言語理解が低いとは?WISC指標の意味と支援を公認心理師が解説

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「分かっているはずなのに、聞き返されてばかり」「作文や発表になると、急に言葉が出てこなくなる」——そんなお子さんの様子に、もどかしさを感じていませんか。

WISCの結果で「言語理解」の数値が低いと言われ、戸惑っている方もいらっしゃると思います。言葉が出てこないのは、考えていないからではありません。

この記事では、言語理解が低いとはどういうことか、日常での現れ方と、家庭・学校それぞれでできる工夫を、公認心理師の私がお伝えします。

📖 こんな方に読んでほしい記事です

  • WISC-Ⅴの結果で「言語理解」の数値が低かった方
  • 子どもが「言いたいことをうまく言葉にできない」と感じている方
  • 発表や作文になると、言葉に詰まってしまう子の様子に悩む方
  • 「分かっているはずなのに」と、お子さんとのすれ違いを感じている方
目次

言語理解とは?WISCの指標が測っている力

机で勉強

「言語理解」とは、言葉を使って理解したり、考えたことを言葉で表現したりする力のことです。言葉の知識(語彙)の豊かさや、物事を言葉で説明する力もここに含まれます。

言語理解が低いという結果には、大きく分けて次の2つのタイプが見られます。

  • 言葉の知識そのものが少なく、理解や説明に時間がかかるタイプ
  • 理解はできているのに、それを言葉としてまとめて表現するのが苦手なタイプ

同じ「言語理解が低い」という結果でも、内容は大きく異なります。とくに②のタイプは、「分かっているのに、うまく言葉にならない」というもどかしさを、お子さん自身が一番感じていることも少なくありません。

WISC-Ⅴでは、こうした言葉の力を数値として示していますが、数値の低さだけで、どちらのタイプかを判断することはできません。日頃の様子とあわせて見ていくことが大切です。

ゆう ゆう
言葉にならないのは、考えていない証拠ではありません

補足
WISC-Ⅴでは、言葉の意味を答える課題や、物事の共通点を言葉で説明する課題などを通して、言語理解を測定します。得点が低いことは、考える力そのものが乏しいという意味ではなく、言葉として整理する部分に苦手さがあるということです。

また、言語理解が低くても、絵や図で表現する力、体を使って物事を理解する力に優れているお子さんは少なくありません。言葉の面だけでお子さんの力を判断しないよう、他の指標とのバランスも合わせて見ていくことが大切です。

なお、検査当日の緊張や、初対面の検査者との会話であることも、結果に影響することがあります。一度の数値がすべてを決めるわけではないという点も、あわせて知っておいていただきたいことです。WISCの信頼性については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

言語理解が低いと、日常で何が起きる?

言語理解が低いと、さまざまな場面で困りごとが表れることがあります。場面ごとに、よく見られる現れ方をご紹介します。

家庭で見られる場面

  • 難しい言葉や抽象的な表現を使うと、聞き返すことが多い
  • 自分の気持ちをうまく言葉にできず、行動や態度で表してしまう
  • 「言われたことは分かっているはずなのに」、説明させるとうまく話せない

学校で見られる場面

  • 先生の説明は理解しているのに、発表や作文になると言葉に詰まってしまう
  • 教科書の文章を読むのに時間がかかり、内容の理解が追いつかないことがある
  • 言葉だけの指示より、実物や絵を見せてもらったほうが理解しやすい

友達関係で見られる場面

  • 話の内容は分かっていても、自分の意見をうまく言葉にできず誤解される
  • 冗談や比喩表現をそのまま受け取ってしまい、話が噛み合わないことがある
  • 言葉で説明するより、行動で示すほうが得意なことがある

習い事で見られる場面

  • 先生の言葉での説明を理解するのに時間がかかり、動作に移るのが遅れる
  • 言葉で教わるより、実際にやってみせてもらったほうが早く覚えられる
  • 感想や質問をうまく言葉にできず、発言をためらってしまう

「説明できない」ことは、「分かっていない」こととは限りません。

聞き返しが多いのは、集中していないからではなく、言葉の処理に時間がかかっているからです。

これはあくまで一般化した事例ですが〜、小学2年生のDくん(仮名)のお話です。授業で分からない言葉が出てくると、その先の説明が頭に入らなくなってしまうことがよくありました。担任の先生が言葉を言い換えたり、イラストを添えて説明したりする工夫を取り入れたところ、理解できる場面が増えていったそうです。

反対のタイプの例もご紹介します。小学5年生のEさん(仮名)は、授業の内容はしっかり理解しているのに、発表になると言葉が出てこず、「分かっていないのでは」と誤解されがちでした。先に紙に書く時間をもらってから発表する形にしたところ、少しずつ自信を持って話せるようになっていったそうです。

ゆう ゆう
分かっているのに話せない、そのつらさに寄り添って

一人で抱え込まないで

お子さんのことも、ご自身のことも、話せる場所があります

家庭でできる工夫|負担を減らす関わり方

発見

言語理解の負担を減らす工夫も、特別なことではありません。日々のちょっとした関わり方の工夫で、お子さんの「伝わった」を増やすことができます。

💡 家庭での工夫、4つのポイント

  • 難しい言葉は、やさしい言葉に言い換えて伝える
  • 言葉だけでなく、絵や実物も一緒に見せながら伝える
  • 「どっちがいい?」など、選択肢を用意して答えやすくする
  • お子さんの言葉を急がせず、話し終えるまで待つ

それぞれの工夫について、もう少し具体的にお伝えします。

やさしい言葉への言い換えは、「片付けて」ではなく「おもちゃを箱に入れてね」のように、具体的な言葉にする方法です。抽象的な表現より伝わりやすくなります。

絵や実物を見せるのは、言葉だけでは理解しにくい内容も、目で見て確認できると理解が進みやすくなるためです。

選択肢を用意するのは、「理解はできているのに言葉が出てこない」タイプのお子さんに、とくに助けになる工夫です。「AとBどっちがいい?」の形なら答えやすくなります。

大切なのは、お子さんの言葉を先取りしすぎず、伝えようとする気持ちを大切にすることです。

学校にお願いできる配慮、そして専門家への相談

家庭での工夫だけでなく、学校の先生に特性を伝え、配慮をお願いすることも大きな助けになります。「合理的配慮」という言葉を使うと、先生にも意図が伝わりやすくなります。

学校にお願いしたい配慮の例

  • 説明は短く区切り、やさしい言葉で伝えてもらう
  • 言葉での指示に加えて、板書や絵でも示してもらう
  • 発表の前に、紙に書いて整理する時間をもらう
  • 「はい・いいえ」や選択肢で答えられる聞き方をしてもらう

すべてを一度にお願いする必要はありません。お子さんが特に困っている場面から、一つずつ相談してみるとよいでしょう。「合理的配慮」の相談の仕方については、別記事でも詳しくご紹介しています。

一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや専門家に相談することも、大切な選択肢の一つです。ご家族だけで頑張りすぎず、周りの支えを借りながら向き合っていく視点も大切にしてください。

今日からできる一歩を、一緒に考えませんか

専門家に話すことで、見えてくることがあります

まとめ

この記事のまとめ

  • 言語理解は、言葉で理解し、言葉で表現する力を表す指標です
  • 「言葉の知識が少ないタイプ」と「理解はできるが表現が苦手なタイプ」があります
  • 家庭・学校・友達関係・習い事など、場面によって現れ方は異なります
  • 家庭では、やさしい言葉での言い換えや選択肢の提示が助けになります
  • 学校には、発表前の準備時間や聞き方の工夫を相談できます

言葉にならない思いの中にも、ちゃんと考えている姿があります

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ゆう
この記事を書いた人:ゆう
公認心理師(国家資格)
元 少年鑑別所 心理技官(18年)
現職:子ども家庭支援センター
3,000人以上の親子の相談、500件以上の心理検査の経験から、発達障害・不登校・子どもの問題行動でお悩みの保護者へ、「親自身が自分を責めなくていい」視点で記事をお届けしています。

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