夜、眠れないというのは、多くの人にとって身近でつらい問題です。
夜に眠れない日が続くと、睡眠不足になって、日中ぼーっとしてしまったり、頭が働かなかったり、ちょっとしたことでイライラしたりしてしまいます。
その結果、人間関係でトラブルを起こし、仕事でもミスを繰り返してしまうかもしれません。
そうしたストレスが溜まってくると、ますます夜に眠れなくしてしまいます。
睡眠薬を飲めば一時的には眠れるかもしれませんが、同じ量を飲んでも効きにくくなるため、徐々に薬の量が増えてしまうという悩みもあります。
そこで、本記事では、夜に眠れない人のためのストレス解消法を紹介します。
夜、眠れない状況に悩む人が、ストレスを軽減し、安眠を取り戻すためのアプローチに焦点を当てます。
- 夜、眠れなくて困っている。
- ぐっすり眠れる方法を知りたい。
- 薬に頼らないで安眠したい。
夜に眠れない原因
夜に眠れない原因はさまざまありますが、日常生活で受ける「ストレス」は不眠の大きな原因です。
ストレスとは、「外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態」を意味します。
日常生活の中で起こるさまざまな変化がストレスの原因になります。
では、なぜストレスが夜に眠れないことにつながるのか、具体的に説明していきます。
ストレスと不眠は切ってもきれない関係にあります。
不安や心配、ストレスが眠りを妨げる理由
ストレスは、天候や騒音などの環境的要因、病気などの身体的要因、不安や悩みなどの心理的な要因、人間関係でうまくいかない、仕事が忙しいなどの社会的要因が複合的に影響しあって生じます。
日中、仕事や学校生活をなんとか乗り切るために目の前のことに集中しようとする人であっても、夜になって静かにベッドに横になっていると、ストレスの原因となる出来事を思い出してしまいます。
すると不安や心配、イライラなどの感情が生じてしまい、それが脳や体を興奮させ、夜に眠れなくなってしまうのです。
不規則な生活習慣が引き起こす影響
不規則な生活習慣も夜に眠れないことの原因の一つです。
寝る時間や起きる時間がバラバラだったり、食事も摂ったり摂らなかったり、運動不足だったり、遅くまでスマホを見ていたりなど、日中や寝る前の生活のリズムが整っていないなどが不眠につながります。
自分では自覚がないことも少なくありません。
ストレスを軽減する方法
夜にぐっすりと眠るためには、ストレスを軽減することが効果的です。
ストレス軽減方法は原因によって対処方法が異なりますが、ここでは主に心理的なアプローチからいくつか紹介します。
深呼吸やリラクセーション法
心と身体の緊張を和らげる
不安や緊張が高まったとき、深呼吸をすると良いと言います。
深呼吸をはじめとしたリラクセーション法は、ストレスを軽減させるために有効なスキルです。
夜、布団の中で眠れないとき、自分にとって一番楽な姿勢になって、ゆっくりと呼吸をしましょう。
横になったままでもいいですし、ベッドに腰掛けて座ってもいいです。
このとき腹式呼吸をすることによって、全身に酸素が行き渡り、頭や体の興奮を鎮めることができます。
深呼吸に加えて、別のリラクセーション方を取り入れることも良いでしょう。
心理療法の一つに「漸進的筋弛緩法」というリラクセーション方があります。
漸進的筋弛緩法とは、骨格筋を緊張させ(筋肉に力を入れ)、その直後に弛緩(脱力)させることによって、その部位の力が抜けリラックスしている感じを味わう方法です。漸進的筋弛緩法は、身体の各部位の緊張と弛緩を繰り返しながら、身体全体のリラクゼーションを得ていくことをねらいとしています。
障害者職業総合センター
次の書籍では、呼吸法や筋弛緩法について具体的なやり方を紹介しています。
マインドフルネス
現在に集中することで不安を和らげる
マインドフルネスという言葉を聞いたことあるでしょうか。
マインドフルネスとは、呼吸などを通して、自分自身に気づきを向けて、今の自分の気持ちに気づいたり、やる気を出したりするものです。
「今、ここにいる自分」に集中することで、余計な思考や感情から距離を置くことができ、ストレスからの解放につながります。
ポジティブな思考
ネガティブな考えをポジティブなものに置き換える
ストレスを感じるとき、もしかすると考え方が固くなり、特にネガティブな思考になっているかもしれません。
「きちんと家事をするべきなのにできなかった」「夫は育児を手伝うべきなのにやらなかった」など、「○○べき」と考えがちで、それがうまくいかないときに強いストレスを感じやすいです。
認知行動療法では、この考え方を「べき思考」と呼びます。
そうしたときは、よくないことばかりではなく、実際にできていること、うまくやれていることに注意を向けると良いでしょう。
考え方や物の見方をちょっと変えるだけで、気持ちが少し楽になります。
ストレスマネジメント
ストレスの原因を特定し、解決策を見つける
ストレスマネジメントスキルとは、ストレスに対処し、自分のストレス状態を自分でコントロールするスキルのことです。
ここまで紹介したストレス軽減方法は、いずれもストレスマネジメントスキルの一つです。
ストレスは、さまざまな原因が絡み合って生じるため、ストレスの完全な排除を目指すのは不可能です。
また、適度なストレスは仕事に対する原動力や成長への負荷にもなり、その人にとって良い側面もあります。
そのため、ストレスマネジメントでは、「ストレスをなくす」ことではなく、「ストレスを適度に保つ」ことが重視されています。
睡眠環境の整え方
夜に眠れるようにするためには、自分の寝室や寝る前の習慣などの生活環境を整えることも大切です。
実際に効果的で役立つ方法について紹介します。
快適な寝室の作り方
あなたの寝室を居心地よくすることから始めましょう。
人によって「快適さ」には違いがありますが、誰にでも心地の良い環境は作ることができます。
例えば、アイリスオーヤマの提供する「深い眠りに欠かせない理想の寝室の作り方6選」では、次の6つのポイントを挙げています。
- 中間色でまとめる
- 部屋の中央にベッドを設置する
- 間接照明を取り入れる
- アロマによる香りの演出
- さわやかな空気を取り入れる
- 質の高い睡眠を得るためのマットレス選び
こうした部屋を作っても、子供と一緒に寝ていたり、配偶者のいびきがうるさくて眠りにくかったりする人もいるでしょう。
そうした場合には、子供が寝てから部屋を移動するとか、配偶者とは別の部屋で寝るようにするなど、寝室の使い方について家族の話し合いが必要です。
スマホやパソコンなどのデバイスの制限
寝る直前まで、スマホやパソコン、テレビなどのスクリーンのついているデバイスを見ていると、睡眠に悪影響があると言われています。
なぜなら、スクリーンによる光によって、脳が「昼間だ」と錯覚し、メラトニンの分泌量が抑制され、脳が覚醒してしまうためです。
「寝る前スマホ」は睡眠障害にもつながる危険な習慣です。
睡眠時間の1時間前にはスクリーンを見ないようにする、寝室にスクリーンの付いたデバイスを持ち込まないなど工夫しましょう。
スマホをアラーム代わりに使用している人の場合は、スマートウォッチを連動させてスマートウォッチでアラームが鳴るようにするのがおすすめです。
寝る前のルーティーン
自分の気持ちを落ち着かせて、穏やかな気持ちになるためには、寝る前のルーティーンを繰り返すこともおすすめです。
脳や神経を刺激するような行動は控えて、心も体もリラックスできるようなルーティーンを作りましょう。
「ぬるめのお風呂に入浴⇨短時間の読書⇨好きな曲を聴く⇨好みのアロマを焚く」など、リラックスできるルーティーンを作ると効果的です。
専門家への相談
自分でやれることをやっても夜に眠れないようであれば、専門家に相談してアドバイスを受けましょう。
眠れないときに相談する専門家として、ここでは心理カウンセラーと精神科医について紹介します。
日頃の悩みやストレスの相談として「心理カウンセラー」、睡眠障害などで睡眠薬の処方が必要であれば「精神科医」に相談しましょう。
心理カウンセラー
こころの専門家である心理カウンセラーは、あなたのストレスの原因の特定や解消などについて、的確なアドバイスをしてくれます。
ストレスの軽減によって、気持ちが穏やかになって夜に眠ることができるようになるでしょう。
また、先ほど紹介したリラクセーション法として、マインドフルネス、漸進的筋弛緩法、リフレーミング、認知行動療法などの心理療法について、あなたに合ったやり方を教えてくれます。
カウンセリングルームに出向いて、対面のカウンセリングを受けることが一般的ですが、時間のない人やカウンセリングルームが近くになければ、「オンラインカウンセリング」の利用もおすすめです。
精神科医
夜に眠れない日が続き、日中の活動にも支障をきたしている場合、あなたは「睡眠障害」と診断されるかもしれません。
不眠はほぼ全ての精神疾患に生じる症状の一つのため、何らかの精神障害がある可能性もあります。
うつ病や適応障害でも不眠症状は現れます。
このような場合には、精神科病院や心療内科で、医師による治療が必須です。
精神科に受診すれば、不眠の原因の特定や改善のためのアドバイスを受けられますし、何よりも医師が必要と判断すれば睡眠薬の処方を受けることもできます。
睡眠薬の乱用は市販薬でも処方薬でも危険ですが、医師の指示に従って服薬をすれば、安心して不眠症状を回復することができます。
日常生活で取り入れられる寝るための習慣
最後に、日常生活を送る中で、習慣化すると良い行動について紹介します。
夜に眠れるようになるためには、日頃からの自分自身の心と体のケアが何よりも大切です。
規則正しい生活リズムの確立
毎日の規則正しい生活のリズムを確立しましょう。
朝起きてから、夜眠るまで、人はさまざまな活動をしていますが、心地よい睡眠につながる習慣として、次の12の活動を意識するように心掛けてください。
- 毎日同じ時間に起きる
- 起きたら朝日を浴びる
- 規則正しい食習慣
- 日中の運動、入眠2〜3時間前の軽い運動や入浴
- 夕方以降はカフェイン制限
- 寝酒はしない・減らす
- 寝る前の刺激は避ける(スマホ・ゲーム)
- 夜は明るすぎない暖色系の照明
- 寝る前の水の摂りすぎに注意
- 眠くなってから寝床につく
- 休日の朝寝坊と昼寝のしすぎに注意
睡眠習慣チェック表(一般社団法人日本うつ病センターのパンフレット「健やかな睡眠のためにー働く人の睡眠改善プログラムー」より抜粋)
適度な運動や入浴
睡眠は、深部体温と深く関わっています。
深部体温は体内時計のリズムに従って日中に上昇し、夜になると低下し、明け方に最低温度に達します。
その途中の深部体温が低下するスロープの勾配が急になるほど寝つきや睡眠の質が良くなると考えられています。
そのため、日中に運動して深部体温を上昇させておくと体温低下の勾配は大きくなり、睡眠は深くなるということです。
日中の運動が難しい場合でも、夕方の軽めの運動でも十分な効果があります。
運動だけはなく、39〜40度程度のぬるめのお湯にゆっくり入浴することで軽い運動と同じような効果を得られます。
寝る直前では逆効果になってしまうので避けましょう。
ストレス解消の趣味やリラックス法の導入
自分にとってストレス解消になる趣味に取り組んだり、自分に合ったリラックス法を導入したりしましょう。
運動や入浴、読書やアロマなど、その趣味自体がリラックスや睡眠に良い影響を与えるものであれば、適度に続けることが夜の眠りにつながります。
一方で、飲酒やゲームなどの良い睡眠の師匠になりそうな趣味の場合は、控えめに楽しむように心がけましょう。
自分の好きなことを禁止することがストレスにつながってしまう場合もあります。それが不眠に繋がってしまったら本末転倒です。
まとめ
今回は、夜に眠れない人のためのストレス解消法について説明しました。
今回紹介したストレス解消法や専門家のサポートを得ることで、夜に眠れるようになります。
自分の状況や好みに合わせて、ストレス解消法を試してみてください。
夜に眠れないというストレスは克服可能です。
ご相談や質問がある場合には、こちらまでどうぞ!
最後までご覧いただきありがとうございました。
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