子どもの世話に追われる毎日に、親の介護まで重なってきた——。気づけば、自分の時間も気力もどこにも残っていない。そんなふうに感じていませんか。
子育てと介護を同時に担う「ダブルケア」は、心身ともに大きな負担がかかり、知らないうちに限界へ近づいてしまうことがあります。でも、それはあなたが頑張りすぎているからであって、決して弱いからではありません。
私は公認心理師として、ダブルケアに悩む方のお話を数多く伺ってきました。この記事では、介護疲れや介護うつのサインと、限界が来る前にできることを、一緒に見ていきましょう。
📖 こんな方に読んでほしい記事です
- 子育てと親の介護が重なって、心も体も限界に近い方
- 誰にも頼れず、自分ひとりで抱え込んでいる方
- 最近、気分の落ち込みや眠れない日が続いている方
- 「自分が倒れたら家が回らない」と感じている方
子育てと介護が重なる「ダブルケア」のしんどさ
ダブルケアとは、子育てと親などの介護を、同時期に担う状態のことです。晩婚化や出産年齢の上昇を背景に、30代後半から50代の働く世代に増えています。まさに今、子育ての真っ最中に親の介護が始まる、という方が珍しくありません。
ダブルケアがとくにつらいのは、休まる時間がどこにもなくなってしまうことです。子どものことが一段落しても、次は親のこと。仕事もある。自分のための時間は、いつも最後まで回ってきません。
さらに、相談相手が見つかりにくいのも特徴です。育児の悩みは育児仲間に、介護の悩みは介護仲間に話せても、「その両方が同時にしんどい」という気持ちは、なかなか分かってもらえない。この孤独感が、心の負担をいっそう重くします。
ゆう休む時間がないのは、あなたの工夫不足ではありません。
介護疲れ・介護うつのサインに気づく
頑張れる人ほど、自分の限界のサインを「気のせい」と見過ごしてしまいます。次のような状態が続いていないか、少し立ち止まって振り返ってみてください。
- よく眠れない、朝早く目が覚めてしまう
- 食欲がない、または食べすぎてしまう
- これまで楽しめていたことが、楽しめなくなった
- 理由もなく涙が出る、イライラが抑えられない
- 「自分なんていない方がいい」と感じることがある
こうした状態が2週間以上続くときは、心がかなり消耗しているサインかもしれません。「ただの疲れ」と片づけず、早めに心療内科や精神科などの専門医に相談することを考えてみてください。早く頼ることは、大げさでも甘えでもありません。
これはあくまで一般化した事例ですが、あるお母さんは、認知症の親の介護と幼い子の世話に追われる中で、「自分が弱音を吐いてはいけない」と気を張り続けていました。やがて夜眠れなくなり、食事ものどを通らなくなって、ようやく周囲が異変に気づいたそうです。倒れる前に気づける環境を、意識して作っておくことが大切です。
限界が来る前にできるセルフケア
すべてを完璧にこなそうとしないこと。それが、ダブルケアを長く続けるためのいちばんのコツです。今日からできることを、いくつかお伝えします。
「休む」を予定に組み込む
休息は、余った時間にするものではなく、最初に確保するものです。短時間でも「自分のための時間」を意識して予定に入れてみてください。罪悪感を覚える必要はありません。
役割を抱え込まず、分担する
介護も育児も、ひとりで背負うものではありません。パートナーや兄弟姉妹、親族とできる範囲を分け合いましょう。「言わなくても察してほしい」ではなく、具体的にお願いするのがコツです。
使える制度・サービスを知っておく
介護保険のサービスやショートステイ、地域包括支援センターなど、頼れる制度はたくさんあります。「自分でやらなきゃ」と抱え込まず、プロの手を借りることも立派な選択です。
ひとりで抱えない|頼れる相談先とサポート
「誰に相談すればいいのかわからない」。そんなときのために、頼れる窓口を整理しておきます。
- 地域包括支援センター…介護の総合相談窓口。まずここに連絡を
- 市区町村の福祉窓口…ダブルケアの相談に対応する自治体も増えています
- 心理の専門家…気持ちの整理や、心の落ち込みのケアに
心の負担が大きいときは、オンラインカウンセリングという選択肢もあります。外出が難しいダブルケア中でも、自宅から、自分のペースで専門家に話せます。気持ちを言葉にするだけでも、心はずいぶん軽くなるものです。
しんどさを、ひとりで抱えていませんか
「誰にも分かってもらえない」と感じるダブルケアのつらさも、専門家に話すと心が軽くなることがあります。オンラインなので、自宅から自分のペースで相談できます。
また、気分の落ち込みが強い・眠れない日が続くなど、より医療的なサポートが必要だと感じるときは、オンラインで医師や専門家に相談できる
まとめ
今日お伝えしたことを、最後に振り返っておきますね。
- ダブルケアは休まる時間がなく、孤独を感じやすい大変な状態
- 眠れない・楽しめない状態が2週間以上続くなら、専門医への相談を
- 「休む」を予定に組み込み、役割は抱え込まず分担する
- 介護保険や地域包括支援センターなど、使える制度は積極的に頼る
- 心がつらいときは、オンライン相談など頼り先を状況に合わせて選ぶ
あなたは、子どものためにも、親のためにも、本当によく頑張っています。その頑張りを続けるためにも、どうか自分自身をいたわる時間を持ってくださいね。あなたが倒れないことが、いちばん大切です。
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元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
