しても「そんなもの」と流される
- 職場では「親なのだから」と一人で抱えることが前提になっている
- 実家が遠い、または頼れない関係にある
- 子どもが発達や不登校の悩みを抱えており、話せる人が少ない
- 夫の単身赴任・長時間労働でワンオペが続いている
共働きの親が感じやすい「夜の孤独」


共働きの親が特に孤独を感じやすいのが、子どもが寝た後の夜の時間です。
仕事→帰宅→夕食→入浴→子どもの対応→寝かしつけ。ようやく自分の時間になったとき、体は限界でも頭だけが動いている。「今日も子どもにきつく当たってしまった」「明日の仕事が不安」「パートナーとの会話がなくなった」——そんな思いが、静かな部屋でどっと押し寄せてきます。
この「夜の孤独」は、日中の忙しさで後回しにしてきた感情が、一気に出てくる瞬間です。おかしいのではなく、それだけ昼間に必死で生きてきた証拠です。
これはあくまで一般化した事例ですが——Bさん(40代・共働き)は、子どもの不登校が続く中、「職場では言えない、ママ友には重すぎる、夫には伝わらない」と三方向から行き場をなくし、毎晩一人でスマホを検索することだけが出口になっていたとおっしゃっていました。「誰かに話したいわけじゃない、ただ分かってほしかった」という言葉が印象に残っています。
単身赴任や長時間労働でワンオペが続いている方は、こちらも合わせてご覧ください。


「誰にも言えない」その気持ち、話してみませんか
うららか相談室では、公認心理師・臨床心理士に夜間・土日もオンラインで相談できます。解決しなくていい、ただ話すだけでも、孤独感は変わります。
孤独感が続くと、心と子育てに何が起きるか
「孤独感くらい、みんなあるでしょ」と自分に言い聞かせて、ずっと抱えてきた方もいると思います。ただ、孤独感が長く続くと、心身にじわじわと影響が出てきます。見逃してほしくないサインをお伝えします。
精神的な疲弊と燃え尽き
孤独感が続くと、「誰も分かってくれない」という感覚が積み重なり、やがて「助けを求めることをあきらめる」状態になることがあります。これがさらに孤立を深め、燃え尽き症候群へとつながるケースがあります。
「もう誰にも話したくない」「何をしても虚しい」という感覚が出てきたら、それは心が相当消耗しているサインです。


子どもへの影響
親の孤独感は、子どもにも伝わります。表情の乏しさ、言葉の少なさ、余裕のなさ——子どもはそれを敏感に感じ取り、「お母さん(お父さん)の機嫌を損ねないようにしよう」と、自分の気持ちを押し殺し始めることがあります。
親のメンタルを整えることは、子どものためでもあります。自分を後回しにし続けることが、必ずしも「子どもへの愛情」にはならないのです。
孤独感が「うつ」につながることもある
慢性的な孤独感は、うつ状態のリスク要因のひとつです。「眠れない」「何もやる気が起きない」「涙が止まらない夜がある」——そういった状態が2週間以上続く場合は、早めに医療機関や専門家に相談することをおすすめします。
⚠️ 早めに専門家に相談したいサイン
- 眠れない夜が続いている
- 食欲がなくなった、または食べ過ぎてしまう
- 子どもや家族にまったく関心が持てなくなってきた
- 「消えてしまいたい」「いなくなればいい」という気持ちが浮かぶ
- 涙が突然止まらなくなることがある
これらが続く場合は、ためらわず医療機関・相談窓口に頼ってください。ブログを読み続けることよりも、あなた自身の安全が優先です。
孤独感を和らげる、現実的な5つのアプローチ


「孤独をなくす」ことは難しいかもしれません。でも「和らげる」ことはできます。今の生活の中で試せる、現実的なアプローチを5つお伝えします。
① 「分かってもらえなくて当然」と思ってみる
子育ての孤独感がつらい理由のひとつは、「パートナーや周囲に分かってもらえない」という失望感です。ただ、同じ状況を経験していない人に、完全に理解してもらうことはそもそも難しいという現実があります。
「なぜ分かってくれないのか」から「この人には分からなくて当然かもしれない」に視点を移すだけで、失望感が少し和らぐことがあります。
② 「完全な理解」でなく「部分的なつながり」を探す
全部を分かってくれる人を探そうとすると、誰もいなくなります。子育ての話だけできる人・仕事の愚痴だけ言える人・ただ笑える人——そういった「部分的なつながり」をいくつか持つことが、孤独感を分散させます。
「この人には全部は言えないけど、この話なら言える」という関係が、意外と大切なつながりになります。
③ パートナーとの対話を小さく再開する
孤独感が深まると、パートナーへの期待も諦めに変わっていきます。ただ、諦める前に「今日しんどかった」という一言だけ伝えてみることが、つながりの糸口になることがあります。
伝え方のコツについては、こちらの記事も参考にしてください。


④ 自分のための時間を「少しだけ」確保する
孤独感を和らげるために必要なのは、長い休息よりも「自分だけの時間が少しある」という感覚です。10分の散歩・好きな飲み物を飲む時間・入浴中にスマホを見ない時間——小さくていいです。
「休む」ことへの罪悪感を手放すことも、孤独感を和らげる大切な一歩です。


⑤ 「話せる専門家」という選択肢を持つ
友人には重すぎる、パートナーには伝わらない、職場では言えない——そういうとき、専門家という第三の場所があります。カウンセリングは「深刻な人が行く場所」ではなく、「話す場所がない人が使える場所」でもあります。
「解決策がほしいわけじゃない、ただ聴いてほしい」——それで十分です。
相談先の選び方はこちらでまとめています。


夜ひとりで抱えてきた気持ちを、話してみませんか
うららか相談室はスマホから予約・相談が完結。夜間・土日も対応しているので、日中忙しい共働きの方にも使いやすいサービスです。まず話してみるだけで構いません。
まとめ
- 子育ての孤独感は、6割の親が経験する。あなただけではありません
- 孤独の背景には、核家族化・共働きの消耗・SNS比較・言えない空気という構造的な理由がある
- 特に共働きの親は「夜の孤独」に注意が必要。日中の感情が一気に出てくる時間帯です
- 孤独感が長く続くと、燃え尽き・子どもへの影響・うつのリスクにつながることがある
- 和らげるアプローチは「完全な理解より部分的なつながり」「小さな自分時間」「話せる専門家」から
「こんなに孤独だとは思わなかった」——その感覚は、あなたが弱いのでも、失敗したのでもありません。それだけ真剣に、ひとりで子育てを背負ってきた証拠です。
少しだけ、荷物を下ろしてみてください。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター

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